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2011.10.17

Zero to Maker(ゼロからのMaker):プラスティックの国を冒険

Text by kanai


これから1カ月ちょっとの間、ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力の過程を定期的に報告します。きっと面白いものになるよ。 – Gareth

MakeのPlastics monthを記念して、私もZero to Makerの旅でシリコンの世界を訪れた体験を披露したいと思う。「非 Maker」(というより「未Maker」と呼ぶほうが好きなんだけど)にとって、プラスティックは天啓となり得る。私たちは、いかに日常の品々を簡単に作れるようになるかを知って驚き、世の中のじつに数多くの品々がこうやって作られているのだと知ることで物の見方も大きく変わる。そんな驚きの世界に目を向けさせてくれるのだ。
プラスティック工作の初体験は、TechShopのRTVモデルメイキングとキャスティングのクラス だった。講師はTechShopのベテラン、Tom Twohy。この素材をまったくの初心者に教えるには最適な人物だ。Tomは、お面やオモチャやさまざまな発明品の成形の専門家として生きてきた人だ。プラスティックに関する膨大な知識があるだけでなく、TechShopが開業したときからのスタッフであり、人に物を教えるノウハウにも深いものを持っている。彼の創造への情熱とプラスティックの無限の可能性は人に伝染する。
tom twohyが作ったお面。彼のブログでもっと多くの作品が見られる。
YouTubeWikipediaでもRTV(室温硬化型ゴム)の成形方法は学べる。型を作り、主材と硬化剤を混ぜて、型に注ぎ込むというものだ。しかし、Tomのような人間から直接教わらないかぎり、情熱を感じたり、想像力を刺激されることはない。彼は、じつに慎重に準備を行い、細かい精度にこだわりを見せる。それが、無言の教えとなって伝わってくる。プラスティックの硬化時間を使って、彼は最近のプロジェクトをいろいろ見せてくれた。お面の型、新しい携帯電話のケース、GI ジョーの複製などだ。それぞれが異なる素材や成形方法を使っていて参考になる。お面では、彼自身がプラスティック成形でいかに生計を立てているかを教えてくれた。携帯ケースでは、この技術の実用性を、GIジョーではどれほど細かいものが作れるかを、それぞれ示してくれた。また、射出成形やバキュームフォームなど、その他のプラスティック成形のクラスやツールについても話してくれた。
openrovのモータの防水実験。左から、防水なし、シリコン絶縁保護コーティング、シリコンスプレー。
この日の夜、私の頭の中にはプラスティック成形やバキュームフォームの新しいアイデアが飛び交っていた。意外なことに、私の次のプラスティック体験は、このクラスで語られた技術や応用方法のどれにも当てはまらないものだった。まさにその翌日、TechShopでEric StackpoleとZack Johnsonを交えてOpenROVの会議を行ったのだが、船体に搭載するブラシレスモータの防水方法を緊急に考えなければならないとEricが持ち出した。Ericは数多くの設計変更の問題を抱えていたので、これはZackと私で対処することになった。Zackはいくつかの案を出したが、最良の案は外部の人に相談するというものだった。会議のあと、私たちはTechShop内を歩いて、私たちよりも経験が豊富だとZackが目星を付けたドリームコーチやショップの会員に相談してみた。
注:今のところ、私にとってこれがTechShopの最大の魅力だ。ここには文化とコミュニティがある。ドリームコーチは、みな一応に自分の専門外の技術の経験や知識を持っていて、会員たちも、広範な知識を持っている。工具も素晴らしいが、ここの魔法はコミュニティの中にある。すぐに、いくつもの案が揃った。とくに興味が引かれたのは、いろいろなタイプのシリコンスプレーを試すという案だった。それがモータの防水問題を解決してくれるものかどうか、Zackと私は、さっそく実験してみることにした。
Zachは週末いっぱいを使って、この実験を続けて(さらに拡大して)くれた。実験の中心になったのは、シリコンの型剥離剤のスプレーとシリコン絶縁保護コーティングだった。その結果を、Zackが素晴らしいレポートにまとめてくれたので、興味のある方は、こちら(英語)をどうぞ。
これまでの話とおまけ:

– David Lang
原文