Electronics

2008.11.28

エネルギー、工学技術、未来……自動車メーカー救済を考える

Text by kanai

Chevyvolt
GM(並びに他の自動車メーカー)の救済に関する協議が新聞の1面を賑わせている。とても興味深い論議で、ボク自身は、我々(アメリカ人)がGMを”救済すべき”と考えている。企業を救うためではない。そうすることで、より厳しい経済状況の到来を先延ばしにできるからだ。アメリカの自動車メーカーはどう考えているのだろうか。救済すべきは、そのエネルギー、その工学技術、Makeが主題としているすべてのものだ。
ボクはGMが好きだ。デトロイトの自動車メーカーとアメリカ車の伝統が好きだ。だからと言って、すべてがオーケーというわけではない。ここにボクの意見を簡単にまとめてみた。なにより悲しむべきは、数年前にGMが主張していた事柄だ。
トヨタがプリウスを発表したとき、GMのボブ・ラッツ副会長は、それを単なる宣伝行為だと話したことが伝えられている。「カリフォルニアのコミューンだかなんだかに住むふざけた一部の環境保護主義者どものキーキーとわめく声にひれふす行為だ」
なんてこった!
同じころ – GMにおいて彼は「一般向けに(4気筒エンジンは2000ccというのが相場のところ)1400ccのエンジンを搭載したV-16 Cadillac Sixteenコンセプトカーを披露した。またGMは、同じ時期にGMらしい大排気量の新型Camaroも発表している。すべては”皇帝”の厳しい監視の下に行われていた……(彼は前世においてDodge Viperも送り出している)」
GMはHummerも所有しているが、現在は売却を検討している。- まだ買い手は見つかっていないけどね。
まだある。「デトロイト発(ロイター)- ゼネラルモーターズのボブ・ラッツ副会長は、地球温暖化を「まったくのク○法螺話」と言い放ったことに関して、自身の私的意見とGMが環境に優しい車両を生産することには何ら関係がないと弁明した」
そして今、ボクたちは彼らの救済を求められている。ボクの知り合いには、ボクたちの両親や祖父の世代のようにGMに感傷的な思い入れを持つ人は少ない。
ゼネラルモーターズの先の社長チャールズ・E・ウィルソンが1953年に述べた「この国に良いことは、GMにも良いことだ」という言葉は有名だ。
地球温暖化に関して、みんなで話し合い、調査することはとっても重要だが、消費者が望んでいる低燃費の自動車を市場に投入する努力をしないこと、そして、アメリカの現状を揶揄することが、過去においても、ボクが思うに将来においても、まったく助けにはならないことについて、よく考える必要がある。GMにとって良いことは、アメリカにとって良いことでもある。現在の我々の立場は微妙だ。ここまで来るのに何十年とかかっているし、ここから抜け出すのにも、残念ながら何十年もかかるだろう。はたしてGMは(そしてボクたち全員は)、そんなに待てるのだろうか。
ラッツ氏は、Chevy Voltの2010年の発売を目指している。ボクはそれが待ち遠しい。そしてこれがGMの新しい出発点になることを期待している。ボクは何もボブひとりを標的にしているわけではない。ただ、我々みんなに向かって言葉を発しているのが彼だというだけのことだ。

Extended-Range Electric Vehicle(航続距離延長型電気自動車)が自動車界を一新するという噂は、もはや単なる噂ではありません。事実、この推進システムは、今日までに登場したいかなる車両あるいは電気自動車のものとは異なる、非常に革命的なものです。私たちは、この驚くべき夢を現実にしたのです。ガソリンを使わずにドライブができる日がやって来るのです。
Chevy Voltは、アメリカの通勤者の75パーセントが、ガソリンを一滴も使わずに移動できるよう設計されています。つまり、移動距離が1日に40マイル(約64キロ)以下の方なら、Chevy Voltはガソリンを1滴も使わず、排気ガスもまったく出しません。
これまでの電気自動車とは違い、Chevy Voltは、電池の充電量を超えて走ることができる革命的な推進システムを備えています。リチウム・イオン電池とガソリン駆動式の航続距離延長エンジンを組み合わせることで、40マイルの電気走行可能距離を超えた場合に、エンジンが発電を開始するようになっています。

政治家たちも覚えているはずだが、結果は目に見えている。もし救済が実現した場合には、はっきりとした燃費向上目標を定める必要がある。自由市場ではなく、政府がそれを行うべきという考えは古くさいが、今、我々はその状況にある。2005年、自動車産業界は、燃費向上を目指した法案を無力化してしまった。今も、彼らにそんな力はない。
どう思う? 意見をアップしてくれ!
訳者から:80年代ごろからアメ車のデザインがヘボヘボになってきて、今ではぜんぜん魅力がない。新しい車を買おうと思ったときに、日本車かドイツ車、ちょっとカッコつけてイタリア車かフランス車か……ぐらいだよね、選択肢は。ロシアの車とかアメ車はどうしても対象にならない。メーカーがアメリカ国内にしか目が向いてないのは、スタイルだけを見てもわかるね。ほとんど内需だけでやってきたのはえらいけど、外を見ないと洗練されない部分もある。あれだけの巨大メーカーが本気で世界に目を向けてないってのは、もったいない話だよ。そういう意味でもアメ車にがんばってほしいとボクは思うけど、救済については、村上龍が面白いことを言ってた。アメリカ政府は自動車産業の救済を一切してこなかった。だから有能な若い連中がコンピューター産業に流れてIT革命が起きたんだって。自動車の景気がよかったら、ビル・ゲイツも自動車会社に就職していたかもしれないってね。これも面白い意見だと思う。
アメリカのこの記事には多くのコメントが寄せられ、熱い論議が続いている。大半は救済に反対だね。
– Phillip Torrone
原文