Crafts

2017.04.05

デスクトップ完全無縫製自動編み機「Kniterate」がKickstarterキャンペーン中

Text by Andrew Salomone
Translated by kanai

2_Kniterate_machine_front_sweater

夜寝る前に、明日着ていくはずだったセーターがまだクリーニング屋にあると気づいたときでも心配なく。デスクトップ完全無縫製編み機にファイルを送っておけば、明日目覚めたころにはセーターが出来上がっている。ただし、間もなく発売される完全無縫製編み機が家にあればの話だ。Kniterateは、言うなれば衣服プリンターだ。あらゆる衣服のデザインと製造が机の上でできてしまう。これはオープンソース編み機(リンク先は日本語版記事)としてスタートしたもので、完全自動化編み機に進化し、そして今、Kniterateチームが製品化のためのクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げたというわけだ。

Kniterate_sweater

Kniterateの共同創設者でCEOのGerard Rubioは、3Dプリンターと編み機と掛け合わせるためには、編み機のメカニズムと3Dプリンターのインターフェイスを深く研究する必要があった。「最終的にはコンピューターと編み機との完璧な融合が果たせました。さらに、すべての工程を自動化するためのメカニズムを大量に追加しました。ケーシングのオンオフ、さまざまな形状のステッチなどです」

4_Kniterate_machine_lateral_person

デスクトップ3Dプリンターと同じく、ユーザーは独自のデザインを作ったり、既存のデザインをダウンロードして、それを改造して作ることもできる。「現在、ユーザーがデザインを交換できるインターネット上のプラットフォームを開発中です。自由にアクセスして、ヒントをもらったり、作りたいものを探したりできます。今は最高のスタッフを育てています」とRubio。これはファッションデザイン業界の人間にはとっても便利な機械だが、Rubioはすべての人を対象にしていると言う。「現在は、デザインをすぐに編めるようにするソフトウェアを試行錯誤で開発しています」

デザインを作る方法は2つ。1つは、適当なソフトウェアでデザインを作り、Kniterateの「K-code」に変換する方法と、もう1つは、無料のデザインアプリを使う方法がある。「これを使うと、クラウド上で、テンプレートを使ってデザインができます。サイズや画像を変更したり、既存のライブラリーからパターンやステッチを読み込んだりできます」とRubioは説明する。作られた衣服はすぐに着られる状態になっていないこともあるが、「糸を切って、いくつか結んで、それで完成」するという。

3Dプリンターと大きく違う点は、このマシンでは毛糸を使うということ。マシンの規格に合った毛糸を使う必要はあるのだが、それでも素材や重量などいろいろな種類が選べるため、そこでもカスタマイズができるというわけだ。「このごろでは、デスクトップ3Dプリンターでも新しい素材が常に登場して選択の幅が広がっていますが、ニット編みは成熟した技術なので、すでに十分な研究や開発が行われています。選択の幅はほぼ無限です。毛糸のメーカーは世界中にあり、自分だけの毛糸を使うことも可能です」とRubioは言う。

Kniterateの第一弾は、5,000ドルを下回る価格だ。同程度の性能を持つ業務用の編み機が何万ドルもするのに対して、とても安い。しかもKniterateは家庭でも使えるコンパクトサイズだ。Rubioは、いろいろなグループやコミュニティに使ってもらいたいと語っている。「この機械はスモールビジネス向けの、小規模から中規模生産を目指して作りました。研究を行う企業や、メイカースペースや図書館のような、教育センター、コミュニティにサービスを提供するスペースなどです」

Kniterate_shoes4

このデスクトップ衣服プリンターがファッションや衣服業界にどれほどのインパクトを与えるかは不明だが、テクノロジーと伝統的なクラフトの両方に興味のある人間にとっては、とてもエキサイティングなものだ。Rubioはこう指摘している。「これは、ビジネスを拡大するマシンであり、市民に力を与え、個人の楽しみのための個性的で丈夫な製品を作るマシンであり、同時にその両方を満たしています」

原文