2018.09.05
Blindsight:中国のYoung Makerが作ったスマートフォンアプリと連携して視覚障害者の “目” となるウェアラブルデバイス
今日の世界では、デザイナーは目の見えるユーザーに依存した環境を構築しがちです。目の不自由な人たちのアクセスビリティーは、後付けか、まったく考えられていないかのどちらかです。世界の2億8500万人の視覚障がい者にとって、自分の鍵を探したり、混雑する歩道を歩くことは、大変な苦労を要する仕事であり、まったく不可能なこともあります。そこで、Blindsightは、この現実を変革する道を探っています。新しい支援技術をデザインした高校生たちが、北京で開かれたChina-US Young Makers Competition(中米青年Maker大会)に招かれ、プロジェクトを披露しましたが、そこでBlindsightは、目の不自由な人たちの生活の質が劇的に向上されることを確信しました。
目の不自由な人たちは、今でも、目が見える人の介助や、盲導犬や、杖といった、100年前に考案されたソリューションに頼っています。TapTapSeeやSeeing AIなどの現代のアプリを使う場合でも、ユーザーが苦労して対象物にスマートフォンを向けなければならないという問題を抱えているため、自律性は制限され、不快感が増します。厳しく言えば、これらのアプリでは、視覚障がい者が環境に積極的に関わり、社会の傍観者の立場から脱することは困難です。
Blindsightに参加してください。これは、視覚障害者の独立性を大幅に向上させるウェアラブルデバイスです。Blindsightは、アームバンドとスマートフォンのアプリを組み合わせ、機械学習と触覚フィードバックを統合して、目の不自由な人たちの助けになるようデザインされています。スリープ状態のBlindsightを、音声命令またはボタンで起動させると、スマートアシスタントを呼び出すことができ、看板を読んだり、店の商品を識別したりできます。Blindsightは、物を探すこともできます。内蔵カメラが目的のものを見つけると、8つの振動モーターでユーザーの手をそこへ導きます。またBlindsightは、顔認証で前に会った人を記憶できるので、出会った人が知っている人かどうかを見極めることもできます。1日使用した後は、標準的なQiワイヤレス充電パッドで充電ができます。
Blindsightをコンセプトからプロトタイプにまで作り上げるまでは、難しくもありましたが、楽しい道のりでもありました。高校生のチームが、デバイス開発の現実のエンジニアリングに挑んだことで、いくつもの試練を経験しました。使えないカメラを買ってしまったり、3Dプリントのサイズを間違えたり、アームバンドを縫い合わせるのに苦労したり。ソフトウェアでは、私たちのサーバーで画像処理を行うと、何十秒もかかってしまいました。これではユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼします。
しかし、専門知識を持つ新しいメンバーが入り、こうしたハードルを乗り越えて、実用的なプロトタイプを完成させることができました。サーバーのコードはリファクタリングし、機械学習モデルを継続的にVRAMに読み込めるようにしたところ、ひとつの命令の後の待ち時間を劇的に短縮できました。また、男性用のドレスソックスに使われている素材が、つけ心地がよく、しっかりとした保持性があり、アームバンドに最適であることがわかりました。そこで、詳しい製品カタログをよく調べて、販売業者に連絡しました。サイズの制約内に収まる広角の互換カメラも見つけました。こうして、私たちの最初のBlindsightのデザインを発表できるようになりました。
この実際に機能するプロトタイプで、私たちはGoogleがスポンサーを務める2018年China-US Young Makers Competitionで準決勝に進むことができ、とても誇りに思っています。参加10チームのうち、アメリカを代表する唯一のチームとして、夏の終わりに北京で開かれる展示会と決勝に臨みます。それまでの間、私たちはプロトタイプの改良に懸命に取り組み、動的な点字ディスプレイや通貨検知器など、いろいろな新機能を追加する予定です。私たちのblindsight.appで、その過程を見てください。そして、ご意見を聞かせてください。私たちは、目の不自由な人たちの生活を向上させることを約束します。最新イノベーションをひとつずつ積み上げて。
チームBlindsightは、高校生のChristy Koh、Michael Zhu、Krishna Veeragandham、Megan Leng、Sean Tsengで構成されています。今後、ボストン大学一年生のDevin Mui、カリフォルニア大学バークレー校一年生のJaiveer SinghとAaron Huang、ワシントン大学一年生のJaimie Jin、カリフォルニア大学サンディエゴ校一年生のJesse Liangが加わる予定です。この原稿は、Kyle Shiの協力のもとで製作しました。
[原文]