Electronics

2013.12.16

Primo – プログラミングのロジックを究極のビギナー「子ども」に教える

Text by kanai

まったくプログラミングの経験のない子どもに、どうやってプログラミングを教えるか。それがprimo.ioの目指すところです。

primo.ioは、私とMatteo Loglioがロンドンに創設した教育用ハードウェア企業です。今年の初めに、プロダクトエンジニアのJosh Valman、メカトロニクスエンジニアのLucia Rabago-MayerといっしょにPrimoの開発を開始しました。私たちは、4歳から7歳の子どもにプログラミングのロジックを、遊びという魔法を使って教えるための、画面も映像テクノロジーも使わない製品を作ろうと考えたのです。

子どもにプログラミングを教えるという課題に挑戦した製品は、Primoが初めてではありませんが、私たちは、できるだけ小さい子どもに、体で体験させるものを作ろうと思いました。私たちは、20世紀の革新的なプログラミング言語、LOGOと物理的なLOGOを生んだシーモア・パパートの研究に大きな影響を受けています。それをさらに煮詰めて単純化することで、小さな子どもにも使えるようにしようとしました。

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子どもの遊びでは、デジタル製品が当たり前になっています。数多くの、画面で使うソリューションがすでに良い結果を示しています。たとえば、Scratchは、とてもよくできた画面上のツールですが、まだ複雑で、やや大きな子ども向けです。

また、デジタルソリューションは、現在の教育環境では楽に使えるものとなっています。デジタル製品を使えば、いつでも子どもを楽しませることができます。それが普通になっています。しかし私たちは、物理的な製品という、異なる道を選択しました。プログラミングインターフェイスを、コンピューターやタブレットやスマートフォンなどの既存のツールに頼らず、一からデザインしなければならないことは覚悟の上でした。難しい問題でしたが、もともと大人用に作られたものを子どもに合わせて作り直すというのではなく、白紙の状態から子どものためだけに作れることのメリットには大きなものがありました。

教師や児童心理学者の教えを受け、私たちは、事前の経験も、知識も、介助もなく直感的に遊べるシステムの構築に取りかかりました。私たちが考え出したものを説明するならば、カラフルな積み木を使って子どもが簡単なアルゴリズムを組み立てられる、楽しい物理プログラミング・インターフェイスとなります。目的は、友だちロボットを、命令(前進、左、右)の正しいつなげ方を選択して目的地に導くことです。

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Primoの構想は、協力的な「オープンソース」環境から偶然に生まれました。そのプロセスは、素晴らしく刺激的なものであり、コンセプトの段階から、学校や家庭に広く普及させられるだけの規模での生産が容易な商品的競争力のある製品にまで組織的に育てあげるものでした。

FAB LAB Torinoをプロトタイピングツールの「日常的な環境」として使えて、毎回イテレーション(反復型開発)を具現化できたことは、私たちの特権だったと言えます。仕上がりは、これを大いに反映したものとなりました。レーザーカットによる美しい仕上がり、そして、ソースファイル(Kickstarterキャンペーン修了後すぐに公開予定)と、Arduinoと、簡単な電子回路と、ちょっとの創造性があれば、誰もがオリジナル版を作れる自由さも備わりました。それは私たちの、Primoをオープンにしようという強い決意の現れでもあります。

ハードウェアとソフトウェアをオープンソースにするのは、簡単なことでした。プログラミングと早期学習は追求すべき課題であり、そう考えるのは私たちだけではありません。オープンソースにこだわることで、私たちと張り合うのではなく、同じ方向で開発に参加したい人たちが集まることを期待しています。

私たちは、KickstarterキャンペーンでPrimoをさらに広めようと考えました。このクラウドファンドが、私たちに賛同し、今後の開発に協力してくれる技術者や教育者を集めること、そして、次のレベルに進むための経済的援助が得られることという、一石二鳥となることを願っています。

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– Filippo Yacob

原文