「もっとうまくできるはずだ」とMakerなら思ったことがあるだろう。そのときはうれしい気分になれる。Ben Meyersも、インターネットで球体の盤の上でプレイするチェスセットを見たときにそう思った。そのセットでは、洋服に使うホックで駒を留めていた。それでは不便そうだし、プレイしにくいだろうと彼はとっさに考えた。そこで、自分でも作ってみることにした。
作り始めてから完成するまで、約5週間かかった。材料に木を選んだのは、小さいころから父の木工場を見ながら育ったからだ。7歳のころ、すでに小さな木片から旋盤を使ってポットを作っていた。
美しく芸術的に仕上がった駒を見れば、彼がどれだけ細部にこだわって作ったかがわかる。その後、Meyers は球体に取りかかった。作り始めてから、彼はそれが大変に難しい仕事であることに気がついた。「すべての部材の角度を決めて、きれいに組み合わせるには、数学の計算を山ほどしなければなりませんでした」と彼は言う。数学の計算を終えると、白い部分にはソフトメイプルと、黒い部分にはにはウォルナットを使って四角い部材を切り出し、それぞれの裏にドリルで穴を開けて磁石を入れ込んだ。それらの部材は接着剤でつなぎ合わされ、2つの八角形のドームになった。そこからが神経を使う作業になった。磁石を埋めた穴が露出しないように、細心の注意を払いながら、全体を丸く削るのだ。
さらに、土台を旋盤で削り出し、湾曲したアームをルーターで加工した。これらを組み立て、球体を金属の心棒で取り付けると、球体は、どの角度にも自由に回転できるようになった。
最後に、スペーサーとノブが旋盤で削り出された。これらは、チェスの最強の駒であるクイーンを象っている。
Meyersは、この球体チェス盤でチェスを指してくれる人がいなくて困っている。見るからに難しそうだからだ。しかし、これまでに彼は7回指して、まだ一度も負けていない。少年時代、彼にチェスを教えてくれた父親にも勝てた。
Meyersは、盤を球体にすることで、チェスというゲームが大きく変わったと言っている。「作っている間は、横の境界がないので、ルークがとても強力になると思っていました。しかし、それは間違いであることがすぐにわかりました。盤の横の境界がないことで、ビショップが非常に力を持ったのです。どちらの方向にも、盤上をらせん状に動くことができます。その動きを読むのは困難です」
このボードの人気は高まるだろう。Meyersは、他のゲームでも挑戦したいと考えている。同じようなプロジェクトを考えている人に、彼はこう助言する。とにかく作ること! 「他の人が作ったこの丸いチェス盤に影響を受けたように、別の人たちに独自のものを作らせるような影響を与えられたらと思います」
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