2017.03.01
その原点はレコードプレーヤー。クレープロボット「クレプ」が外食産業向け展示会にデビュー!
モリロボさんのクレープロボット「クレプ」は、クレープを自動で焼く小さな産業用ロボットだ。2016年の春に1号機が完成し、Maker Faire Tokyo 2016に初出展。円盤が回転するクレープロボットをレコードプレーヤーに見立て、DJさながら軽快な音楽にのせてクレープができあがる楽しい演出と、完成度の高い美味しさで来場者を魅了。多数のSNSに投稿され、複数のメディアでも取り上げられた。
デザインをブラッシュアップした2号機を外食産業向けの展示会に出品すると聞き、お台場・東京ビッグサイトで2月21日~24日に開催された商談専門展「国際ホテル・レストランショー」を取材した。
レコードプレーヤーのターンテーブルがヒントに
「クレプ」を開発した森さんの本業は、自動車部品メーカーのエンジニア。工場の生産技術部門で、組み立て工程をロボット化するのが仕事だ。クレープ焼きロボットのアイデアは、自身が学生時代にクレープ屋さんでアルバイトした経験から。クレープ屋の生地を焼く担当は、狭くて熱い店舗内で長時間焼き続けなくてはならない過酷な仕事だ。この工程を自動化できれば、店員はトッピングのデコレーションや接客など、よりクリエイティブで人間的な仕事に集中できる。
最初は自宅で試作を始めた。IHコンロに簡単な棒とローラーを立て、手で天板を回しながら焼いてみたが、一部が裂けたり、分厚くなったりしてしまい、均等に丸く焼くのがとても難しい。そこで、ソニーの30年ぐらい前のレコードプレーヤーを入手し、中をばらして水平に保ちながら回転させる仕組みを見つけた。DJロボットは、まさにレコードプレーヤーが原点だったのだ。
浜松のモノづくり仲間が集結
こうして開発を始めたものの、材料の調達、加工、デザインなど、一人ですべてをこなすのは難しい。「クレプ」の開発には、多くの仲間が手伝ってくれたそうだ。「僕が住んでいる浜松市周辺は、『やらまいか』(とにかくやってみよう)精神といって、ホンダやトヨタ、ヤマハの創業者たちを輩出したモノづくり風土があります。『こういうものを作りたいんだけど』と話したら、近くの鉄工所の方やマイコンを使っている友人など、どんどん集まって協力してくれました」と森さん。
1月に最初の試作機が完成。しかし、人に見てもらう方法がわからない。たまたまラジオで「ビジネスアイデアがあるなら、イベントに出ていろんな人に見てもらうといい」と言うコメンテーターのコメントを聞き、出展できそうなイベントを探し、見つけたのがMaker Faire Tokyo 2016だったと言う。
Maker Faire Tokyo 2016で人気を集めた「クレプ」の展示
2号機は約半分の薄さに改良
Maker Faire Tokyo 2016の出展で、その反響の高さに自信をつけ、実用化を決意。2号機ではボディーデザインをブラッシュアップし、スリムなデザイン家電に生まれ変わった。デザインは、仕事仲間の工業デザイナー、谷氏が担当。「目指したのは、ホテルのビュッフェに置いてあっても違和感のないデザイン。お客さんが自分でスイッチを押して、焼きたてを食べられるような機械にしたい」1号機に比べて厚さが半分になり、このサイズに機械部を納めるのには苦労したそうだ。
「クレプ」2号機。曲線のあるカバーは3Dプリンターで成形した型で作っているとのこと
一番左が森さん。チョークアートなどブースのデザインも谷氏によるもの
国際ホテル・レストランショーの出展でも反響は上々。さっそく広島のクレープ店や厨房機器メーカーから声がかかり、夏の納品に向けて開発を進めていくとのこと。この夏のMaker Faire Tokyo 2017にも出展を予定。さらに進化したクレープDJロボットがお披露目されるかも?!