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2008.05.01

Make: Tokyo Meeting – かないのピックアップ "ウダー"

Text by kanai

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かつてギターを弾いていた宇田道信氏は、もっと効率的に音楽が演奏できる楽器が欲しいと感じ、ウダーを自作した。
ウダーは、見た目はとってもシンプルな楽器。左右の12面柱に螺旋状に巻かれたロープと呼ばれる圧力センサーを押して音を鳴らす。螺旋は1回転で1オクターブ。押す強さで音量も調整できる。じつに合理的な楽器だ。
現在はMIDIで音を出している。MIDI音源だからどんな音でも出せるわけだけど、宇田氏は素朴な縦笛のような音を選んで演奏していた。その音が、またこの楽器の雰囲気に合っている。
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エレキギターやシンセサイザーなど、電気楽器もそこそこの歴史を誇るようになり、デジタル化によってあらゆる音が出せるようになったが、演奏形態は伝統的な弦楽器や鍵盤楽器のスタイルのものがほとんど。ウダーのように、演奏形態を根本から考え直した楽器は珍しい。それでいて、実際に多彩な楽曲を演奏できる。クラシックのピアノ曲でもギター曲でも、理論的には演奏可能だ。
だが、宇田氏が演奏するウダーを見ていると、どうしても単なるMIDIコントローラー、つまり”スイッチ”だとは思えなくなってくる。ウダーの素朴な形には、ずっと昔から存在していたような雰囲気がある。
これはMIDIコントローラーなのか楽器なのか、その点について宇田氏はこう話してくれた。
「コレしかないっていう絶対的なウダーの音があれば嬉しいのですが、ないので困っています。ウダーの音は、『音程、音量が正しく発音される』『音色の変化が連続である』べきだと考えてます。簡単そうな条件なんですが、MIDI音源のほとんどの音色はこの条件を満たしていません。やっぱり自分で音源をつくらなきゃ、と思ってます」
宇田氏が「これだ」と感じるウダーの音をぜひ聞いてみたい。独自の演奏スタイルで独自の音が出たなら、ウダーのための楽曲も生まれてくるだろう。聞いてみたい!

電子楽器ウダー