Kids

2016.05.31

Maker Faireを存分に楽しむための教師の知恵

Text by Michelle "Binka" Hlubinka
Translated by kanai

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好奇心と学ぶ意欲とをあわせ持つ教師は、Maker Faireと大変に相性がいい。同じことを何年間も、いろいろな方法で説明し続けてきたことで、教師は初心者の案内役として十分な訓練を受けている。毎年、私はかならず教師たちに聞くことにしている。Maker Faireを、どのようなプランでどのように見て歩けばよいのか、そのコツをだ。ここに紹介する話は、2016 Maker Faire Bay Area Teacher Teamのメンバーから聴き取ったそのままだ。

教師たちがお勧めする行動……

気まずいことをする。ピアノの前に座り適当な音階を弾くと、モンスタートラックのライトバーに埋め込まれた消火キャニスターの頂上から巨大な炎が吹き上がる(仕事中にあんなことをするように人に言われたわけではなく)。

ただ歩き回る。そして出展者に作品について聞く。みんなよろこんで話してくれる。触っていいか聞いてみる。何か作れるか聞いてみる。勇気をもって。結果は気にしない。経験をメイクしよう。

早く来て遅くまでいる。そして、歩いて見てまわる覚悟をする。

子どものMakerに話しかける。彼らの物語とその情熱を聞くと、刺激がもらえる。

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・私はEepyBirdの「メントス×コーク大噴水ショー」の見せ方が好きだった。彼らはさまざまな味のソーダ、温度、ノズルのタイプ、キャンディーの数などを違えて試した結果を解説していた。それは、学習が実体化した、楽しくて素晴らしい実験だった。

・私は手を汚すことを強く勧める。子どもたちが何を作っているのか、また自分で作ろうと努力しているところを見習おう。

The Dark Roomには、絶対に行くべき。情緒的で没入するような感覚の光の体験。暗室に出展しているMakerは光に関係するものを作っている。その考え方は、人生経験のあまりない子どもたちでも簡単に理解できる。

・作品を完成させた「子どもMaker」に称賛の気持ちを伝えよう。彼ら自身の写真を撮り、その作品の写真も撮る。あなたが本当に興味を示していることを伝えるのだ。

オープンな気持ちとノートとカメラを持って行く。ゴールを決めずにただ探検し。試して、吸収する。

・参加型の展示に立ち寄る。遊ぼう!

おもに教育者へ向けた助言

試してみる。去年、私はドレメルのドリルプレスを試した。学校に導入するにも安価だし、子どもたちもすぐに使えるようになる。

クラフトエリア。以前はそこであまり時間を使えなかったのだが、去年はゆっくりできて、教室で使えそうなアイデアをいっぱい吸収できた。

・子どもたちが、どのようにプロジェクトと関わっているかをよく見る。すると、子どもたちが作ることをとおして、学びが実現していることがすぐにわかる。

・私たちも子どもたちも、行動することで学ぶということを忘れずにおく。遊んだり、力を合わせたりも同じ。学習においては、宝石を得るために「散らかす」ことが重要。冒険、失敗、創造、再考、作り直しのための時間が必要だ。

Google Hangoutを使おう。数人のMakerとやりとりする。生徒たちが自由に質問できて、プロと同じ問題にぶち当たったことがわかったという、とてもパワフルなツールだ。

・新しいスキルをどのように使うかを学ぶ過程が重要。小学校ではハンダ付けはできないが、新しいスキルを教えて、新しいことを学ぶ感覚を味合わせることはできる。

たくさんたくさん写真を撮る。そして子どもに見せる。

・時間をとって、子どもたちと関わり、彼らが学んだ情報を教えてもらい、プロジェクトを思いついた過程を評価させる。学んだ情報を人に伝えることが、そこから先に知識を伸ばすために役に立つ。彼らが費やした時間とエネルギーには価値があるということが、きっとわかる。

得意分野だけに執着しないこと。そこで繰り広げられている専門外の情報から刺激を受けよう。そして教室に戻り、インスピレーションを実際に使ってみる。

同僚と見に行く。そうすることで、ブレインストーミングもできるし、互いに意見を言い合うことができる。頭はひとつよりも複数あったほうがいい。

・教育者たちは時間を作って、子どもたちがビックリして感動する事柄を、自分のこととして考えることを強くお勧めする。ロボットはなぜ動くのか、マーキーの光はどうやって動いて見えているのか、植物はどうやって種から花を咲かせるのかなど、その驚きを、Maker Faireの体験に結びつける。目をいっぱいに見開いて、好奇心旺盛に、子どもになってMaker Faireを見て回る。偏見や前知識を捨てて見ることで、教育者は、よりリッチで、人間的で、洞察的な体験を得ることができる。そこで得たワイルドなアイデアを教室に持ち帰るのだ。もちろん、巨大な炎を吐くロボットも、ぜひ見ておくこと。

