2015.11.27
Raspberry Piが5ドルコンピューター Model Zeroを発表
今日、Raspberry Piは最新モデルZeroを発表した。価格はぴったり5ドル。大幅な価格低下によって、より多くの人がコンピューターを使えるようになる。Raspberry Pi model Bよりも小さく、1GHz、512MBのRAMという性能で、Raspberry Pi財団のCEO、Eben Uptonによれば、40〜60パーセント高速だという。
[こんなに小さくて安いコンピューターを何に使う? 我々「Make:」はPirate Radio Throwies(放り投げて高いところにくっつける海賊FMラジオ)を作った(リンク先は英語)。]
これまでRaspberry Pi財団には、競争力のある性能の超低価格のボードがなかったが、その代わりに、財団は巨大なユーザーコミュニティがあった。何万というユーザーから、ソフトウェア開発技術や、オリジナルのPiプロジェクトの提供があり、ボードの使い方に関する相互教育も彼らが行っている。ひと月に公称25万ユニットを売り上げているPiだが、ラインナップにZeroが加わることで、財団の人気はさらに高まるだろう。
仕様
・プロセッサー:1GHz Broadcomm BCM2835
・メモリー:512MBのRAM
・ストレージ:microSD(ユーザーが用意)
・GPIO:26/40 のスルーホール
・USB ポート:
・USB On-the-Go(OTG)
・Micro USB
・映像出力:
・TVというラベルの2本のピンからコンポジットビデオ
・HDMIポート
デザインの変更
現行のRaspberry Piよりも小さく、30×65ミリ、厚さはたったの6ミリ。この新しいフォームファクターは、Raspberry Pi財団のエンジニア、Mike Stimsonがデザインしたものだ。部品点数を減らしたことが、小型化の助けになっている。ボードには、Ethernetとコンポジットビデオポートがない。HDMIは標準サイズからHDMIマイクロコネクターに変更された。オリジナルでは標準サイズだったUSBポートも、2つのマイクロUSBコネクターに置き換えられた。カメラとディスプレイ用のCSIとDSIのコネクターもなくなった。部品が少なくなったので、価格も下がったというわけだ。
さらに価格を下げる要因となったのは、片面ボードデザインだ。部品は表面だけに装備されている。これにより製造コストが省ける。
イノベーションの方向
Uptonは、2013年にGoogleのEric Schmidtと話したときに、財団のハードウェア開発のアプローチを変更すると語っていた。当時、Uptonと開発チームは、50〜60ドルで販売できる、よりパワフルなPiの開発に取りかかっていた。それを聞いたSchmidtは、間違ったアプローチだと反対した。そうではなく、財団はより安価な製品を開発し、より多くの人の手にボードが渡るようにすべきだというのだ。
「価格を上げて、より高性能なものを開発するというのは、技術者には魅力的なことだ」とUptonは認めている。しかし結局、彼はSchmidtのアドバイスを受け入れることにした。財団は、より高価なボードのアイデアを捨て、35ドルのRaspberry Pi 2を開発し、さらには5ドルのZeroを作った。
安いPiの血統
Raspberry Pi A+は、安価なハードウェアを作るというアプローチの最初の製品となった。機能を絞り込むことで、35ドルのボードを20ドルにまで下げたのだ。それにより、より多くの人がこのボードを使うようになった。
35ドルでより高性能な Raspberry Pi 2の開発は、さらに難題だった。開発には、Schmidtの助言から2年を超える時間を要した。しかしそのおかげで、それだけの価値のあるものになった。Pi 2は財団で初めてのマルチコアボードだ。それにより、高速でパワフルなシステムを望んでいたユーザーを増やすこととなった。より高価な製品よりも長い開発時間を費やしたが、安価なボードを作るという方向転換の努力には、それだけの価値があった。
オープンソースコミュニティ
Uptonはまた、オープンソースコミュニティによる多大な支援を忘れてはいない。それは、Raspberry Piを魅力的なプラットフォームに育てあげた人たちだ。彼の目算では、彼らの延べ1000年分の働きによってソフトウェアが改良されているという。コミュニティは、安価でパワフルなPi Zeroを大歓迎することだろう。
我々「Make:」では、Pi Zeroを使った新しいプロジェクトを開始している。従来のPiとハードウェアがほぼ100パーセント互換なので、今あるPirate Radioプロジェクト、Zeroに移植するのは、コマンドラインをちょっといじるだけで済んだ(間もなく発表するのでお楽しみに。オリジナルのプロジェクトはここで見られる)。それよりも、我々はみんながこの新しくて小さくて安いRaspberry Pi Zeroを使って何を作るかが知りたい。コメントをよろしく。
[原文]