Kids

2012.01.16

Zero to Maker:自分を説明するということ

Text by kanai


ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力のレポートを連載します。- Gareth
年末休暇。家族といっしょに、素直な気持ちで自分を振り返ることのできる唯一の時間だ。とくに、この一週間は輝いていた。
何年間も、家族から離れて大陸の反対側で暮らしてきた私は、年末の休暇に自分が何を考えて生きてきたかを報告する機会でもある。しかし今年は、私の物作りの冒険を説明するうえで、これまでにない困難を味わった。このZero to Makerコラムのことで、弟に「で、兄さん、ライターの仕事はどうなの?」と聞かれたとき、けっこう難しいものだと感じたのだ。
「順調だよ!」と私は答えた。弟が私の記事を読んでくれていたことを知って、本当にうれしかった。「すごく勉強になるし、本当に楽しいよ。いちばん新しいのは読んだ?」
「ああ、すごくよかったよ」と彼は答えてくれた。彼の声には、好意的な驚きと、わずかな感動が込められていた。
「そう、ありがとう。ボクが今やってるサイドプロジェクトの話は読んだ?」と私は尋ねた。それがとても気になっていたのだ。読者、とくにMakeコミュニティの外の人たちの反応がいまひとつだったからだ。だから、ぜひともこの機会に弟に聞いておきたかった。
「あ……、いや、じつはまだ読んでないんだ」と彼は言った。
弟の声から力が抜けていく。どうやら私に気を遣っておもしろいと言ってくれていたようだ。そこで私はさらに問い詰めた。「そうか。じゃあ、どの記事を読んだんだ?」
「いやその……最近は読んでないんだよ。読もうとは思ってたんだけど。ときどき技術的に難しい話になるだろ。そうなると、ボクは付いていけなくて」
おもしろい。技術的に難しいって? そんな風に考えたこともなかった。もちろん、弟はただ言い訳をしているだけだとは思うけど、ちょっと真剣に考えてみるべきことだとも感じた。私は母にも意見を求めた。すると母も、わけのわからない技術用語が多すぎると感じたそうだ。
これは効いた。大打撃とまではいかないが、私は仲間内でいちばん技術にうとい人間という立場に甘んじていたようだ。少し考えなければならない。初心者Makerとして、Makerの世界を集中的に嵐のように旅をするという特権に恵まれた私は、その体験を、同じような初心者Makerにもわかるように翻訳して伝えなければならなかったのだ。
この数カ月間の自分の旅を振り返ってみた。最初の記事を読み返し、いちばん新しいものと比較した。弟と母の言うことは正しかった。私の文体や言葉の選び方が違う。これでハッキリした。「CAD」や「CNC」とは何の略語なのか、とか、アクリルはレーザーカッターでベクターカットできるが金属はウォータージェットが必要だとか、Makerになる前の自分だったら完全につまづいているところだ。私が学んだことのうちどれだけが、単に語彙を増やすことではなく、知識として役だったのだろうか。
このコラムを書き始めるまで、そして物作りの集中講座を受けるようになるまで、私はいつも意識していた。Maker Faireに何度も参加し、Make Onlineも読んだ。それでも、やっと専門用語に慣れたてきたというレベルだった。Maker Faireのことを初めて聞いた2009年のころのことを思い出してみた。誰かとの会話で、参加するよう勧められたのだ。そのとき、「Maker」という言葉の意味がわからず、二度も聞き返してしまった。それが今では、Maker Faireとは何かを何度も何度も説明する立場になったのだが、何度説明しても、その魔力を伝えることができない。実際に見てみなければ、理解できないことはある。
英語の中で、「make」という単語は69番目によく使われる言葉とされている。しかし、2009年以来、この言葉は私にとってまったく違った意味を持つようになった。この「make」のもうひとつの定義をみんなに説明できるよう、私は一層の努力しなければならない。
そこでみなさんに質問。あなたの「making」の定義とはなんですか?
過去の記事:Zero to Makerの旅
– David Lang
原文