大統領:ありがとう(拍手)。どうもありがとう。みなさん、ご着席を。ありがとう。まずは、おはようございます。そして、第一回 White House Maker Faireへようこそ。とてもうれしく思います(拍手)。最初に申し上げたいのですが、ひとつだけ私はスタッフに尋ねたことがあります。Faireの最後になぜ「e」が付いているのかと(笑い)。その、よくわからなかった。馬上槍試合でもあるのか? みんな正装しなければいけないのか? なので、みなさんに申し上げる。来年は、「e」はなくなってる。誰が考えたのか知らないが、ここはアメリカだ。フェアーの最後にeはつかない(笑いと拍手)。ちょっと言いたかっただけです。だれか、その由来を知ってる人がいたら、教えてください。
ここに、3人の傑出した下院議員が見えています。Bill Foster(拍手)、Rush Holt(拍手)、そしてRuss[発言まま]Takanoです。
全米科学財団のFrance Cordova所長もいらしています。France(拍手)。国立衛生研究所のFrancis Collins所長(拍手)、私の科学アドバイザー、John Holdren(拍手)、10年ほど前に最初のMaker Faireの開催に尽力したDale Doughertyをはじめとするイノベーターもいらしています。Dale、立ってくれ。(拍手)インテルの最年少インターンで、ホワイトハウスでマシュマロを撃つことを許された唯一の人物として知られる(笑い)Joey Hudy。どこだ、Joey? あそこにいた(拍手)。まだ染みが残ってるよ(笑い)。マシュマロの跡だ。あれは怖かった。撃たれる側じゃなくてよかったよ。ところで彼は、3x3x3 LEDシールドを持ってきてくれました。これは彼のものです。
そして、サイエンスガイ、Bill Nyeのような素晴らしい人たちもいます。彼らはずっとここにいます。(拍手)そして、偉大なる発明家、Mr. Kamen。ここには頭の良い人たちが集まってます。イノベーティブな人たちです。
始める前に、ひとつ聞きたい。みんな、我が家になんてことしてくれたんだ?(笑い)南庭には移動工場ができてる。ロボットのキリンもいる。ローズガーデンにはでっかい赤い気球がある。玄関にはペーパークラフトの恐竜がいる。ここには3Dプリントした一般教書演説の彫刻もある(笑い)。明らかに、中間部分は編集してもよかった(笑い)。この彫刻は長すぎる(笑い)。そんなわけで、いつものホワイトハウスとは違います。
本日、みなさんをお招きしたのは、今日がD.I.Y.だからです。D.I.Y.は明日のMade in Americaです。みなさんのプロジェクトは、アメリカの製造業に起こりつつある革命の実例です。新しい雇用を生み、今後数十年続く産業を生み出す革命です。
最悪の経済危機から5年経った今、アメリカの産業は51週間連続して雇用を増やしています。トータルで940万の新規雇用になります。しかし、まだまだ増やさなければなりません。その最良の方法のひとつが、アメリカの製造業の強化です。
自動車業界は活気を取り戻しています。製造分野では1990年代以来、初めて雇用が増加に転じました。2010年の2月から、製造業に64万の新規雇用が増えています。議会では目立った動きがありませんが、私たちはできる限りのことをしています。私自身も、この発展が続くように努力しています。そして私たちは、新しく4つのハイテク製造ハブを全国に展開しました。これはもっと増やす予定です。昨日、私はピッツバーグのTechShopを訪問しました。そこは、レーザーカッターや3Dプリンターといった設備をスポーツジムと同じぐらいの会費で使えます。私たちは、起業家たちのアイデアの実現を支援するための取り組みをいくつか発表しました。90名以上の市長が、それぞれの街で起業家たちが新しいものを作り出すための支援をすると約束してくれました。本日、そのうちの数名の市長さんをお招きできたことをうれしく思います。
質の高い製造業の仕事を取り戻すために、私たちはできる限りのことをします。なぜなら、私たちの親や祖父母の世代が、物を買うことでではなく、物を作ることで、物を改良し、発明し、組み立てることで、物を作って売って、国内の市場を成長させ、やがて国際市場を成長させて、この世界最大の経済国家と最強の中流層を育て上げてきたからです。それは、Made in Americaです。
