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2019.05.08

Maker Faire Kyoto 2019 レポート#3:鶏の着物や無限に歩くダンゴムシ、笑顔を追いかけるクリスマスツリーなど、意表を突くユニークな展示たち

Text by Yusuke Aoyama

晴天にも恵まれて2日間にわたり多くの来場者を迎えたMaker Faire Kyoto 2019。レポート第3弾では、熱意溢れるユニークな作品や人目を惹く展示をしていたメイカーたちを紹介したい。

鶏のための着物だから当然モデルも鶏じゃなきゃ

これまでのMaker Faireを含めても、おそらく初めて生きた鶏を使ったデモを行なっていたのがChikimono

「鶏のための着物」を製造販売しており、そのモデルとして「着物を着た鶏」も会場に登場。場所柄、ロボットや人形と勘違いする来場者も多く、近づいて見ようとして「えっ、本物?」と驚く姿が見られ、会場でもインパクトの大きな展示となっていた。

なお、モデルを務めた鶏はペット向けの品種で、大柄だがおとなしく誰に触られても嫌がることがないため子ども達にも大人気だった。

季節外れの京都に現われた笑顔を追いかけるクリスマスツリー

クリスマス大好きクラブ」という季節外れのチーム名を掲げたメイカーの展示物は「自律走行型写真撮影クリスマスツリー」と、やっぱり少々季節外れな代物。ツリーの頭頂部にWebカメラが搭載されており、それによって人の顔を認識し、笑顔になると写真を撮影するというもの。脚部にはルンバを私用しており、人の顔が見つからない場合はぐるぐる回転したり、走り回ったりして人を捜し回ることができる。ちなみに「なぜ、クリスマスツリーなのか?」というと、もともとクリスマスに開催されたハッカソンで作ったものだからだとか。

ゴミを捨てさせてくれないゴミ箱

Maker Faireではこれまでにも「勝手に入るゴミ箱」や「人についていくゴミ箱」などが登場しましたが、京都ではまさかの「入れさせないゴミ箱」が登場。

上部に搭載したカメラでゴミを認識し、投げ込まれるとフタを閉じてゴミをはじき返したり、ゴミが入らない位置に車輪で移動したりします。その防御力ですが、幸か不幸か鉄壁の守備とはいかず、攻防を繰り返すうちに数度に1回はゴミを受け入れてしまう。

メイカーのためのファッション誌はフルカラーで実用的?

おなかもん」では、メイカーのためのファッション誌と銘打ったフリーペーパー『Maker’s NoN-No』を配布。A4判、フルカラーで20ページとなかなかのボリューム。

内容は「デートにお薦めのホームセンター」特集から、「Maker 7days着まわしコーディネート」とななり読み応えのある内容。見て楽しいだけでなく実用性も十分。早々に品切れとなってしまったため、ウェブでPDF版を無料公開している。

割り箸をきれいに割るためだけに作られたマシーン

「割り箸をきれいに割る」ためだけに作られたのが柴田和弥さんの「自動箸割り機」。手前側の差し込み口に割り箸を入れると、センサーが箸を検知して位置を正しく固定し、刃を前後して割り箸をきれいに切断してくれる。

電池を搭載し、多くのセンサーとアクチュエータを搭載しているためサイズが少々大きく、また1本の割り箸を割るのに2~3分掛かってしまうが、割った箸の切断面はとても滑らか。電源が不要の手動型から始め、いくつものプロトタイプを経てここまでたどり着いたという。次のモデルでは小型化を目指すそうだ。

ダンゴムシを無限に歩き続けさせられる装置

京都産業大学ファブスペースでは、自分でお香を調合できるワークショップの他に、ダンゴムシを無限に歩き続けさせる「ANTAM」という装置を展示。

この装置、小さな昆虫の歩行パターンを分析するためのもの。ボールの上に内周をすべてLEDで覆った筒を設置。さらに上部にはカメラがありこれによって虫の歩く方向と速度を検出し、ダンゴムシが歩く方向に合わせてボールを回転させ、常に虫をボールのてっぺんにキープする。

ダンゴムシは強い光から逃げる性質があるため、筒内部のLEDの発光パターンを変えることで、ダンゴムシがどのように歩行するのか記録できる。こうして虫の歩行アルゴリズムを分析することで、虫のように歩くロボットの開発するのが最終目標だそうだ。ちなみに、ダンゴムシは会場近くで採取したもので、あまり長時間デモを続けると弱ってしまうため、30分ごとに交代させていた。

けなげに奏でるモーター

Maker Faireでは、思わぬものが楽器として使われていて驚かされるが、HanDenが楽器にしてしまったのはドローンなどに使われるブラシレスモーターとCPUファン。

一列に並んだモーターが、クルクルと回ったり止まったりに合わせてサウンドが流れるさまは、なんとなくけなげな印象。

繊細に奏でるHDD

何でも楽器にしてしまうメイカーの二人目は、TankさんのHDD自動演奏装置。ハードディスクのヘッドを搭載したアームをMIDIに合わせて震動させることで、音を鳴らしている。

HDDの音というと「カコーン」とか「ガリガリ」と言ったノイジーなものを想像しがちだが、この装置から流れる音は繊細でスマートなサウンド。

滑って奏でるスケートボード

何でも楽器にしてしまうメイカーの第3弾は、スケートボードとエレキギターを合体させた楽器「滑琴」。

ベースがスケートボードという以外は、弦やピックアップなど主要部品はエレキギターのものなので、当然サウンドもエレキギターとほぼ同じ。ただし、ギターのようにかかえて演奏するのではなく、スケボーとして滑ることで弦を振動させて音を鳴らす。体重を掛けてカーブさせたりすると、それに合わせて音も変化する。