Fabrication

2014.03.17

Easel ─ CNCの面倒さを解消するInventablesのブラウザベースのアプリ

Text by kanai

easel2

CNC加工はかなり性能が上がってきたが、大きな問題が残っている。フリーソフトがぜんぜん使えないということだ。とくにCNC初心者にはキツイ。そこで、Inventablesのチームは、初めてのブラウザーベースのCNCデザイン及びコントロールソフトウェア、Easelでその問題を解決しようとしている。

昔から、CNCプロジェクトはCADソフトウェア上でデザインしたものをG-Codeで書き出し、複雑なコンピューター支援製造(CAM)ソフトウェアに送られて、カットパスやビットの移動速度などを元に加工データが設定されるという段取りになっている。これを習得するには大変に長い時間が必要で、ビットを折ったことがある人ならわかると思うが、そうそう簡単には上達しない。

Easelは、初心者の入門用ソフトウェアであり、導入してから5分で加工に入れることを目標にしている。公式にはオースティンで開かれたSXSWのATX Hackerspaceで発表され、デモが公開されたこのアプリは、あらかじめ豊富に用意されている形状が使えるほか、ベクターファイルを読み込むこともでき、アプリ上でフリーハンドで図形を描くこともできる。仮想ボード上の図形の表示は2Dと3Dに切り替えが可能で、図形を描きながら、素材のどこからどのように切り出すかが確認できる。

デザイン部分は、シンプルな見た目がTinkercadを思わせる。初心者に使って欲しいという意図がよくうかがえる。素晴らしいのはCAM部分だ。InventableのShapeokoで切り出す場合は、ここは完全に自動化されていて、外からは見えないようになっている。設定項目は、素材の種類(現在はアルミ、バーチ、メープル、竹、クルミ、ブビンガに対応)、素材の厚さ、カットの深さ、ビットサイズなどわずかだ。この選択を行うと、内蔵ライブラリーの情報に基づいて、ビットの速度が決められる。ShapeokoをパソコンのUSBポートに接続し、素材をセットしてスタートボタンを押せば、マシンは加工を開始する。

easel materials

これはCNCの世界をより多くの人に開放するアプリであるが、簡単に使える反面、自由度は制限されてしまう。InventablesのCEO、Zach Kaplanは、今はまだベータ版で数々の制限があるものの、今後の開発によってそれは解決されると説明している。溝掘りなどの断面形状の設定や別の素材の選択はできないが、選択できる6つの素材の属性は編集が可能だ。もっとも大きな制限は、カットは単一面のみというところだ。形を切り抜いたり、図形を彫るといった加工のみとなる。三次元的な加工をしたい場合は、昔ながらのCAD/CAMの設定と取り組まなければならない。ただし、Kaplanの予定表には、将来の三次元加工への対応もちゃんと書き込まれている。

Shapeokoを持っていない人でも、このアプリからG-Codeを書き出してCAMに読み込ませることができる。Shapeoko以外のマシンでは、USBでつないでワンクリックで加工というわけにはいかないが、ベータ版の現状から見ても、将来の発展がとても楽しみだ。

Engraving wood on the Shapeoko with Easel software at ATX Hackerspace.

Easelを使ってShapeokoで木材を切り出しているところ。ATX Hackerspaceにて。

– Mike Senese

原文