Crafts

2017.05.01

自宅でスクリーンプリントをしよう

Text by Tim DeaganTranslated by kanai

オープンソースとMakerムーブメントへの熱狂は、ツールの民主化を果たした。かつてはプロや大学だけが使えていたものが、今では我々の日常の道具になっている。そのなかで、私たちの生活を変えたツールに、印刷技術がある。最初に変化が起きたのが15世紀、そして20世紀にも起きた。インクジェットプリンターは。低価格化され、交換用インクよりも安くなった。プリントできる素材も豊富で簡単に手に入る。Tシャツ用のアイロンプリント、ステッカー、名刺、透明シールなど、いろいろなものにパソコンを使ってプリントできる。

しかし、パソコンのプリントの先祖も、まだ現役だ。印刷業は縮小しているが、消えたわけではない。さまざまな印刷技術が今でも使われているが、なかでもスクリーンプリントは、プロにもDIY愛好家にも人気の技術として残っている。よく使われているのはTシャツのプリントだが、その他にも使い道がある。基本はじつに簡単で、材料も驚くほどシンプルだ。さまざまな技法を凝らせば、素晴らしい結果が得られ、アートの繊細さを学ぶことができる。

その原理

スクリーンプリントの基本概念は、目の細かい布をピンと張って、そこに目止めを貼り、その上からインク(または絵の具)を刷り込んで、目止めのない部分にだけインクが付着するようにするというものだ。目止めに使われた図形は、実際には裏返しにプリントされる(図A)。スクリーンプリントは、かつてはシルクが最良の材料とされていたので「シルクスクリーン」と呼ばれることもある。今では合成繊維が使われることが多いが、名前だけが残っている。

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スクリーンは、枠にピンと張られる。木枠にホチキスや接着剤で留めたものも多いが、プラスチックでもなんでもかまわない。ただし、何度も使えるように、曲がったり歪んだりしないものがよい。

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プリント対象にインクを均等に刷り込むために、スキージーを使う。スキージーは奥から手前に引くことが多いので、この工程を「スクリーンを引く」と呼ぶこともある(図B)。

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スクリーンプリントは2値のプリントだ。黒インクを使う場合、グレーはプリントできない。だが、グラデーションを表現する特別な技法がある。白と黒のインクを混ぜてグレーを作るのではなく、インクの点の大きさを調整することで色の濃さに変化を与えるハーフトーンの技法だ。赤でピンクを表現することもできる(図C)。これを使うと、色を混ぜることもできる。たとえば、50パーセントのハーフトーンで刷った赤の上に、50パーセントのハーフトーンで黄色を刷れば、オレンジ色になる(図D)。

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多色刷りの場合は、色ごとに版を作る必要がある(スクリーン上で絵の具を混ぜて色の変化を作る方法は別)。印刷所では、4つの色版(シアン、マゼンタ、イエロー、黒)を巧みに配置することで、多くの色を表現している(図F)。

ここでは、ハーフトーンを使わない単色のプリント方法を紹介する。これにはさまざまな応用法がある。コントロールサーフェイスにラベルをプリントしたり、製品にロゴを入れたり、Tシャツを作ったり、プリント基板のエッチングの際にマスキングをしたり、いろいろ使える。

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スクリーンを作る

スクリーンの作り方はいろいろだ。布にインクをブロックする素材を貼り付けたり、ビニールカッターを使って切り出したパターンを貼り付けてもよい。または、感光乳剤を使う方法もある。いずれも長短あるが、ここではもっとも簡単な方法を使う。その他の方法については、みなさんで試していただきたい。

画材屋へ行けば、たいていの材料は手に入る。またインターネットでは、遊び用から業務用まで、あらゆる材料が入手できる。ここでは、手軽さを重視して、どこでも手に入る材料を使って試してみたい。その後は、自由にアップグレードしてみてほしい。

四角い木枠にスクリーンを張る代わりに、ここでは刺繍用の丸い枠を使う。低予算のハッキング精神を発揮すれば、市販のスクリーン用の布を使わなくても、薄いポリエステルの布きれでも大丈夫だ。私は古着屋で風呂用のカーテンを買ってきた。専用のスクリーンのようにきれいにはプリントできないが、なんとか使える。枠よりやや大きめに布を切り、小さい方の枠に布をかぶせ、上から大きい方の枠をはめ込んで、できるだけ布をきつく張る。布がゆるまないように、私はクリップで固定した(図F)。

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デザインを加える

ここからはアートの時間だ。自分の絵のレベルに合わせて、スクリーンに直接描いていく。最初は、細い線を避けて、なるべく基本的な図形にすることだ。スキージーを動かす範囲を考えて、絵の周囲には2.5センチほどの余裕が必要になる。あまり大きく描き過ぎないように。

下書きを平らで固い面にテープで固定して、その上にスクリーンをかぶせる。柔らかい鉛筆で、絵の輪郭をなぞる(図G)。目止めにはモッドポッジを使う。本気で行いたい場合は専用の目止め剤も売られているが、ここではモッドポッジで十分だ。

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モッドポッジを塗る目的は、意図してインクを通す部分以外の、すべての部分を完全にふさぐことだ。インクが通って欲しくないところにモッドポッジを塗る。完全にインクをブロックするためには、何度か塗り重ねる必要がある(図H)。

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道具を集める

スキージーは、通常ゴム製で、固いが柔軟性のあるエッジを持っている。一度で絵が写せるように、スキージーは絵よりも幅の広いものを選ぼう。ここでは古いクレジットカードを使った(図I)。だが、固いエッジのあるプラスティックなら、なんでもいい。

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インクにはアクリル絵の具を使った。素材ごとに対応したインクも市販されている。絵の具は、スクリーンに押しつけたときににじまないように、ある程度濃い状態で使う。

プリント開始!

プリントする素材がなんであれ、まずは紙などで試し刷りをして、スキージー、インク、スクリーンの感触を確かめてほしい。まず、汚れてもよいように机に新聞紙を敷き、段ボールを1枚敷く。滑りやすい素材を扱う場合は、テープなどでずれないように固定する。素材もスクリーンも、どちらもずれないようにすることが大切だ。

プリントは、3つの動作で行う。まずはスクリーン上にインクを置く。必要と思われるよりも多くの量をたっぷりと載せること(図J)。次に、スキージーを使って、力を入れずに、インクを絵の上に満遍なく広げる(図K)。そして、やや力を入れて均等に(でも強すぎないように)、絵の上から下までスキージーを45度に倒して引き、インクを刷り込む(図L)。このときの力の入れ具合が重要なので、何度か練習するとよいだろう。

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スクリーンを真っ直ぐ上に持ち上げて離す。業務用の(または家庭用の)スクリーンプリントマシンでは、スクリーンに蝶板が付いていて、すぐに持ち上げられるようになっている。触る前に、よく乾かす(図M)。衣服にプリントしたときは、洗濯する前にヒートガンで定着させる。

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今回は、スクリーンプリントのほんの入口を紹介した。粘着性のビニールをカットしてスクリーンに貼る方法では、より細かいプリントが可能だ(ヒートガンでビニールをくっつける)。感光乳剤を使うと、さらに細かい表現が可能になる。スクリーンプリントは、プロジェクトにプロっぽいパターンを印刷できる素晴らしい技術だ。洋服、ポスター、アートなどの少量生産にも向いている。これで、スクリーンプリントが簡単にできることがわかったはずだ。次のステップに進んでみてはどうだろう。

原文