2009.11.06
チャールズ&レイ・イームズが作った重力鉄琴
この “音楽のタワー” は、Eames Demetrios の短編映画「901:チャールズ&レイとイームズ・オフィス 45年後の記憶」(901: After 45 Years of Working)に登場する。「901」 では、有名なアメリカ人デザイナー夫妻チャールズ&レイ・イームズのオフィスが、1988年にレイが亡くなったことで解体される様子が記録されている。イームズのオフィスは、Makerの夢の国だ。完成したプロジェクトや未完成のプロジェクトが散乱し、工具や材料がきっちり分類されている。また、部屋の隅や隠れた場所に、かわいい安物の装飾が置かれている。
この映画の最初の数分間に、楽しい鉄琴のBGMが流れている。それはやがてイームズ夫妻がデザインしたオモチャの試作品から出ている音だとわかる。彼らのオフィスに、彼らが遊ぶために据え付けられていたものだ。
タワーは、約15センチ四方、高さ約4.5メートルの木製の筒で、正面はアクリル貼り、側板には、前後から鉄琴の音板を差し込むためのスロットがある。このスロットは、音板の音がよく振動するように、また入れ替えが簡単にできるように、少しゆるめになっている。音板は、内側がやや下を向くように、斜めに入るようになっていて、上からプラスティックの固いボールを入れると、音板を順番に叩きながら下へ落ちてくる。それが音楽となって聞こえるのだ。ボールは空気式の射出機によってタワーの上まで運ばれる。
このタワーが実際に鳴っている映像は、ネットでは発見できなかったが、「チャールズ&レイ・イームズ 映像作品集」DVD ボックスの1枚目に 「901:チャールズ&レイとイームズ・オフィス 45年後の記憶」が収められている。これには、古典的名作 「パワーズ・オブ・テン」の完成版とラフ版も入っている。ぜひお勧めしたい。
– Sean Michael Ragan
訳者から:「チャールズ&レイ・イームズ 映像作品集」はこれ。日本で発売されているDVDボックスにも「901:チャールズ&レイとイームズ・オフィス 45年後の記憶」は収録されている。
[原文]