いいニュースは、新しいツールや技術の登場で、物を作ることが非常に簡単になったということです。製造の民主化が、技術によって実現可能になりました。アメリカ全土で、一般のアメリカ人が驚くようなものを発明しています。そして彼らはそれを、Maker Faireのようなイベントに出展しています。こうした創造性とイノベーションの熱狂的な盛り上がりが何をもたらすか、おわかりになるでしょうか。1970年代に、スティーブ・ウォズニアクはApple Oneを開発し、Homebrew Computer Clubのメンバーに披露しました。今日、アップルは5500億ドル企業になっています。私もその場にいたかった(笑い)。そこにいて、それはいいアイデアだと言いたかった(笑い)。ほら、100ドル出すよって(笑い)。
今日ここに集まったプロジェクトが未来のアップルになるかは、私にはわかりませんが、出展作品を見るにつけ、それが作られた過程に感心させられます。
ウェストフィラデルフィアのThe Workshop Schoolのチームと、他の一般的な学校とを比べてみてください。数々の困難を抱えていることがわかります。そこはとても貧しい地域です。しかし彼らには、Simon Haugerという才能溢れる校長がいます。ひとりの生徒がこう言っていました。「先生はモルモットに代数を教えることができるんだ」と(笑い)。Simonの協力で、そこにいるDerrick Bell、Taliya Carter、Joshua Pigfordを招くことができました。彼らは、1ガロンで約100マイル(160キロ)走れるバイオディーゼルスポーツカーを開発したチームです。だからシークレットサービスが私に運転させてくれなかったわけです(笑い)。
ともかく、そこで行われているのは、子どもたちが手を動かして学ぶということです。数学も科学も、実際に何かを作るという作業に深く関わってきます。生徒たちは私に話してくれました。物を作るには、そうした知識が必要になる。だからうんと興味が湧くのだと。Jen McCabeも来ています。彼は、ラスベガスにFactorliというスペースを準備しています。小口の注文製造を行う工場です。キンコーズなどのコピーショップのような感覚で、チラシを印刷するように、アメリカ製品のためのカスタムパーツをプリントしてくれるのです。
サンフランシスコからはMarc Rothも来てくれました。数年前、Marcはホームレスでした。彼はシェルターにいたときに、近所に、レーザーカッターや3Dプリンターなどの新しい工作機械の使い方を教えてくれるTechShopがあることを聞き、彼は会員になりました。それから16カ月で、彼はSF Laserという、自分のレーザーカットビジネスを設立したのです。彼は最近、The Learning Shelterというプログラムを立ち上げました。自分の足で再び立ち上がりたいと考えている人たちに、技術と製造スキルを教える活動です。
展示の中に、移動工場のデザインを手伝ったMITなどの若い学生たちに出会うと思います。移動工場は、一般人にはなかなか使えないと思われていたような高度な工作機械をコミュニティにもたらすものです。安価な保育器の作り方を考案して、すでに世界中で、アメリカの病院にあるような高価な設備を持てない地域の6万人の乳児を助けた若い女性の感動的な話があります。
これを見れば、私たちが今、何か大きなことの黎明期にいることを実感されるでしょう。私がここを案内しながら話をする機会のあった大学教授たちのなかのひとりとは、これを25年から30年前のインターネットと同じだと説明してくれました。あの当時、私たちはデータや情報の活用方法に気づき始めました。今、私たちは、物を作ること、情報革命とアナログの製造システムだったものとの結合が何を意味するかに気づき始めています。これは非常にエキサイティングなことで、私たちはその最先端にいます。しかし、私たちは、このままずっと、確実に最先端であり続けなければなりません。
国として、私たちは、Simonが、Jenが、Marcが毎日やっていることを、やらなければなりません。そして、より多くのアメリカ人に、スキルと、成長産業に職を得る機会を与えなければなりません。だからこそ、私は本日を「National Day of Making」と宣言したのです。そして、その言葉を裏付ける行動に出たのです。
私たちは、21世紀型の工作室を設ける学校を支援します。私は、子どもたちが学びながら実技が行えるよう高校を改革する方法について、大きな関心を持っています。それは、フィラデルフィアのスラム街にある学校だけの話ではありません、他の学校にも必要なことです。なぜならそれが、ただ授業を聞くだけでは勉強意欲を持てない子どもも、活き活きと楽しく勉強できる別の学習方法を与える可能性があるからです。
