Fabrication

2016.09.27

デスクトップウォータージェットカッター「Wazer」登場

Text by Mike Senese
Translated by kanai

デジタル制御のツールにどんどん手が届きやすくなり、それまで工場などに置かれていた機械がどんどん小さくなって値段も安くなっている。3Dプリンター、CNCフライスマシンなどがそうだ。そして今、Wazerはウォータージェットカッターを家庭の工房に送り込もうとしている。

この新しいマシンは、約30×45センチの作業スペース(ベッド)を持ち、素材にもよるが最大で約25ミリの厚さのものまでカットできるという。カットできる対象はほぼすべての素材だ。そこがウォータージェットの強みとなっている。鉄、チタン、アルミ(3ミリまで)、ガラス、石、陶器(9ミリまで)、プラスティック(12ミリまで)などがこのツールでカットできる。これが家庭向けのレーザーカッターやフライス盤と差の付くところだ。CNCプラズマカッターですら鉄専用だ。紙や木材なら最大の厚さまで切れる。彼らは約20ミリ厚の板を切って見せてくれたが、多孔質の素材は他のツールのほうが向いていると話していた。

Wazerは洗練されたグレーのボディーを持ち、2つの部分からなっている。バーベキューグリル程度のサイズのメインのカッターユニットと、その半分ほどのポンプが脇に置かれる。電源は標準の110ボルトで、給水と排水は通常のホースで行う。これも、特殊な水道設備を必要とする工業用のウォータージェットカッターと違うところだ。ほとんどすべてのものが含まれている。ユニットの側面にある引き出しには、研削材(細かいガーネットの砂)が入る。透明な蓋を開けると、カッティングベッド、カッティングヘッド、ガスケットで覆われたCNCガントリーが見える。正面のカバーを引き出すと、小さな缶に収まった使用済みの研削材が出てきて、簡単に捨てることができる(これが工業用マシンなら、大きなポンプで吸い出したあと、残りをシャベルで掻き出す必要がある。誰かがやらなければならない過酷な労働だ)。

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Wazerの創設者、Nisan LareaとMatt Nowickiは、これは2012年、学生時代に課題として作ったものだと話してくれた。素材の切削にグラインドカッターを使いたくなかったので、ウォータージェットカッターを工学のプログラムに選んだのだという。しばらくバイオライトの開発を行った翌年、2人はまたウォータージェットカッターに戻り1月にはHax Acceleratorに参加して、マシンの製品化のために深センに移った。Kickstarterは今週始まった。価格は5,999ドルだが、初期(アーリーバード)のバッカーは3,599ドルとなる。これはすぐに10万ドルに達し、その翌日には50万ドルに達した。出荷は2017年の秋になるという。

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Wazerにも、大型のウォータージェットマシンと比較すると弱点はある。カッターの速度と切れる素材の厚さ、ベッドサイズが劣るのだ。また、CNCフライス盤よりちょっと高い。さらに、高度な精度を求められる切削には向かない(WazerによるとXY軸の精度は0.003インチ(約0.0076ミリ)とのことだ)。完全に切断するように設計されているため、エッチングはできない。これはどのウォータージェットカッターでも同じだが、消費財を使うため、費用がかかる。ノズルも摩耗するため交換が必要だ。

優れている点もある。匂いも切り屑も出ない。熱による素材の変形もない。価格、サイズ、使いやすさは、家庭、学校、メイカースペースなどにとって、パワフルな新しいマシンとなるだろう。
う。

WazerのKickstarterキャンペーンはこちら。10月1日と2日のMaker Faire New Yorkで彼らに会える。

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原文