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2012.02.17

Zero to Maker:少なくとも一人じゃない

Text by kanai


ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力のレポートを連載します。- Gareth
昨日、私はTechShopに午前9時30分に到着した。開店して30分後だ。私は朝にTechShopに行くのが好きだ。なんと言っても静かだからだ。人はまばらだ。たいていは、締め切りに追われて、空いている時間を駆使してなんとかプロジェクトを仕上げなければならない人か、常連さんだ。マシンも換気扇も、まだほとんど動いていない。マシンとマシンの間には穏やかな空気が流れ、可能性が漂っている。コーヒーを飲みながらその日の計画を立てる。いろいろと思いつく時間だ。

David Lang(左)とTravis Good(右)。どちらもTechShopの “Zero to Maker” だ。
昨日はとくに楽しかった。常連のメンバーに加えて、あるひとりの紳士が作業テーブルで熱心に本を読んでいた。Travis Goodだ。Travisと私は前日に出会い、共に午後のTechShop初級木工クラスに出席したのだ。話を聞けば、TravisもZero to Makerの旅人のようであった。1月と2月で、TechShopで受けられるすべての講座を受けて、あちこちのハッカースペースを訪ね、ミートアップに参加し、Maker カルチャーにどっぷり浸るつもりなのだそうだ。他人とは思えない。
TechShopでの彼との出会いは、じつは偶然ではなかった。Travisからは、12月にメールをもらっている。それには彼の計画が書かれていて、アドバイスが欲しいと依頼されたのだ。この街に来たときにコーヒーでも飲もうという話になっていたのだが、火曜日、そのコーヒーは、木工クラスを一緒に受けるという形に変わってしまった。
ところが、木工クラスで会話を楽しむことはできなかった。ノコギリや排気装置の騒音もすごいし、作業に集中していないと指を切り落としてしまう。だから、水曜日の朝にTravisと再会できたのがうれしかった。作業場の中でも比較的静かな場所で、彼の旅についてゆっくり聞くことができた。
最初、彼は本を読みふけっていて、私がテーブルのすぐ近くに行くまで気づいてくれなかった。朝の挨拶をかわし、テーブルの上を見ると、いろいろな種類の木材や金属や接着剤が散乱していた。これは何かと聞かずにはいられなかった。するとTravisは、彼のさまざまな計画について熱く語り始めた。木でサイコロを作る、金属を溶接する、木材を4方向にスライスする、透明アクリルを重ねる、対称形のコースターを作るということだった。私は彼の話に引き込まれていった。そして私自身もつられて興奮していった。まだ数えるほどしか講座を受けていないのに、無数の可能性が見えてきたという。そして、その世界を冒険するのが待ちきれないと語った。
冒険。私の頭の中で繰り返されてきた言葉だ。Travisも同じだった。私はそのことを考えてみた。そして気がついた。私が学んできたすべてのことに通じるもっとも大切なこと、この旅で私が悟ったこと、それは「冒険する勇気」だ。
Travisとの会話で、私はいろいろなものを俯瞰できるようになった。この数カ月で、自分がどこまで辿り着けたのか、次に何を期待して、どこへ向かおうとしているのか。しかし、もっと大切なことは、自分がひとりではないとわかったことだ。Travisや私と同じ道を同じ速度で歩んでいる人たちがたくさんいる。みんな、物作りを大いに楽しんでいる。そして共通する目的がある。つながりと、創造と、コミュニティだ。
あなたのZero to Makerの物語を聞かせてください(今年の物作りの抱負でもけっこう)。
過去の記事:Zero to Makerの旅
– David Lang
原文