Fabrication

2018.03.30

ローズエンジンの精緻な美しさ

Text by Caleb Kraft
Translated by kanai

ローズエンジン旋盤(複雑なカム仕掛けで幾何学模様を彫ることのできる旋盤)のことをすでにご存知ならば、それがいかに素晴らしいマシンであるかをほめたたえる私の話なぞ読まずに、下の動画を見ていただいてかまわない。つい最近これを知って興奮状態にある私のことを、どうかお許し願いたい。

昨年のMaker Faire Parisは本当に楽しかった。なかでも私の心が惹きつけられたのは、Ettoというグループが展示していたアンティークなローズエンジンだった。遠くから見ても、このマシンの絶対的なゴージャス感が伝わってくる。優美な曲線、重なり合い、入れ子構造になった真鍮製の円盤状の部品「ローブ」、そしてゆっくりと回転する歯車に私は引き込まれた。近くによってよく見ると、それはギヨシェ(規則的なパターンの彫刻)を刻んでいた。

下の動画はMaker Faire Parisに出展されたものだ。

あれを見てから、この動画を編集するまでの間に、私はあのマシンの名前を忘れてしまった。そこでインターネットで問い合わせると、「ローズエンジン」(Rose Engine)だと多くの人が教えてくれた。そして、マシンを操作していた本人からも連絡をいただいた。彼の名はYann Pronier。彼によると、そのマシンは、正しくはLindow Rose Engineというらしい。

訂正:Yannはこの記事を読んで、次のメッセージを送ってくれた。

私が使っているギヨシェ・マシンは、Lindow(新しいメーカーです)ローズエンジンではなく、1914年製のDuget tour a guilloché(ローズエンジン)マシンと、もう1台は1891年製のDuget(古いフランスのエンジンメーカーです)のligne droite(ストレートライン)です。

インターネットを探し回ると、ローズエンジンに関する情報や動画がたくさん出てきた。仕組みも、使用目的も、いろいろあるようだ。Lindow社製のように、精細な彫刻を行うものもあれば、MADE社製ローズエンジンのように、フィニアル(頂華飾り)などを彫るためのマシンもある。また、チャックやカッターを交換することで、その両方にも対応できるマシンもある。いろいろなバリエーションはあるが、ローズエンジンには共通した特徴がある。基本のメカニズムは同じだ。幾何学的な模様を刻むために素材をガイドする、幾重にも組み合わされた円形の部品「ローブ」で構成されている。

自家製のローズエンジンもある。非常にシンプルな構造で、この動画を見れば、基本的な仕組みがよくわかる。

もし、たまたまローズエンジンを持っていて、使い方がわからないという人のために、YouTubeユーザーのSwhitefrogが、チュートリアルのシリーズを公開しているのでどうぞ(最初の部分が失われているけど)。

原文