特許を申請したいスタートアップへの新しい支援も行います。国防省から中小企業庁で、全米科学財団からNASAまで、アメリカで物を作るために、起業家が新しい事業を始めるための援助を増やします。
そしてもちろん、これは政府だけの仕事ではありません。今日、150校の大学が、学生たちの手を動かして物を作る機会を増やすための取り組みをしています。数年前、Partha Unnavaという若者が私にその取り組みを宣言する書簡を送ってくれました。それはもちろん、金属製で3Dプリントされたものでした。紙に書いてはくれませんでした(笑い)。ファイルするのが難しいのですが、大変にクールです(笑い)。
一般企業もステップアップしています。IndiegogoやEtsyからディズニーやインテルまで、アメリカの新たなイノベーションの波を拡大する取り組みを約束してくれています。これらの企業は、それぞれ異なる業界で異なる事業をしていますが、すべてのアメリカ人の能力を引き出すことができれば、みんなが幸せになれるという共通の信念を持っています。
CamilleとGenevieve Beattyは、ノースカリフォルニアのアッシュビルから来てくれました。14歳と12歳の兄弟です。どこにいる? 手を上げてくれ。いたいた(拍手)。彼らは、Beatty Roboticsの共同創設者です。Genevieveが配線を、Camilleがメカニズムと金属加工を担当しています。彼らのウェブサイトには、「ロボットの会社を設立できるんだったら、新聞配達なんてやらないよね?」(笑い)と書かれています。いいモットーです。最高だよ(笑い)。
しかし、Beatty兄弟はこう言っています。この数年間で彼らが学んだ最大のことは、電動工具の使い方でも機械工学でもエレクトロニクスでもなかった。彼らが学んだのは、「想像できれば、実行できる。それがなんであれ」ということでした。これは、アメリカにとって最高のモットーです。
この国は、鉄道で大陸中を結ぼうと想像し、街々に電気を送ろうと想像し、超高層ビルで天を突こうと想像し、インターネットで人々を密接に結びつけようと想像してきました。そのように想像したから、そうなったのです。それは私たちのDNAに刷り込まれています。それが私たちなのです。私たちは終わっていません。アメリカ中のMaker、ビルダー、手を動かす人たちに力を与えようという私たちの取り組みを、すべての企業、すべての大学、すべてのコミュニティ、すべての市民がいっしょに行ってくれることを私は望みます。そうなれば、数年内によりよい働き口を生み出せるでしょう。今の私たちには想像もつかないような、まったく新しい産業が生まれるでしょう。CamilleとGenevieveにはもう見えているかも知れませんが(笑い)。
さらに私たちは、この国の経済を立て直し、中流層を取り戻します。そして、まだ才能を発揮していない人たちにチャンスを与えます。今、こうしている間にも、素晴らしいアイデアを持った子どもたちがいます。大人たちがいます。ところが、彼らには必要な資本金を得ることができません。プロトタイプを作るための工具がありません。そのアイデアを磨いてくれる仲間と出会うための手段がありません。しかし、メイカームーブメントによって、テクノロジーによって、情報革命によって、そうした人たちが今すぐ、創造的作業に取りかかれるようになったのです。それが行える最良の場所は、このアメリカ合衆国をおいて他にあるでしょうか?
ここは、どのように発明すればよいか、どのように夢を見ればよいか、どのようにリスクを背負えばよいかがわかる国です。そしてここは、一生懸命働けば、かならず成功する国です。それが今後も確実に続くようにしなければいけません。みなさんの素晴らしい仕事に感謝したいと思います。じつに刺激的です。
みなさんに神のご加護を。アメリカ合衆国に神のご加護を。ありがとう。(拍手)
日本語版編注:多数の写真と動画を含むホワイトハウスの公式発表は以下になります。─ President Obama at the White House Maker Faire: “Today’s D.I.Y. Is Tomorrow’s ‘Made in America’” | The White House
White House Maker Faireで発表された取り組みに関しては、Make: Japan | White House Maker Faire概況報告書(抄訳)を参照してください。
[原文]