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2017.08.15

Maker Faire Tokyo 2017レポート:”やりたいこと” をモジュールにしてつなげる「Hackable Things」

Text by Takako Ouchi

「littleBits」もそうだし、ソニーの「toio」のようにユーザーが “自分で何か作れる” ツールキットはどうしてあんなにワクワクするのだろう? Maker Faire Tokyoはそんな新しいツールにふれる体験の場でもある。Surface & Architectureによる「Hackable Things」は、”ものの改変しやすさ” に着目したツールキットだ。

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“やりたいこと”と”やりたいこと”を接続する

できあがった完成品を購入してきて生活の中で使うのではなく、カスタマイズの自由度を上げたプロダクトを、ユーザーが自由に変えて使う。それによって人、そして人の暮らしどう変わるだろうか? 「Hackable Things」は、そんなコンセプトから生まれたプロジェクトだ。

“改変しやすさ” というとちょっとわかりにくいが、要は、自分のやりたいことをつないで、自分に便利なツールを作っていくことができるというもの。今回、ケーススタディとして「なんでもアラーム」「つながるタイマー」「しゃべるクロック」をプロトタイプとして制作。 当日のブースでは展示とともに、ブースを訪れた人たちからのアイデアを付箋に書き出していた。

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タイマー、クロック、アラームに「あなたの “〜したい”」をつなぐ

「つながるタイマー」は始めと終わりを自由にカスタマイズできる。たとえば、料理で煮物を作ることを考えてみよう。「沸騰するまで中火で10分」、沸騰した後は火を弱めて「弱火で15分」などのように、連続しているプロセスの中で計りたい時間が決まっている。

この場合、「つながるタイマー」を2個つないで、10分経ったら次は15分を計る、という一連の動作をセットすることができる。たとえば、「なんでもアラーム」のアクチュエーターの先に柔らかい素材を付けて、時間が来たら顔や手にふれるようにしておくと、まるで実家の猫に起こされるような感覚で目を覚ますことができる(かもしれない)。

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意外にメトロノームにもなりそう。うちわをつないで扇風機代わりにもなる

「しゃべるクロック」では録音した音声を時間で再生できるので、たとえば「あと10分ででないと遅れますよ」と出発時刻に合わせてセットしておくことで遅刻防止に効果が期待できる。どうしても出かける直前になって準備に慌てて約束の時間に遅れてしまう人には便利なツールになる。こうした本当に些細なこと、だけどそれがちょっと便利になるだけでうれしいということは実は多い。そして、些細なことだけに、人によって違いすぎて、マスのプロダクトでは対応できない。

これまでは手に入るプロダクトに合わせて人が暮らしていたが、人がその人の習慣や性格に合わせてプロダクトを改変できたら、日々の幸福度がちょっとは上がるかもしれない。ちなみに、筆者が欲しいのは、土鍋でごはんを炊くときに、タイマーで時間が来たらガスを止めてくれるもの(タイマーは止めたものの、ガスを止めずに焦がしてしまったという失敗から)。

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