2014.11.26
小さくなって20ドル:Raspberry Pi Model A+登場
Raspberry Pi財団は新製品を発表した。Raspberry Pi Model A+だ。オリジナルのModel Aと同じく、これはModel Bの廉価版となる。20ドルで発売される。Model A+は、もっとも安価なRaspberry Piというわけだ。
Model A+はModel Aと多くの機能を共有している。同じBroadcom BCM2835 SoCを採用し、RAMも256MBある。Model Aと異なるのは、見た目と使い勝手が洗練されている点だ。基板の未実装のパーツをなくしたことで、全体的に小さくなり、ずっと軽くなった。Model B+と同様に、GPIOは40ピンに拡張され、MicroSDカードに対応し、角は丸くなってマウント用のネジ穴が四隅に設けられた。このネジ穴の位置は、Model B+のものとピッタリ重なる。これにより、B+とA+を簡単に交換できるようになるばかりか、HAT拡張ボードがA+でも使えるようになる。
「2011年にRaspberry Piを発表したとき、「25ドルのARM GNU/Linuxボックス」を作るというアイデアは非常に野心的なものでした。そのため、このイギリスで、Model B+を作っているサウスウェールズのソニーの工場で生産しながら、あと5ドルのコストを引き下げるというのは、ものすごく大変なことでした」とEben Uptonはブログ記事に書いている。
Raspberry Pi財団の協力で、私は数週間前からModel A+を使わせてもらっていた。第一印象は、本当に小さくて軽いということだ。Ethernetポートがなく、USBポートはひとつだけで、大変にスリムに収まっている。基板サイズも小さく、全体のサイズも重さも大幅に小さくなった。このサイズの違いは衝撃的だ。Raspberry Piを使ったプロジェクトは、小さなところにボードを収めなければならないことが多いため、B+が入りきらないところにA+を使うことができる。ただし、Model A+はアルトイド缶に入る大きさだが、平らには収まらない。
2つ目の大きな特徴は、価格だ。20ドルという価格は大変に手頃で、現在市販されているマイクロコントローラーボードやシングルボードのコンピューターに対しても競争力がある。価格の面ではRaspberry Piは常に優等生だったので、驚くにはあたらないが。非営利の財団としては、コンピューターの仕組みとプログラムの方法を教えるために、このボードを子どもたちの手に行き渡らせるという使命がある。これだけ低い価格にしたことで、コンピューター学習の大きな障壁がなくなったと言える。
ボードを立ち上げれば、これはRaspberry Piそのものだ。ただし、RAMの容量が256MBしかない。B+の半分だ(Model AもModel Bの半分)。つまり、メモリーに依存するアプリの場合はB+に比べてパフォーマンスに影響が出る恐れがあるということだ。コマンドラインから基本的なツールを使うときやデスクトップ環境では、パフォーマンスの低下は感じられなかった。CPUとGPUの間に配置されたRAMの量は、raspi-config設定ツールで調整ができることを覚えておくといいだろう。アプリによっては、これを使って調整する必要が出てくるかもしれない。
コンポーネントの数が違うため、Model A+の消費電力はB+よりも30パーセント少ない。Raspbianを立ち上げて、USBキーボードとマウスを接続した場合、A+の消費電流は220ミリアンペアであるのに対して、同じ設定のB+は310ミリアンペアだ。そのため、A+はバッテリー駆動のプロジェクトに向いている。
オリジナルのRaspberry Pi Model Aがあまり売れなかったことは、Raspberry Pi財団も認めている。Techcrunch DisruptのJohn Biggsとのインタビューで、Eben Uptonはこう話している。Model Aは10万ユニットほどしか売れなかったが、それに対してModel BとB+は合わせて400万ユニット売れたと。恐らく、安く小さくなったことが大きな「プラス」となって、Model A+はその独自の足場を確立することになるだろう。
– Matt Richardson
[原文]