Fabrication

2017.03.01

データを使って究極のサーフボードを作る

Text by Lisa Martin
Translated by kanai

サーファーにはみな、それぞれのスタイルがある。ボードに力を伝えるための体の動かし方は、標準的な形から、足を左右逆に置く人もいる。でも、それは小さな違いでしかない。どちらにせよ、水の上でボードと自分の体を前に進めるための行為だ。生まれついてのサーファー、Rob Rennは、そうしたサーフィンの小さな癖をデータ化して、そのスタイルに最適化されたカスタム・サーフボードを作ろうと考えた。Rennはこのプロジェクトを、工業デザインを学んでいるカリフォルニア美術大学の卒業論文の課題として取り組むことにした。

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Rennは自分でサーフボードを作り、数年間サーフショップで働いた経験も持つ。そのため、学校の課題として追求するにも楽しい問題だが、データを使ってボードをデザインするという考え方は、サーフボードを作って売るときにも役に立つだろうと思った。Rennは「どんなに長くサーフィンに関わっていても、サーフボードがどのように動くのかは想像でしかわかりません。それは感じるしかないんです」と話す。彼はこれを、CNCマシンで加工したサーフボードを格上げする方法にもなると考えた。「サーファーもボードの作り手も、私も含めて、大勢の人がCNCマシンで作ったボードにはエネルギーと魂が欠けていると言います」とRenn。「職人の手を経て、優れたボードが出来上がるのだろうと思います。このプロジェクトでは、それに似たことを行おうとしました。マシンにもう少し魂を込めて、それを乗る人と同じくユニークなものを作ろうとしたのです」

こうしたデータはRennのボードから回収できると考えていた。彼のボードはいつも同じ場所が凹んでしまう。凹んだ場所は、ちょうど足を載せるところだったのだ。しかし、そのために木製のストリンガーがせり上がる結果となり、パドリングの際には「アイスの棒の薄いほうに乗っかってるような感じ」になるという。目標は、彼のつま先と踵の重量配分を考えて、非対称な形にすることだ。

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まずはデータの採取だ。彼は、Arduino Miniとデータロガーシールドを使ってセンサーパッドを作った。「パッドは防水の袋になっていて、センサーのネットワークを水から守ると同時に、サーフィンのあと、ArdionoやSDカードにアクセスできるようになっています」とRenn。袋は池の防水用シートと塩ビ接着剤を使って作った。それをサーフボードの上面にテープで貼り付けた。彼は2日間、違う日にデータ採取を行ったが、その後、袋がボロボロになり、パッドとデータを失いそうになったので止めにした。

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結果は意外にも安定したものだった。「乗っかったそれぞれの波ごとに、安定したデータが得られたことに驚きました。もっと激しく変動するかと思っていたのですが。すべて順調にいきました。いちばんの驚きは、システムが機能してくれたことです」とRennは言う。データを採取すると、彼はGrashopperとRhinoserousを使って形を作り上げた。そして、データによって最適化されたボードがスタイロフォームから削り出され、Rennはそれを手で仕上げた。

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私は、データから作られたサーフボードはどんな感じだったかをRennに尋ねた。その答えはこうだ。

面白かった。……よく言えばね。何かがあるとは思いましたが、なにせ最初の試みですから。まだそれほど多く使ってないし、乗った波の数も多くありません。完璧なサーフボードじゃないということは、わかりました。このプロジェクトでは、その他のすべてのことがよい経験として残りました。次に作るときに、どこをどう変えたらいいかもわかりました。最初のボードを作ったとき、データを活かそうとするあまり、ボードの形状の基本を疎かにしていました。正解は、その2つを優雅にブレンドさせたところにあると思います」

Rennは、次のボードをすぐにでも作り始めると言っていた。

原文