Fabrication

2016.11.02

レーザーカットを行う際の5つの注意点

Text by Clement Moreau
Translated by kanai

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このほど私たちは、Sculpteoにてレーザーカットサービスを開始した。レーザーカットは正確で、繰り返しの作業に強く、経済的であるとった利点が多いが、いくつか知っておくべきことがある。私たちのサービスを利用するときもそうだが、自宅でレーザーカッターを使うときも同じ注意点を考慮してほしい。

1. レーザーカッターはベクターファイルのみに対応する

単なる絵やベクター化されていないドローファイルでは、レーザーカットやレーザー彫刻はできない。必要な情報が含まれていないからだ。必要なのはベクターファイルだ。

CADデザインの経験がなくても、出来合いのベクターファイルがいろいろなウェブサイトで手に入る。または知り合いのデザイナーに制作を依頼してもいいだろう。しかし、自分で作ってもそれほど難しいものではない。Adobe IllustratorやInkscapeやSketchupといったソフトを使えば簡単に作れる。どのソフトを使うにしても、気をつけなければならないのは、素材ごとのレーザーカットのガイドラインに従うことだ。また、出力するときにはレーザーカットサービスに適合する形式で行うこと。たとえば私たちSculpteoでは、.SVG、.DXF、.AI、.EPSファイル形式に対応している。

2. プロジェクトに適した素材を選ぶ

どんなプロジェクトでも、その目的に合った素材があるもので、まずそれを見つけることが重要だ。素材にはそれぞれ特性があり、それをよく知っておく必要がある。湿気や熱にさらされるようなプロジェクトの場合は、厚紙やMDFは避けてアクリルを使うとよいだろう。反対に、低予算でプロトタイピングをしたいときなどは、厚紙でもよいかもしれない。

レーザーによる切り口にも気をつけなければならない。素材によって、レーザーの熱に対する反応が異なる(焦げたり、割れたりなどだ)。素材ごとの詳しい情報が知りたい場合は、Sculpteoから出ている無料の電子ブック『The Ultimate guide to laser cutting』を参考にしてほしい。Sculpteo のウェブサイトから手に入る。

3. レーザーカットに合った、レーザーカットに耐えられるデザインをする

デザインが完成したら、もう一度よく確認しよう。レーザーカットに合ったデザインになっているだろうか。細すぎたり、小さすぎるパーツはうまくカットできない。また削る範囲が広すぎても、素材を傷めたり、価格が跳ね上がったりする。あまり時間もコストもかからないデザインに最適化することが大切だ。

それにはまず、素材を最大限に利用できるようパーツの配置を考えること。余白が多くならないように、うまく考えよう。線が二重になっている部分も見直さなければならない。レーザーは強力で正確だが、一度切った線をもう一度切る必要はないという判断は自分ではできない。当たり前のことのようだが、よく確認してほしい。フォントもベクター化しておかないとレーザーカッターは認識できない。最後に、彫刻部分(エングレイブ)はできるだけ小さくすることをお勧めする。もっとも時間のかかる作業だからだ。

4. 組み立ての際の切りしろを考慮してデザインする

レーザーカットの利点のひとつに、パーツを簡単に組み立てられるというものがある。パーツをきっちりはめ込むためには、それなりに隙間を調整する必要がある。レーザーの切りしろを計算して、サイズを決めることだ。

キッチリはめ込みたいパーツは、切りしろを考慮する。片方はレーザーの幅の半分を加算し、もう片方はレーザーの幅の半分を差し引く。ちょっと面倒だが、そうしないと下の写真のようなプロジェクトではピッタリとパーツがはまらない。

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きっちりはまって固定されるようにしたい場合は、ノードを付ける。ノードとは、パーツの穴や差し込み部分に作る小さな出っ張りのことだ。素材やレーザーの幅によるサイズのばらつきを、これがカバーしてくれる。パーツをはめ込んだときにノードに圧力がかかり、摩擦が生じる。これを使えば穴はやや大きめに作っても、はめ込んだパーツが抜けにくくなるのだ。

パーツをさらにしっかりと固定させるには、ノードを穴の両側に向かい合うように作る。穴の幅によっては、複数のノードを設けることもできる。そうすることで、ノードが揃っていないときや、ノードが取れてしまったときに圧力を分散させることができる。ノードの形状はなるべく滑らかで長くしたほうが、はめ込みやすい。素材の密度によってノードは伸び縮みする。密度が高い素材ほどノードは小さくする。

上の写真のような形状の作り方を知りたい場合、または素材を有効に使う方法や切りしろの取り方などを知りたい場合は、Sculpteoのチュートリアルを参考にしてほしい。

5. 3Dオブジェクトも作れるレーザーカット

レーザーカットと3Dプリントはどちらも素晴らしいデジタルファブリケーション技術だ。デザインの自由度、設置コストの安さ、速度など、数多くの利点がある。どちらの技術もパワフルなツールによって、デザイン、プロトタイピング、イテレーション、製造(ファブリケーション)の高速化を実現する。そしてこの2つを組み合わせると、本当に楽しいことが起きる。だが、それを行うには型破りな考え方が必要だ。

ご承知のとおり、レーザーカットは2Dの形状を作るものだ。しかし、それを使って3Dオブジェクトを効率的に作ることもできる。3Dプリンターを使うより、レーザーカットのほうがよい場合もある。2Dから3Dを組み立てるデザインには頭を使うが、そのほうが安く上がることもあるのだ。

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レーザーカットについてもっと詳しくお知りになりたい場合は、Sculpteoの無料の電子書籍 『The Ultimate Laser Cutting Guide』 をご覧ください (無料の登録が必要)。

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