2020.04.13
工作から本格プログラミングまで遊びが無限に広がるロボットトイ「toio™(トイオ)」
(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「toio」(16,980円、税別)は、キューブ型のロボットでさまざまな遊びやプログラミングが楽しめる次世代おもちゃだ。toio本体セットと専用タイトルが発売されており、タイトルを変えることで、さまざまな遊びが楽しめる。というと、既存のゲーム機と似ているが、toioの特徴は、子ども自身がプログラミングしてロボットを動かしたり、新しい遊びを作れることだ。低年齢向けのプログラミング学習タイトルや、ビジュアルプログラミング環境も用意されており、JavaScriptによる本格的なロボットプログラミングにも挑戦できる。
toio本体セットは、32ミリ角のロボット「toioコア キューブ」2体、液晶ディスプレー、音楽の再生、キューブの充電機能を備えた「toioコンソール」、リング型のコントローラー「toioリング」で構成される。
toio本体(toioコンソール)1台、toioリング×2個、toioコアキューブ×2個、ACアダプター、toioコアキューブ専用のトッププレートが白と透明4個ずつが同梱されている
キューブは、裏面の光学センサーで専用マット上での絶対位置を読み取り、自動運転のように目的地まで移動できる。また、3軸加速度・3軸ジャイロセンサーで自身の姿勢や動きや接触を検出し、周囲の刺激やイベントに反応して動きや音声を発するといった表情がつけられる。
キューブ裏面。2つのタイヤ、光学センサー、ランプ、電源ボタンがある
キューブはBluetoothでコンソールと通信しながら動きをコントロールする仕組みだ。別売のタイトルに付属のカートリッジからプログラムを読み込み、さまざまなゲームや工作が楽しめる。現在、プログラミング教材「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」、ビジュアルプログラミングに対応した「トイオ・コレクション」、工作キット「工作生物ゲズンロイド」など7つのタイトルが発売されている。
「GoGo ロボットプログラミング」のカートリッジ
プログラミングのセンスがきたえらえる「GoGo ロボットプログラミング」
はじめてのプログラミング学習にお勧めしたいのが、紙のブロックと絵本でビジュアルプログラミングが学べる「GoGo ロボットプログラミング」(5,980円、税別)だ。
キューブに取り付けるキャラクター人形が3種類付属
内容は、キューブをゴールまで誘導するパズルで、障害物などをよけてマス目を進むように、「いっぽすすむ」「みぎをむく」といったブロックを並べていく。並べたブロックの上にキューブを置くと自動走行しながらプログラムとして読み取り、そのあとで絵本のスタート位置に置くと、プログラムしたとおりに動く。単純にすいすいと進むだけではなく、きょろきょろと考えるような動きや、ゴールにたどり着くと、くるくると回転して喜んでいるような表情をする。キューブに取り付けたキャラクター人形と相まって、絵本からキャラが飛び出したような感覚だ。
並べたブロックの上をキューブが走り、プログラムを読み込む
読み込んだプログラム通りに、マス目を動く
レベルが進むと、繰り返しや条件分岐なども加わり、キューブ2台を使って、ガールフレンドを押して動かしたり、悪役キャラとぶつからないように避けたりする。単純にカードをたくさん並べていく方法でもクリアできるが、各問題には、使うカードの種類と枚数が指定されており、繰り返しや条件を組み合わせて、効率のいいプログラムを作るための工夫や思考力が鍛えられる。
2つのキューブが連動するタイミングに合わせてプログラムを考えていく
ビジュアルプログラミングで新しい遊びが作れる
さらに、ロボットをプログラミングして、新しい遊びを自分で作ることも可能だ。「トイオ・コレクション」(5,980円、税別)には、キューブを自由にデコレーションしたロボットを戦わせる「クラフトファイター」など、工作やおはじき、リズムゲームなどの5つの遊びが収録されているほか、付属の専用マットを使って、パソコンからキューブを操作するプログラムが作れる。
プログラミングをするには、toioのサイトから「Scratch Link」をダウンロードして、専用のビジュアルプログラミング環境を起動する。メニューに「toio」が追加され、専用マット上のキューブの座標、接触、タイヤの回転、ランプなどの情報の取得と動きをプログラムできるようになる。例えば、キューブをキーボードで前後左右に動かすリモコン制御や、キューブがカードやシールに触れたら速度が変わり、得点が入る、といったゲームがつくれる。あるいはキューブを入力ツールとして使い、キューブを手で動かして、画面上のスプライトをリモコン操作することもできる。
キューブの動きに合わせて絵を描くプログラム
キューブ裏面のセンサーで専用マット上の座標が検出される
toioサイトには、お絵かき、多角形や図形描画、リモコン操作などのサンプルプログラムが詳しい解説とともに公開されている。多角形の描画プログラムは、小学校5年生の教科書にも掲載されているお馴染みのものだが、スプライトとキューブがシンクロして走るのは、スプライトだけが動くのとは違った面白さだ。より高度なプログラミングに挑戦したい人や開発者向けに、キューブの技術仕様やJavaScriptライブラリが公開されている。キューブの傾きやバッテリー残量などより細い情報の取得や制御、複数のキューブやtoioリングと組み合わせた開発が可能だ。
画面上でのビジュアルプログラミングは手軽だけれど、実際にロボットを動かすフィジカルプログラミングのほうが圧倒的に楽しく、子どもの興味を引き付ける。しかし、複雑な組み立てや配線に時間がかかると、肝心のプログラミングにまでたどり着かなかったりする。toioの対象推奨年齢は6歳以上で小さな子供でも扱いやすく設計されている。ケーブルの接続がいらず、ボードゲーム感覚ですぐにフィジカルプログラミングが体験できる。
ビジュアルプログラミングからJavaScriptへとステップアップでき、中・高校・大学生や大人でもハマりそうだ。また、プログラミングに興味が持てなくても、タイトルの工作やゲームで遊んでいるうちに、もっと面白くするためのルールやデザインのアイデアが思いつくかもしれない。プログラミング教育などと気負わずに、遊びの延長でロボットやプログラミングに親しんでほしい。
編注(1):「toio」の詳細な技術情報やJavaScriptのライブラリが公開された背景については、「「toio」のAPIがオープンソース化された理由とその可能性」もご参照ください。
編注(2):原稿執筆後に、「toioコア キューブ」および「toioコア キューブ専用充電器」の単体発売が発表されました。価格は、「toioコア キューブ」が4,480円(税別)、「toioコア キューブ専用充電器」が3,480円(税別)。発売日は4月23日となっています。