Electronics

2017.11.14

ICの「蓋を開ける」方法

Text by Gareth Branwyn
Translated by kanai

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念のためにお伝えしておくが、この「蓋を開ける」とは、繊細な電子回路を保護するために密閉されているICの樹脂のカバーを取り除いて、中身を見てみようということだ。私も長年、電子工作をやってきたが、この脚の生えた小さな黒いモノリスの中が、実際にどうなっているのかをよく知らずに使ってきた。

上の動画は、Applied Scienceの愛すべきマッドサイエンティスト、Ben KrasnowがICのカバーを削って溶かして、中の小さなチップを露出させている。彼は次のように解説している。

IC チップの中身が見られたら面白いだろうと考えました。それには発煙硝酸を使用します。それも面白そうです。なので、実行してみました。まずは、CNCマシンを使ってICの上面に正確にくぼみを作ります。使ったのは、グラスファイバーやエポキシ素材の切削に使用するカーバイドのエンドミルです。そこに硝酸を1〜2滴垂らして、約100℃に熱します。すると、硝酸が蒸発するとともに、ICの樹脂が溶けてゆきます。数分間おきに硝酸を追加しました。10分後、ICをアセトンで洗浄します。もしまだチップの上に樹脂が残っている場合は、さらに硝酸を使って溶かしました。そのようにして、樹脂をきれいに取り除き、ICの蓋をきれいに開けることに成功しました。

蓋を開けることに成功したBenは、次にそれを電子顕微鏡で見てみたいと思うようになった。そして彼は標準的な555タイマーチップの蓋を開けた。比較的長い間、安定的に信号を出していたので、ICの中の回路が実際に動作する様子を、目で確かめることができるのではないかと彼は期待している。

2009年、Collin’s Labで、Collinは、もっと乱暴な方法でICの蓋を開けたことがある。もちろん、これではICが動作するわけはないが、中に隠れている小さな部品を見ることはできる。

原文