2014.11.18
部品のひとつひとつを手作りして繊細な世界をつくり出す「トゥールビヨン」―かみやま工房[MFT2014出展者紹介]
かみやま工房の上山孔司さんが「トゥールビヨン」という機構を知ったのは、10年以上前、NHKの『独立時計師たちの小宇宙』というドキュメンタリーだった。
機械式時計の精度を上げるトゥールビヨンは、200年ほど前にフランス人技師アブラアム=ルイ・ブレゲが開発した。「ガンギ車」や「アンクル」などで構成される、脱進機構と呼ばれる部分全体が回転するのが特徴で、上山さんはその動きの面白さに魅せられた。
番組では、スイスの独立時計師たちが部品の一つひとつを手作りで削り出し、直径数センチの腕時計の中にトゥールビヨンの精密な世界を作り上げる姿が紹介されていた。独立時計師が作る一点ものの超高級腕時計は数百万円から数千万円にもなる。
上山さんはこれまで、テニスラケットのガットを張るストリングマシンや、振り子時計を製作してきた。機構がシンプルそうだと考えて選んだ振り子時計の製作が想像以上にうまくいったため、トゥールビヨンへの挑戦を決めたという。
上山孔司さんが手作りしたトゥールビヨン。横幅15センチほどの大きさだ
パーツは推定して設計、CNCで工作
製作にあたって特に苦労したのは脱進機構の部分だった。専門書を探したが詳しい情報はなかなか見つからず、ネットで検索した画像や動画から各部の機能を推定して設計した。しかし製作してみるとうまく動かず、設計を見直しては試作する繰り返しだったという。製作に際してはこのころ導入したCNC工作機械が威力を発揮したとのことだ。
こうして高精度で稼働するトゥールビヨンが完成したが、上山さんはこれで満足していない。
トゥールビヨンはもともと懐中時計の精度を上げるために考案された。「やはり携帯式の時計に搭載してこそ」という考えで、現在は大型の懐中時計程度のサイズにおさまるトゥールビヨンを製作中である。
– 今村 勇輔
かみやま工房さんの「トゥールビヨン」は、Maker Faire Tokyo 2014で!
Maker Faire Tokyo 2014の前売券は、イープラスにて好評発売中(前売:大人 1,000円、18歳以下 500円、小学校未就学児は無料)。前売券をご購入いただいた方には、当日会場にてオリジナルステッカーをプレゼント!