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2015.08.11

MFT2015レポート ― ひらめきをかたちにするMakerキッズ

Text by Junko Kuboki

来場者だけでなく、出展者にも子どもたちの姿がぐんと増えたMaker Faire Tokyo 2015。キッズ/教育エリアでは、「作品を見ていってください」と来場者に呼びかける声が、会期中絶え間なく聞かれた。

「これをつくってみよう!」とひらめいたアイデアを、工夫をこらしてかたちしたのだから、みんなに見てもらってMakeする楽しさを分かち合いたい……どんなに小さくたって、自分の手でモノをつくれば、いっぱしのMakerなんだ!

今回のMakerキッズたちの作品の中でも、アイデアがキラリ光っていた作品を紹介してみよう。

まずは、小学生代表。「KOHALAB」のKOHAくん(東京の小学4年生・10歳)。

KOHAくんは、2歳の終わりごろから電子工作を始めた。色付きの電球に興味をもって、お祖父ちゃんに豆電球と電池ボックスを買ってもらったのをきっかけに、お父さんに電子工作を教わるようになったそう。

そんなKOHAくんはあるとき、「マイコンでプログラミングをやりたい」となった。「子どもでもできる」マイコンプログラミングを探したお父さんは、ウェブベースでプログラミングしてコンパイルできるmbedを始めることにした。

すっかりmbedにハマったKOHAくんが今回出展したのは、「mbedマイコン体験コーナー」。
このコーナーには、お父さんが「ほかの子どもたちもやりたいはずだ!」と思って、独自に商品化までしたネコ型のマイコン書き込み機「mbedねこちゃん」も販売されていた(お父さんもすっかりmbedにハマってしまったようだ。そのくわしい経緯はこちらのkohacraftのブログに書かれている)。

「mbedねこちゃん」とブレッドボード、電子部品があれば、はんだ付けなどの電子工作テクニックがなくても、LEDを光らせたり、音を出したりの実験ができる。KOHAくんが、つくった作品がこちら。

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「キラキラ光るマユの木」LEDの入ったマユが16個、カラフルに光る。なんとこのマユは、小さな妹たち2人とカイコから育てたもの!

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「カーンカーンと鳴る踏切」「カッコーと鳴る信号」実際の音を聞き取って周波数をプログラミングして実験。リアルな音が鳴る

ほかにも今回は、リンリン音が鳴るのだけれど受話器を取ると話し中…という「迷惑な黒電話」、CDドライブが開閉すると妹たちのかわいい絵が出てくる装置などを展示した。どれも、小学生らしいアイデアが生き生きとした作品になっているのが、すばらしい!

次は、中学生代表、「晴王」くん(北海道の中学1年生・13歳)。

3人兄弟の末っ子の晴王くん。大好きなジブリアニメの話をしているとき、お兄ちゃんと「こんなグッズがあったらいいな」とアイデアが出たのだそう。うん、「ハウルの動く城」がノッシノッシとこっちに歩いてきたり、ナウシカの「王蟲」がリモコンで動いてたくさんの眼が青や赤に光ったら、楽しい!

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「歩く!ハウルの動く城」中味はタミヤのロボクラフトシリーズ(メカ・マンモス)。マンモスロボットの動きがハウルの動く城にぴったり

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「リモコン式王蟲」こちらも中味はタミヤの工作キット。最初はキャタピラだったが段ボール紙のタイヤにしたら、不規則な動きが出てより王蟲っぽくなった

外側は、紙粘土やペーパークラフトでつくり、色を塗っていった。細部までつくりこんで色合いも工夫したから、ますますアニメの世界観に近づくことができたようだ。王蟲のLEDなど、電子工作の複雑なところはお父さんに手伝ったもらったそうだ。

大好きなアニメやゲームのキャラクターや物語世界を自分のそばに置きたいと、子どもならみんなが思うこと。それを、自分でつくってしまうなんて、すばらしい!

高校生代表は、千葉県の「柏の葉高校×東京情報大学」の稲川翼くん、鈴木考彰くん、小林快生くん(いずれも現在高校3年生)。

彼らの作品は、パーツを組み合わせて遊ぶことができる「戦車型ゲームコントローラ」だ。このアイデアは、プログラミングの学習からデバイスの学習に進むとき、みんなでアイデア出しをしていたら生まれた。

パーツは、キャタピラ部分、装甲部分、砲塔部分と、各3種類用意されている。たとえば装甲部分の赤色パーツは、防御力が高いが重いため走行は遅い。青色パーツは、防御力が低いが軽いため走行が速い。緑色パーツは並みの性能。つまり、各部分の組み合わせで1台のコントローラにするから、3×3×3で27通りの性能のコントローラになるというわけ。

ゲーム好きなら、1つのゲームを何通りにも楽しみたいと思うものだが、それをコントローラの性能変化で叶えている。

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戦車型ゲームコントローラの各パーツ。3Dプリンターで製作された。コントローラの本体部分にマグネットがあり、重ねて装着していく

コントローラの本体は、パーツ判別の端子が付けられていて、戦車の旋回は下部のジョイスティック2つで取っている。上部の砲塔部分を押すとゲーム画面で弾が発射されるが、ここはスイッチ付きのロータリーエンコーダを使用。

指導した東京情報大学の大見嘉弘先生は、「私は戦車の移動は戦車の上に普通にジョイスティックを付けたらどうかと提案しました。ところが生徒たちはしっくりこない、と言うんですね」と、話す。その後、開発した3人は、「“小さい子どもが遊ぶように”戦車を両手で抱えて押したり引いたりして操作できるコントローラ」のアイデアを思いついた。

そのぶん、メカ機構のつくりこみには、大見先生ともどもだいぶ苦労したようだ。もちろん、ゲームのプログラミング(特にバグ取り)にも!

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ゲームはProcessingでプログラミング

自分の中から生まれたアイデアを実現していく、Makerキッズたち。そのアイデアは、「こんなのがほしいな」「こんなのがあったらいいな」「これをつくってみたいな」の気持ちにあふれている。Maker Faireは、これからもMakerキッズを応援します!

─ 窪木 淳子