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2016.07.22

Nerdy Derbyはニューヨークからやってきた「ルール無用」のミニチュアカーレース大会![Maker Fairer Tokyo 2016はここが楽しい!]

Text by tamura

昨年は「メントス×コーク大噴水」のEepyBirdの2人が、Maker Faire Tokyoの会場を沸かせましたが、今年は「Nerdy Derby(ナーディー・ダービー)」というミニチュアレースカー大会をニューヨークから招待することになりました。どんな競技かは上の1分の動画を見てもらえば一目瞭然。ワッシャーをタイヤにしたミニチュアカーを自由に作って、長さ50フィート(15メートル)、高さ7フィート(2.1メートル)のコースをを走らせて競うというもの。モーター、ゼンマイなどの動力は使いません。誰にでも楽しめて、奥が深く、しかもギャラリーも盛り上がるという、Maker Faireにぴったりの企画です。

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今回は、来日するNerdy DerbyチームのTak CheungさんとJaymes Decさんにメールインタビューを行いました。なお、参加方法などは、当日会場にてご案内します。どうぞお楽しみに!

MAKE:まずは、Nerdy Derbyについて教えて下さい。

Tak:Nerdy Derbyは、ミニチュアカーを作って競争させる「ルール無用」のレース大会です。参加者には、基本となる自動車のキット、そのほかさまざまな部品、手動工具が与えられ、製作のガイダンスも受けられます。製作とテストには時間制限も回数制限もありません。レースは長さ50フィート(15メートル)、高さ7フィート(2.1メートル)の3レーンのコースで車を競争させます。レースは常に行われているため、参加者は、一度走らせた車をまた製作スペースに持ち込んで改良を加えることも可能です。

MAKE:Nerdy Derbyは、いつ、どんな経緯ではじまったのですか?

Tak:私たちは、ニューヨーク大学ITP(Interactive Telecommunications Program)の大学院課程の学生プロジェクトとして、2012年のニューヨークのWorld Maker Faireの会場で、最初のNerdy Derbyを開催しました。アイデアのもとになったのは、子どものころのカブスカウトのパインウッドダービーレース(編注:松の木のボディを使ったキットで車を作るレース競技。車体の大きさや重さなどルールが厳密に決まっている)で、それを私たちなりのやり方でやってみたいと思ったのです。想像力に限界はありませんから、ルールや制限のないレースを行うということは、私たちにとってエキサイティングだったのです。異なる材料を提供すること、または、食べられる車を作る、速い車が勝つ、遅い車が勝つ、もっともカラフルな車が勝つ…などのテーマをキュレーションすることで、特定の結果を導き出すことができることも発見しました。

このプロジェクトがWorld Maker Faireでデビューした後、私たちはいくつかのSTEAM教育関連のイベントに招待されました。どのイベントもとても楽しいものでした。何度もそういった活動に参加したことで、私たちはこのプロジェクトを会社にしたいと考えるようになりました。あらゆるコミュニティのために、創造的で手を動かす学びの体験をデザインする非営利組織のNerdy Derby Inc.を作ることに決めたのです。Nerdy Derbyを発展させていく途上では、特定のテーマについての創造力の挑戦をデザインしてきました。

MAKE:Nerdy Derbyについて、あなたが体験した、もっともうれしかったこと、もっとも印象に残った出来事を聞かせてください。

Tak:World Maker Faireで最初のNerdy Derbyを行ったとき、私たちはそんなにたくさんの人が参加するとは考えていませんでした。一日の終わりが近づいてきたころ、車輪の部品がなくなってしまったのですが、ある家族がそれでも参加したがったのです。私たちは彼らの参加をOKしたのですが、車輪はありません。その家族はペーパークリップで車輪を作って車を完成させ、その車は、50フィート(15メートル)のコースのゴールまで見事に滑り降りたのです。本当にすごいことでした。

Jaymes:2013年、学校で開催したNerdy Derbyの最後の朝、私はラボを走り回り、その日の準備をしたり、材料を揃えたりしていました。すると、子どもたちがすでにラボに来ていることに気がつきました。2人の生徒がドライバーを借りに来たのです。コースを設置した地下のカフェテリアに、先生が付き添っているかどうか心配になったので、私はエレベーターに跳び乗って地下に向かいました。そしてエレベーターのドアが開いたとき、そこで見た光景に私は感動しました。

39人の女の子たちが2人ずつ(ひとつは3人)のチームに分かれて、車作りに没頭していたのです。速い車を目指すチームもあれば、可愛い車を目指すチームもあり、ほとんど完成に近づいているチームもあれば、あと1時間ではとうてい完成しないであろうと思われるチームもある。みんなが作ることに集中している。先生はひとりもいないようでした。生徒たちと、トラックと、彼女たちの車があるだけ。そこには学びとホットグルーの匂いが漂っていました。

「自分のクラスをどんなクラスにしたいか」ということを考えるとき、私はすべての生徒が、各自にとって重要なプロジェクトに参加しているクラスを思い浮かべます。おだてて始めさせるのではありません。自分たちのアイデアで身の回りの何かを進化させる、あるいは新しくデザインしてそれを作り、テストするという、本当に真剣な欲求からプロジェクトに取り組んでいたのです。

MAKE:Maker Faire Tokyoで行われるNerdy Derbyで、期待すること、新しいチャレンジについて教えてください。

Tak:私の経験では、参加者は「ルール無用」でありながら彼らの目の前には限られた材料しかないということに強い関心を持ちます。このことが彼らの想像力をより自由にするのです。すべてのNerdy Derbyで、とんでもなくおかしい車や、へんな名前、飾り付けを見ることができます。東京のNerdy Derbyにどんな車が出場するのか、待ちきれません。どんな文化的背景からそれらの車が生まれるのか理解できれば、と心から願っています。

Jaymes:Nerdy Derbyが東京でどのように受け入れられるか、とても楽しみにしています。私は日本に行ったことがありません。日本とアメリカの文化の違いによって、車の作り方や、Nerdy Derbyへのアプローチがどう変化するかを見てみたいと思っています。日本のFabLab(FabLab Shibuya)のエンジニアが用意するオリジナルのコースやチャレンジも楽しみです。


今年のMaker Faire Tokyoは、たくさんのユニークなMakerの出展の他にも楽しい企画が盛りだくさん! 民間宇宙開発やDIYバイオをテーマにしたセッションも行われるプレゼンテーションも、充実しています。本日公開された注目のプログラムと合わせて、ぜひチェックしてください! 今後も順次情報を公開していきますので、どうぞお楽しみに!


Maker Faire Tokyo 2016の前売券は、ローソンチケットイープラスにて好評発売中(前売:大人 1,000円、18歳以下 500円、小学校未就学児は無料)。前売券をご購入いただいた方には、当日会場にて下のデザイン(昨年とは違います!)のオリジナルステッカーをプレゼントします!

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