Fabrication

2014.03.28

CNC加工 vs 3Dプリンティング

Text by kanai

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当然のことだが、3Dプリンターは大きな反響を呼んでいる。熱烈なDIY愛好家は、自分のパーツを自分で作れるという部分に夢中になっている。しかし、あなたが作ろうとしているものに、はたして3Dプリンターは最適なツールなのだろうか。

3Dプリンターの製造方式は積層型だ。ほとんどの場合、熱して溶かしたプラスティックをエクストルーダーから絞り出してモデルを“プリント”していく。これは、素材の塊からカッターを使って余分な部分を削り落としていく切削型のツールとは対称的だ。切削型の製造方式は、積層型よりもずっと一般的で、とくに金属や木材ではそれが主流だ。旋盤、フライス盤、ノコギリ、ドリル、そして、レーザーカッターやビニールカッターなどのCNCマシンは、みな切削ツールだ。

3Dプリントに匹敵する切削マシン

CNCフライス盤やルーターは、3Dプリンターに匹敵する切削マシンだ。しかしホビイストにとって、フライス盤はいろいろな意味で3Dプリンターよりも使いづらい。

フライス盤は、本質的に削り屑を多く出す仕組みで、特別な集塵装置などを備えない限り、部屋中が削り屑だらけになる。

フライス盤のほうが危険度が高い。エクストルーダーが熱をもって燃える危険性もあるにはあるが、私は実際にCNCルーターでボヤを出している。2万rpmで回転するビットや、ときには素材が、こちらに向かってすっ飛んでくることもある。

フライス盤やルーターは3Dプリンターに比べて大きくて重い。価格も高いし、移動が困難だ。固い部分に当たったときは、精度を維持するためのポジショニングシステムが必要になる。また、高い精度で削るためには、強力なモーターも必要だ。

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フライス盤ではソフトウェアの設定も複雑になる。CADや3Dモデリングソフトで削り出したい形を描いたら、コンピューター支援製造(CAM)ソフトウェアを使ってツールパスを生成する必要がある。それには、素材のサイズと位置、エンドミル(カッター)のサイズと形状、各軸と主軸の速度といった設定要素が含まれる。これを行うためのツールは一般に複雑で、初めての人間には扱いづらい。

ユーザーの観点からすると、CNCフライス盤は、3Dプリンターよりもずっと難しい。しかし、CNCフライス盤には3Dプリンターに大きく勝る利点がある。技術が成熟していることだ。家庭用の3Dプリンターはものすごいスピードで進化しているが、良質なプリントができるようになるまでには、まだまだたくさんの試行錯誤が必要だ。

何を作りたいのか?

大きくて構造的なものを作りたいのなら、フライス盤だ。さらに、プラスティックよりも木材のほうが安くできる。結果も、ずっといいものになるはずだ。

反対に、複雑な立体形状のものならば、3Dプリンターのほうが、CNCフライス盤よりもずっと簡単に作れる。2.5Dの切削ができるフリーソフトはあるが、三次元切削のためのCAMソフトは非常に効果で、操作も難しい。

3Dのものは3Dプリンターがいちばん簡単だ。SketchUpやInventor Fusionといったフリーソフトでモデリングを行い、STLファイルに書き出す。スライシングソフトがSTLファイルからツールパスを生成して自動的にG-codeに変換する。それを3Dプリンターに送る。パスの微調整も必要なければ、ツールが素材を傷つけてしまう心配もない。

小さな3Dオブジェクトを作ることが目的なら、3Dプリンターが最適だ。

DIY CNC

フライス盤を選択したからと言って、それ自信のパーツを作らせたり、自分でマシンを作ることができないわけではない。『Build Your Own CNC Machine』の著者、Patrick Hood-Danielは、RepRap 3Dプリンターとその子孫と同じように、自分自身のすべてのパーツを製造可能なスクラッチビルドのCNCマシン・キットを作っている。フレームも合板を切り出して作る。そのほかは標準的なハードウェアを使用する。

アルミ製のアングル材、ボルト、ネジなどはどこの金物屋でも売っている。長ネジや緩み止めナットなどは、McMaster-CarrDumpsterCNCといったネットショップで注文しなければならないだろうが、どうしても入手できないときは、別のパーツでなんとか工夫もできる。ステッパーモーターやステッパードライバーはごく一般的なものなので、販売店は数多い。スピンドルには普通の木材用ルーターを使う。私はPorter-Cable 892を使った。

RepRapと同じように、PatrickのCNCルーターには、それを作るためのユニットが必要になるが、大抵のCNCルーターなら2×4インチの合板からパーツを切り出すことができる。CNCが使える場所については、MAKEのデジタル製造のためのリソースのページ(英語)を見てほしい。近所で必要な機械を使わせてくれる場所が見つかるはずだ(どうしても見つからないときは、Patrickからキットを買うこともできる)。

CNC Routing Machine Kit Version 1.3パーツのCAMのファイルはここからダウンロードできる。このサイトでは、組み立て方を解説したビデオも見ることができる。CAMファイルはクリエイティブ・コモンズ帰属-非商用ライセンスで公開されている。つまり、自分自身や友だちのためにマシンを作るのは自由だが、商業的に販売していはいけないということだ。

このCAMファイルは独自のCamBam形式になっているが、無料版もあり、DXFファイルの読み書きもできる。高性能なCAMソフトウェアは大変に高額なので、まだ持っていない場合は、CamBamを使うとよいだろう。CADもCAMもできる。無料版でもかなりの高機能だ。

もうひとつ、お勧めのパーツはBart Dringが開発した MakerSlideシステムだ。Inventablesで購入できる。BuildYourCNCの最大の欠点は、木製フレームのために強度が低く精度が下がってしまうところだ。MakerSlideは、一般的なアルミ抽出材(80/20やMisumiなど)を利用してVレールにするというシステムだ。MakerSlideとアルミ抽出材を組み合わせて使うことで、木だけで作るときに比べて、強度や精度を高めることができる。

この記事は『2013 Ultimate Guide to 3D Printing』と『Make: 3D Printing』に掲載されたものを転載しました。

CNCマシンを使ったすごいプロジェクトがあったら、CNC Machining Contestに応募してほしい。賞金はMaker Shedでの200ドル分のクーポンだ。ここでいろいろなCNCプロジェクトが見られるよ。

– Tom Owad

原文