2014.02.14
私がどのようにしてRaspberry Piタブレットを作ったか
私の特製PiPadタブレット
毎日、新型のタブレットコンピューターが発売されているように思える。より薄くて、より軽くて、より速くて、しかしどれも同じように見えるし、できることもほぼ同じだ。私がRaspberry Piタブレットを作ろうと思ったのは、なにか違うものが欲しかったからだ。それは、便利で、ポータブルで、Linuxベースのオールインワン・システムだ。さらに、見栄えもよくないとダメだ。飛行機の中で使うことが多いから、空港のセキュリティーや隣に座ったおばあちゃんを怖がらせるような形ではいけない。
2013年の始めごろから、私はパーツ集めを開始した。Raspberry Piは5ボルトで駆動するから、携帯電話用の充電器が使えることはわかっていた。しかし、タッチスクリーンはほとんどが12ボルト駆動なので電子回路が複雑になる。しばらく探しているうちに、やっと求めているものが見つかった。5ボルトのHDMIからLVDSへのコンバーター付きタッチスクリーン・ディスプレイだ。これはChalk-Elec.comというサイトで売られていた。注文したものが届くなり、私はそれをPiにつないで満足した。完璧に映っている。しかも静電タッチスクリーンも動作する。これで、Raspberry Piタブレットの夢が叶う。
パーキンソンの法則によれば、「仕事は、それを完了させるために用意された時間いっぱいまで増える」という。私のPiタブレットの場合も例外ではなかった。Maker Faire Bay Areaの2週間前、私はMaker Faireに出展するプロジェクトのことでMaker Shedの技術サポートの順番待ちをしていた男性の手伝いをしていた。彼を助けているうちに、私の創造性にも火が点いた。そして、私もMaker Faireに出展したいと思うようになった。クレイジーだろ。すべてのパーツは揃っている。絶対に延ばせない締め切りも決まっている。幸い、少し先行してデザイン作業を進めていたので、何をすればよいかは、なんとなくわかっていた。私はCNCで1/2インチのバルチックバーチ材合板を切り出し、余っていた比較的大きめのカーボンファイバーの板を使って、フレームのベースを作った。
時間もないし、切削パスも複雑になるので、カッターを使ってフレームに切り込みを入れた
ドリルに水平器をくっつけた。かっこ悪いが、なかなか便利だった
細く切ったサンドペーパーでSDカードスロットの穴を滑らかにする
液晶パネルをぴったり収めるためには、サンドペーパーで少し削る必要があった
(パーツリストとデザインファイルはここにあります)
朝の4時までがんばること数回、飛行機に乗る前日にRaspberry Piタブレット(PiPad)が完成した。このビルドには問題が残ったままが(EthernetジャックとUSBポートがうまく入らなかったので、取り除かざるを得なかった)、すべてちゃんと機能しているので、私は満足している。さて、問題は空港のセキュリティだ。
私のPiPadは客室乗務員の目に留まった。しかし、彼女が注目していたのは、画面に映っていた映画のほうだった。
上の写真はサンフランシスコへ向かう飛行機の中で撮影したものだ。空港のセキュリティに不審がられることはなかった。機内では、ひとりの客室乗務員が脇を通るたびに、私の膝に乗っている手作りのパッドを覗き込んでいった。あるとき、彼女が私の肩越しにじっと見ているのに気がついた。なにか言いたそうだった。彼女は私をつついて(もうおしまいだと思った)、こう言った。「いい映画よね。ここからがいいところなのよ!」 彼女は私がRaspBMCで再生していた映画『タラデガ・ナイト』をチラ見していただけだったのだ。それから後、私は飛行機の旅にかならずPiPadを連れて行くが、声をかけられたことは一度もない。
Eben UptonがPiPadの裏のカーボンファイバーにサインをしてくれた!
Raspberry Pi財団の創設者、Eben Uptonに何度かメールを出したのだが、Maker Faire Bay Areaではとうとう会えずじまいだった。だが、Maker Faire New Yorkでようやく彼を捕まえることができた。彼はじつに腰が低く、おそらく私が会ったなかで最高に分別のある人だった。言葉にはできないほど、いい人だった。しばらく会話を交わしたあと、私は彼にPiPadを見せた。彼はいくつか世辞を言ってくれて、少しいじったあと、快く私の願いを聞いて、裏面にサインをしてくれたのだ。カーボンファイバーの上で、彼のサインはひときわ輝いている!
このRaspberry Piタブレットには、おおむね満足している。私が望んでいたことはすべてやってくれるし、Maker FaireでRaspberry Piの実力を披露することもできた(あなたも見てくれたかもしれない)。10,000mAhのバッテリーは6時間持つ。どのMakerからもお褒めの言葉をもらえた(そのなかにBunnie Huangもいた!)。コンセントに挿したときも駆動するバッテリーにしておけばよかったとは思う。そのほか改良したい部分は、ほとんどがソフトウェアに関するものだ。アイコンのダブルクリックが不安定なのと、RaspBMCがN-Trigタッチドライバーに対応していないことだ(やり方さえわかればカーネルにコンパイルするのだが)。もうひとつ作るとしたら、カメラと赤外線センサーも組み込みたい。
[原文]