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2016.07.19

お馬鹿なレース大会が未来のスマートカーを作る「予算2万ドルの1チームではなく、予算1000ドルの20チームが必要だ」

Text by kanai

私は長年のPower Racing Series(電動車レース大会)の大ファンだ。コミカルなほど小さい車体で、運転者が巨人の子どものように見える改造電動車がレーストラックを疾走する様子をみれば、だれでも好きにならずにはいられない。だが、このレースでは、バカバカしさと楽しさが重要だ。Power Racing Seriesは、各地でスマートカーの未来を切り開く次世代のエンジニアやティンカラーを育てている。レースを面白く、そしてバカバカしく保つことで、より多くの人の参加を促し、創造性をさらに高めることになる。

これが始まったときは、ただ面白いからという理由だけだった。よく道端に捨てられているおもちゃの電動乗用自動車を拾ってきて、再生して、レースさせる。競争が激しくなると、改造が行われるようになった。初期のころは歩くのと同じぐらいの速度だったものが、今ではとても高速になり、それを運転するとアドレナリン放出もののスリルを味わえる。

だがスピードだけではない。このシリーズの創設者(で「Make:」のグラフィックデザイナー)のJim Burkeが指摘するように、かなりの根性も必要とする。速く走るだけではダメだ。観衆の心を掴まないといけない。コスチュームに凝ったり、ユーモアに溢れたディスプレイ、お菓子を配るなどの賄賂、そしてもちろん、面白い車を作ること。

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空気で膨らむ宇宙飛行士がNASAの雰囲気を出している

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ドロイドに気をつけろ!

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さあ、レインボーロードへ

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555タイマー。残念ながら足は最後まで残らなかった

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リサイクルした自動車用バッテリー

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一度、消防自動車を運転してみたかった

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パーツの寄せ集め

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クラビー・パティとレゴの車

Jimはこのシリーズに明るい未来を描いている。参加者たちは、自動車業界でも最先端技術である完全な自動運転車を作り始めているのだ。大手自動車メーカーも同じ道を探っているが、彼らの開発ツールは非常に高価なものばかりで、学校やクラブには手が出せない。このシリーズなら、もっとうんと手の届きやすいコストで、若いエンジニアや愛好家に実用的な自動運転車を開発させることができる。

Jim はこう説明している。

2万ドルの予算のひとつのスクールチームではなく、1000ドルずつで20のスクールチームに参加してほしい。

コストの障害を取り除くことで、より多くのクリエイティブな人たちに自動運転車の開発に参加してほしい。それだけでない。Power Racing Seriesは、参加者たちの遊びの精神が自動運転車開発競争をより楽しいものにしてくれる最高の場所となる。

詳しくは、または参加したいという方は、PowerRacingSeries.orgを見てほしい。

原文