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素晴らしい日々の素晴らしい言葉

私は、Maker Faireを訪れた教師たちからのさまざまな考え方や深い洞察の言葉をみなさんに伝えることを楽しみにしている。

・子どもたちに一生学び続けるように刺激を与える方法をたくさん発見した。何かを解明したいと思ったとき、私たちは労せずに学んでいる。学習は楽しい。退屈な作業ではない。

・私は、教室でアップサイクルの考え方、プロセス、プロジェクトについて話したいという人たちとつながった。私たちの学校は新しく、まだリソースが足りない。彼らは、私たちが考え方を広くすることで、いかに多くのものを持っているかがわかると教えてくれた。

・私が気がついたなかで最大のものは、非常に小さな子どもまで物を作っていることと、彼らが自分たちの活動の説明を上手にすることだった。彼らの情熱が、じつに明快な言葉に表れていた。特に、Lighthouse Creativity Labの「魅力的なものを手にする」と彼らの学習の記録には刺激を受けた。私はそれを、教室とコミュニティに持ち帰った。

・あるMaker Faireでミシンを使った展示を見て、何を作るにしても、それはエンジニアリング科学(engineering science)なのだなと感じた。幼稚園や学校という場所では、科学は生物学(植物や動物)、物理(物体の性質や状態)といったものが科学だと考えがちだが、Maker Faireを歩いてメイキングのさまざまな側面を見ることで、子どもにとって、遊ぶことがいかに重要であるかに気がついた。私たち教師は、子どもたちが遊んでいるときに、さまざまな素材を使う機会を与えることが大切だ。私は自分のミシンを学校に持ち込んで、子どもたちに縫わせてみた(監視の下で)。

・私が教えているスキルと、生徒たちが将来社会に出てから成功するために役に立つことについて考えさせてくれた。そのスキルとは、創造力、創意工夫、大胆さのひとつだ。このMaker精神は、既存のものではなく、何が可能かというビジョンに制約を受ける。

・Maker Faireに影響されて、金曜日の教室での20%の時間を、生徒たちが興味のあるプロジェクトや観察にあてることにした。生徒たちはこの時間を、Code.orgの20時間コースに使ったり、Arduinoでロボットやパーラービーズの工作に当てていた。

・よく、私の生徒たちには無理だろうと思うものがあるが、Maker Faireに参加している子どもたちを見ると、それが間違いであることに気づかされる。

・Maker Faireを訪れたあとは、できると考えたことはなんでもやりたいという気持ちになる。私のやりたいプロジェクトのリストはどんどん長くなる。

・Maker Faireで刺激されて、私は初めてFood Exploration Club(食べ物探検クラブ)を作った。火の玉を吐く巨大なマシンや美しい3Dマシンよりも、私が驚きすごいと思ったのは、素朴な職人だった。彼らは自分の道を突き詰めてスキルを磨き、製品を作り、作ることとの個別の関係を築いて生活を支えている。クラブは、生徒たちに、もっともシンプルなおいしい方法で、私たちが毎日作っているものを認識させるものだ。私たちは、ピクルスの作り方と発酵プロセスとを結びつけ、乳酸が混合の力からどのように生まれるかを示すことに成功した。生徒たちに制限を与えるのは、何を持っているかではなく、不可能だと言われることだ。

・私の行動範囲内の知らない地域から、どれだけたくさんのグループが参加しているかを知って驚いた。

・リサイクルされた材料からたくさんのものが作られていることを大変にうれしく思った。それは教師にとって重要なことだ(予算がないから)。

インスピレーション

最後に、我らが教師たちが影響を受けたものとは……

・教える人たち。ツール、体験、パターン、戦略。「オープンソース」な人生へようこそ!

・Makerの創造性、想像力、恐れないこと、前向きな気持ち。参加者の多様性。しかし、すべての人たちの間に仲間意識を感じた。全員が自分の持てるもの、知っていることを人に話したがっている。なんという完璧な状況!

・Maker Faireの本質である参加型の展示と、それが学びたい人に与える作用。誰かが参加して何かを作っているのを見るたびに完全なる参加を感じる。それが、教師としての私の第一の目標だ。私は生徒たちに、学んでいることに没頭して欲しいと思う。そして、何かをデザインするプロセスに集中するときは、既存のものを一切忘れて欲しいと思う。

・Maker Faireには、コミュニティの協力態勢がある。個性が尊重され、イノベーションが、世界への理解をより高めるために不可欠なものとされている。特別教育の教師として、これこそが、私が作ったタイプのコミュニティにとって、そして私の教室での養育にとって真実だとわかった。

・インタラクティブ・ステーションでものを作ったり、それを披露するときの子どもたちの笑顔。その真剣な取り組みを見て、それが古くからある学校での問題や、生徒の無気力を解決する正しい方向だとすぐにわかった。

原文