Fabrication

2016.12.20

専門用語を知ろう:金属加工編

Text by Caleb Kraft
Translated by kanai

「専門用語を知ろう!(Learn the Lingo)」へようこそ。このシリーズは、専門的なスキルを身に付ける上で役に立つよう、基本的な用語を解説するものだ。新しい技能を学ぼうとするとき、専門家が使う用語がわからず混乱することがよくある。たとえば、「フック(hook)」は、縫い物とフライフィッシングの世界とではまったく違う意味で使われる。

今回の専門用語は機械工作に関するものだ。特に、金属を特定の形状に切り出すときの用語を紹介したい。これは金属を特定の形に切り出すときに使用される。木工用のフライス盤や旋盤でも同じ言葉が使われることがあるが、ここでは金属加工を行うものとして扱う。

440-Cutting-IMG_4074-Medium

私は、TormachのChris Foxtoに会い、協力を求めた。Tormachは2002年に設立された、ホビーストなどの一般の人間が安く使える加工機械を提供している会社だ。彼らの作るマシンは、プラスティックからチタンまで、あらゆる素材を切削できて、しかも自宅のガレージに置けるというコンパクトなものだ。

機械加工では専門用語で混乱する人がとても多い。これは、高速で回転する精密な金属切削ツールを操る際に大きな問題となる。同じ加工でも何通りもやり方のある機械加工に責任があるとも言えるが、同じことを言い表すのにいくつもの言葉があったり、同じ言葉のちょっとだけニュアンスの違うものがあったりする。機械加工を習得するには実践がもっとも大切だが、専門用語を頭に入れておけば、先生(YouTubeがかなり役に立つ)の言うことも素直に理解できるというものだ。

機械工作初日の用語

Feeds(送り速度)とSpeeds(速度) – 金属を切り出すときの最良の方法を計算するのに必要な要素だ。この2つは、金属の固さ、目標とする表面の仕上げ、どんな切り方をするかで変わってくる。

Workholding(工作物保持) – CNCマシンで切削する際に作品や材料を固定するための器具または装置。フライス盤の場合は、作業台に取り付けられている。旋盤の場合は、回転部分が工作物保持を行う。

Toolholding(ツールホルダー) – 切削ビットや工具を固定するための器具または装置。フライス盤では回転することが多く、旋盤では作業台に固定されることが多い。

Fixturing(治具) – 作品を固定するための器具または装置。その部品に合わせて特別に作られたものが多い。

CAD – Computer aided design(コンピューター支援デザイン)の略。CADプログラムは、フライス盤加工、3Dプリント、レンダリングなどのためにデジタル的に部品などを作成する。

CAM – Computer aided manufacturing(コンピューター支援製造)の略。CAMは、CADファイルを(IGES、STEP[いずれもファイル形式]など)を使ってCNCマシンに切削パスを指示する。CAMはCNCマシンに、どう動いて、どのくらいの速さで移動または回転するかを教えるプログラムだ。

Post Processor(ポストプロセッサー) – ほとんどのCNCコントローラーはG-codeの標準の形式で実行されるが、コントローラーごとに、若干の方言のようなものが存在する。ポストプロセッサーは、CAMファイルが正しくコントローラーに伝わるように通訳の役目を果たすものだ。

G-code(Gコード) – CNCマシンが読み込んで機械に指示を出すためのプログラム言語。マシンの動き方、速度などいろいろな情報を伝える。

Chatter(チャタリング) – 工具が鈍っていたり、速度や送り速度が適正でなかったり、ツールを突っ込みすぎるなど、いろいろな原因から切削中に発生するノイズ。チャッターが激しいと仕上げに影響するが、なにより非効率な切削である、工具が破損している、材料がしっかり固定されていないなどの証だ。

Depth of Cut(切り込み深さ) – 速度と送り速度に密接に関係する要素だ。それぞれのツールパスで、金属がどれくらい深く削り取られるかを決める。これも、仕上がりの美しさやツールの寿命に影響する。

Thou(ザウ) – 機械工の言葉で、0.001インチ、つまり1000分の1インチのこと。

Tenth(テンス) – 機械工の言葉で、0.0001インチ、つまり1万分の1インチのこと。10分の1インチではない。0.1インチと間違えないこと

Conversational(対話型) – CNCのコントローラーの操作方法のひとつで、CADやCAMを使用しないとってもシンプルなもの。

Work Coordinate System(ワーク座標系) – WCSとも呼ばれる。マシンの原点に対して部品がどの位置にあるかを示すもの。

Concentricity(同心度) – 2つの直径の相対関係。

Runout(逃げ) – ツールを回転させるスピンドルと工具との同心度。逃げが大きいほど、切削の精度は落ちる。逃げが大きな工具は、プログラムされたツールパスに正確に従うことが難しくなる。

(Tool) Offsets(工具オフセット) – CNCマシンに、工具の先端が、既知の表面に対してどの位置にあるかを伝えるもの(スピンドルノーズのようなもの)。

RapidTurn-Cutting-Screenshot-01-Medium

原文