Electronics

2014.04.23

MetaWearでウェアラブルが新たなブームとなるか?

Text by kanai

AndroidとiOS開発者向けに作られたMetaWareは、小さくて低電力で、Bluetooth LEを搭載している。でも本当に面白い部分はそこじゃない……

次なる大ブームはウェアラブルだと、私が技術系の仕事に就いたときからずっと言われている。しかし、その予測はさらに大きな声で、頻繁に叫ばれるようになってきた。そして、ウェアラブル市場を睨んだマイクロコントローラープラットフォームがどんどん増えている

何が次なる大ブームになるかを決める要素は、(少なくとも通常は)技術の成熟度にあると私は思っている。つまり、アルファギークではない普通の人がその技術を利用できるレベルに達したとき、ということだ。ウェアラブルはそのレベルに達しているように見える。その決め手となる3つの要素、サイズ、バッテリーの寿命、コミュニケーションが、「可能」であるという段階から「使える」段階に収斂しつつある。

The MetaWear basic platform comes with the MetaWear board, a rechargeable USB battery, a coin vibrator, and a buzzer.
MetaWearの基本プラットフォームには、MetaWearボード、充電式USBバッテリー、コインバイブレーター、ブザーが付属している。

The MetaWear board next to a quarter for scale.
MetaWearボードと、比較のためにおいた25セント玉。

ARMベースのコインサイズのウェアラブルボード、MetaWearは、消費電力が非常に小さく、通信用にBluetooth LEを搭載している。2009年にLeah BuechleyのLilyPad Arduinoで遊んでいたころを思い出す。あの当時との違いは衝撃的だ。ハードウェアの差だけではない(LilyPadのように縫い込むようには作られていない)。その背景にある考え方も違うのだ。

縫い付けるための穴は大きく、用途を限定してしまいます。それは私たちの目指すところではありませんでした。ただ、穴はたくさん空いているので、細い針を使えば縫い付けることは可能です。私の次のハックはそれになるかもしれません。 – Laura Kassovic

私たちは、このボードを開発したMbientLabの創設者のひとり、Laura Kassovicに、MetaWearのこと、Kickstarterプロジェクトのこと、そして、彼女たち自身はこのボードを何に使っているかを聞いてみた。

LilyPadや、その互換ボードであるAdafruitFloraGemmaは、基本的にArduinoだ。Arduinoを使い慣れた人間にとっては、それはありがたいことだが、マイクロコントローラーが難しく、直感的に使えないと感じている人も大勢いる。MetaWearは、マイクロコントローラーをハックする人たちではなく、Android iOS、それにnode.jsの開発者を視野に入れたウェアラブルボードだ。

マイクロコントローラーボードにコードをアップロードするのと違い、これには最初から独自仕様のファームウェアが書き込まれている。ArduinoでFirmataを走らせたような感じだ。MetaWearのAndroid用およびiOS用SDKを使ってボードと交信できる。または、node.jsのnobleなどの一般的なBluetooth LEライブラリも使える。言い換えれば、ボードの限られたコンピューターパワーの中にあれこれ詰め込む必要がないのだ。特別なハードウェアを展開しなくても、スマートフォンとそれに内蔵されているセンサー(加速度計、磁石探知機、ジャイロスコープ)や位置情報、WiFi、セルポスティング、GPSなどが使える。

Makerコミュニティには、すでにJavascriptの使い手ウェブ開発者が参加している。次はモバイル系ハッカーたちの参加が期待される。なぜならモバイルの世界では、ハードウェアにアクセスできさえすれば、あとは自分の得意な言語ですぐに遊び始められるからだ。

だが、それだけではない。Bluetooth LEを通してボードのAPIを見てみれば、このボードにはネイティブな言語がないことがわかる。自分の好きな言語とプラットフォームを使ってBluetooth LEにアクセスできるなら、それでボードと通信ができるのだ。Arduinoやその他のマイクロコントローラープラットフォームの習得は、実際、それほど難しいものではない。とは言え、それでも難しいと感じている人は多い。MetaWearはその壁を取り払ってくれる。それはとてもパワフルなことだ。

MetaWearは、たった48時間でKickstarterキャンペーンのゴールを達成したKickstarter キャンペーンがあと10日ほど残っているので、欲しいと思った方も(ボードと基本のアクセサリーのセットで30ドル)、まだ間に合う。

全体的な仕様

  • Bluetooth 4.0(Low energy)
  • 入門用のMetaWear AppのAndroid用およびiOS用サンプル
  • Githubに資料がある
  • Bluetooth接続のための簡単なAPI呼び出し
  • 周辺機器やセンサーの制御のための簡単なAPI呼び出し
  • FCC / CE 認定済み
  • CADエンクロージャーをダウンロードできる
  • 無線ソフトウェア更新(OTA)
  • ANCS互換
  • BLE範囲は最大150フィート(45メートル)

ハードウェアの仕様

  • Nordic BLE SOC + ARM Cortex M0
  • 256KB フラッシュメモリー + 8KB RAM
  • Bluetooth Low Energyスタック + Metawareファームウエア
  • 3.7V DC(電圧レギュレーター搭載)
  • USB充電式マイクロリチウムイオンバッテリー
  • アナログ / デジタル I/O ピン2本 + 拡張用 I2C
  • 3軸加速度センサー(傾き、方位、落下を検知)
  • 超高輝度RGB LED
  • コイン振動モーター
  • シンプルな4Khzブザー
  • 温度センサー
  • マイクロプッシュボタン

– Alasdair Allan

原文