Electronics

2017.12.13

サンフランシスコにスマートフォンのコンピューティングパワーを分け合う世界初の市民IoTネットワークが誕生

Text by Garrett Kinsman
Translated by kanai

サンフランシスコの街に、新しいタイプの無線ネットワークが広がりつつある。スマートフォンの利用者のためのネットワーク、Noodle! Coinsだ。省電力型Bluetoothを使用し、クラウドソースのMakerデバイスによって接続性を高める、データのアップロードが劇的に安くなる遅延耐性ネットワークだ。アプリをインストールすれば、誰でもこの市民ネットワークに参加できるようになる。

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これまで、Makerがつながるためにはお金がかかった。セルラーモデムは月額料金が5ドルから10ドルするし、電源を確保するのも大変だった。LoRaモジュールも高額で、送信できるデータの量には制限がある。これでは、Makerがプロジェクトのスケールを拡大したくても、予算や効率の面で難しい。街やコミュニティ全体にセンサーを配置するなど、無理な話だ。

そこに登場したのがNoodle! Coinsだ。

数年前から、私はみんなが低価格でつながれる方法を探ってきた。インターネットを介さず、Bluetoothを使ってピアツーピアのネットワークでメッセージが送れるアプリ、FireChatの立ち上げにも協力した。この2年間はインドに渡り、インド最大のWi-Fiホットスポットネットワーク(Ola Play)のためのハードウェアを開発してきた。そして、誰にでもインターネットが構築できることを直に見てきた。ヒマラヤでは、学生たちがマイクロ波を使ったリンクをハックして、GoogleのLoonを実現し、政府の援助でバンガロールのカフェでLTE接続が利用できるようにしたいと夢を語っている(Airjaldi)。もはや、よりシンプルで、簡単で、高速なネットワークを自分たちで作れる時代になったのだ。さらに重要なことは、こうしたインターネット環境の改善に、誰もが参加できるということだ。

私は、Micha BenolielとKyude Karyanと共に、世界初のMakerのための市民IoTネットワークを構築するために、Nodle.ioを立ち上げた。そして、サンフランシスコで私たちのネットワークを実験するために、Noodle! Coinsアプリを公開した。私たちは、多くのMakerに対して、この市民ネットワークの拡大と、Makerプロジェクトでの協力を求めている。

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ヌードル・ネットワークを作る

Noodle! Coinsアプリは、我々が開発したNodle.io SDKを使ってネットワークをクラウドソースするものだ。このアプリは、匿名化されたBluetoothと大まかな位置情報を使って遅延耐性のあるデータのアップロードを可能にする。Bluetoothのビーコンが検知されるごとに、ユーザーはNoodle! Coinを受け取ることができる。

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これをもっと楽しくするために、私たちはサンフランシスコでコンテストを開くことにした。11月中にサンフランシスコでもっとも多くのコインを集めた人に、コインと引き替えにiPhone Xをプレゼントするというものだ。また、街に1つインストールされるごとに、サンフランシスコ・マリン・フードバンクに1ドル寄付することも決めた。Noodle! Coins がひとつインストールされるごとに、2食分が寄付されることになる。

私たちの目標は、誰もが自分のハードウェアプロジェクトのデータをクラウドにアップして使えるMakerのためのネットワークを構築することにある。遅延耐性のあるWi-Fiオフロードを活用することで、データのコストは一般の接続業者と比較して十分の一に下がる。バッテリーやCPUに負荷を掛けずに、意義深い暗号通貨をみんなのスマートフォンに貯めてもらいたい。私たちのテストでは、数百万単位のNoodle! Coinが利用されているが、それによるバッテリー寿命の低下は1パーセントにも満たないことが分かっている。スマートフォンのコンピューティングパワーを分け合うことで、これまで経験したことのない大きな力が引き出されることだろう。Noodle! CoinsはMakerに安価なつながりをもたらすだけでなく、使われていないBluetooth電波の有効利用を促すことにもなる。

Maker デバイスをネットワークに

さまざまなアプリ開発者が、すでにNodle.io SDKをアプリに埋め込んでいる。こうすることで、グローバルなネットワークが実現する。インターネットは広告によって発展した歴史があるが、私たちは、あのしつこい広告調査なしに、開発者にインストールベースで利益が得られるような仕組みを作った。広告経済は終わりを告げ、接続経済が始まるのだ。Makerたちには、何をネットワークに接続したらよいかを考えて欲しい。

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Noodleは、広く普及しているBluetooth 4.0以上のデバイスならすべてに対応する。Makerたちには、アカウントを開き、ダッシュボードで製品を作り、デバイスのプロフィールを書き込んで欲しい。IoTデバイスからのデータは、この市民ネットワークを通じてサービス提供者のサーバーに送られる。Noodleは、できる限り低コストで、小容量の遅延耐性データをアップロードするようにデザインされている。

私たちが夢見るのは、安価な電源を用いて、安価なBluetoothエコシステムに相乗りすることで、柔軟で安価な接続が行える時代だ。そうなれば、センサーの展開も安くできるようになり、いろいろな情報をより簡単に追跡したり位置の特定ができるようになる。かつては非常に高額だったアプリケーションも、安く使えるようになる。Noodleが、公害データ、太陽や放射線の線量、天気、天体のデータなど、世界のさまざまな新しい情報を収拾するようになることを私は期待している。

この市民ネットワークは、私たちの地球を知るための新しい手段となり、デバイスを接続するための神経システムとなる。どんなクールなプロジェクトを開発してNoodleに接続するかは、Makerのみなさん次第だ。Noodle! CoinsをAndroidにインストールするだけで、みなさんは今すぐそれに協力できる。1つインストールされるごとに、サンフランシスコのフードバンクに2食分の食料が寄付され、新世代のデバイスがネットワークにつながれることになるのだ。

市民ネットワークは、すでに世界で動き出し、サンフランシスコで拡大しつつある。みなさんの参加を心よりお待ちしている!

原文