このごろ私は、YouTubeで、サバイバルものやブッシュクラフト、ナイフの自作といった内容のビデオを見ている。なにも私は終末論者でも、地球滅亡を信じているわけでもない。こうしたビデオには、素晴らしい知恵や参考になる情報が含まれていて、大変によい刺激を受けるからだ。それに、最高に面白い。また、マッチを使わずに火を熾す方法とか、簡単な小屋を建てる方法とか、蔓草でバスケットを編む方法など、知って置いて損はないはずだ。そんなチャンネルのなかでも、私がいちばん気に入っているのが、Primitive Technologyだ。
Jimmy DiRestaのDiRestaシリーズのように、Primitive Technologyも言葉による解説のないビデオで、ひとりのオーストラリア人サバイバリストが、オーストラリアのクイーンズアイランド北部の荒野で生き抜くためのものをいろいろ作っていくというもの。このシリーズの中で、彼は、いくつかの小屋を建て、窯、工具、バスケット、陶器、スリングショットなどを作っている。しかも使うのは彼が自分で作った道具だけだ。自分の手と知恵以外、まったく何もない状態からいろいろなものを作っていくという、非常にロマンチックで刺激される内容だ。
このビデオは、明らかに編集が加えられていて、すべての作業が魅力的に、そして簡単に見えるようになっている。だからなんだ。それでも見るに値するビデオだ。それに、これを見ると確実に何かを学んだ気になれる。蔓草でバスケットを編む方法なんて、これまで見たことない。それは、楽しく見せるための戦略なのだと思う。窯に火を入れて、屋根瓦を焼くなんて、本当に馬鹿馬鹿しいほど骨の折れる作業だ。
ここでも何本か、Primitive Technologyのビデオと、YouTubeに書かれた記事を紹介しよう。Primitive Technologyブログでは、各ビデオの詳しい解説がされている。
「木の骨組みは、2×2メートルの間取りの上に、2メートルの棟木に1メートルのかど柱という構造です。6本の柱が25センチの深さに埋められて立っています。棟木と2本の桁は、石の鑿で穴をあけてほぞ継ぎにしてあります。残りの骨組みは、ロイヤーケーン(ヤシの一種)で作ったヒモで縛り付けました。骨組みは、押すと揺れる状態だったので、あとから筋交いを入れて補強しました。さらに、泥で壁を作り、柱を塗り込むことで、揺れを抑えました。
「小さな窯は、地中の泥を使って作りました。穴の空いた底板は、小川の土手から取ってきた粘土で作りました。掘ってきた粘土には、割れた瓦(前に焼いたもの)を細かく砕いてよく混ぜました。これをロイヤーケーンで作った四角い枠に入れて瓦の形に成形しました。一度に焼けるのは20枚です。平らな瓦450枚と曲がった棟用の瓦15枚を焼きましたが、割れたのはわずかでした。全体で26回焼きました。1回の平均時間は4時間です。焼いた瓦は、屋根の母屋に引っ掛けていきました。
「小屋の床の片側には、床下暖房を作りました。寒い日に、この上に座ったり寝たりできます。これは韓国のオンドルを真似したものです。溝を掘って、平らな石で蓋をして、片方の端には火箱を設けて、反対側の端には煙突を付けました。炎が床の溝の中を通り、床を温めます。しばらく火をたくだけで、石が熱を保ってくれるので、その輻射熱で寝ている体も、部屋の中も一晩中暖かです」
「私は、盛り土方式で炭を大量に焼き、バスケットに保存しました。炭は、その原料となった木材よりも高温で燃える燃料です。それは、燃焼による最初のエネルギー消費段階で、木の揮発成分 (水分や樹液) が追い出されるからです。その結果、純粋な炭となり、煙も炎もあげずに高温で燃えるようになるのです。木炭は、古代においては金属を溶かすために使われていましたが、いつのころからか料理にも使われるようになりました」
「私はコードドリルを作りましたが、後にポンプ式に改良しました。コードドリルとは、基本的にはずみ車のついた軸をコマのように回転させる方式のものです。コード(ヒモ)の中央を軸の先端の切れ目に結びつけます。そして、コードを軸に巻き付けて、両端を素早く引っ張ります。軸ははずみが付いているので、コードをいっぱいに引っ張ってもそのまま回転を続け、引っ張ったコードを反対方向に巻き付けます。回転が止まり、またコードを引くと、今度は反対方向に回転します」
「私は2つのタイプのバスケットをとケルト式手斧を作りました。最初に作ったバスケットは、コイルバスケットです。ヤシの葉を、細いロイヤーケーンのヒモでコイル状に束ねます。それをさらに螺旋状に巻いていきながら、ヒモで固定してゆきます。すでに巻いたところに、新しく巻きつけた部分を縫い付けていくのです。バスケットの底は平らなので、そのまま置くことが出来ますが、いろいろな形に作ることが可能です」
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