2018.09.28
ネコが自分で運転する電動ボード
ときどき、インターネットで見かけたもので、そのコンセプトの出どころがすっごく気になるものがある。たとえば、このネコが乗っかっている自作電動ボードだ。みんなもスゴイと思うだろうが、でも、なぜこんなものを作ったのかが気になる。ネコにボードの乗り方を教えているのだろうか? そこで、これを作ったAdobeでARのためのインタラクティブ・デザイナーをしているKim Pimmelに連絡を取り、このプロジェクトに関する話を聞くことにした。
なぜこれを作ったのですか? そのきっかけは?
私は、AR、VR、音声ユーザーエクスペリエンス(UX)、機械学習を使ったデザインなどのUXデザインの辺縁の部分に興味があります。
ネコを飼っているので、その子(MIDIちゃん)のためのインターフェイスが作れないかと考えました。私のペットプロジェクトシリーズは、MIDIが、ボタン、レバー、スイッチといったアフォーダンスを、餌を褒美にして学ぶことができるかを探るものです。これまで私は、鼻を引っ張ると餌が出てくるロボット犬みたいなものや、機械式のピンボールマシンを作ってきましたが、MIDIはどちらも素早く学習していました。
最新のプロジェクトである電動ボードは、スロットルレバーに餌を入れる穴が空いています。スロットルレバーの穴に餌を入れると、MIDIはそれを引っ張って餌を取り出します。するとボードが走り出します。スロットルの動きの検知にはAdafruit Featherマイクロコントローラーが使われています。そして、Adafruit Feather DC Motor Featherwingで、ボードのモーターをコントロールしています。ボードの駆動用モーターには、2,000rpmの高トルク型のものを使っています。
どうやって作りましたか? 時間はどれくらいかかりましたか?
ボードは標準的なデッキに、走りを滑らかにするために大きめのホイールを付けています。駆動装置は市販の電動ロングボード用のベルトシステムを使っています。
スロットルレバーのハウジングと電子回路を収めた箱のプロトタイピングとパーツの製作には、Glowforge(レーザー3Dプリンター)を使っています。スロットルレバーの木製のハウジングの組み立てでは、木工用接着剤と重曹で強度を高めています。紙ヤスリで磨いて、色を塗ってきれいに仕上げました。餌を載せるトレイは黒いアクリル板を切って使っています。餌のクズやMIDIのヨダレで汚れないように、掃除しやすくしました。
A whole lot of prototyping went into landing on the final kitty skateboard design. Iterating fast = learning fast! pic.twitter.com/aJWSQiwG2R
— Mr Kim Pimmel (@kpimmel) September 17, 2018
プロトタイピングが完了してネコのためのスケートボードのデザインがついに出来上がった。高速イテレーションは高速学習なり!
プロジェクトは数週間に及びました。プロトタイピングも、ローファイな概念実証の段階からピカピカの最終型に至るまで、何度か行っています。最初のころは、手早く概念実証を行うためにティッシュの箱とスタジオから持ってきた予備の部品で作っていました。
最初の概念実証プロトタイプでは、スロットルにタッチセンサーを使っています。それはうまく作動し、MIDIにも使いやすいものでしたが、スロットルを引いてボードが進むという、視覚的な面白さに欠けていまいた。
いちばん難しかったところは?
トルクと速度のバランスがとれた適切なモーターを探すのに、いちばん苦労しました。ネコを乗せたボードを動かせるだけのパワーが必要ですが、速すぎるとMIDIがびっくりしてしまったり、物に高速で衝突してしまう危険性があります。また、市販のボード用電動化システムには、あまりお金を使いたくなかったんです。手作りの醍醐味が失われることにもなりますしね。いくつかのモーターを試して、Adadruit DC Motor Featherwingで高速と低速に制御できるブラシ付の2,000rpm直流モーターにしました。そのとき、直流モーターの制御は、思っていたよりずっと難しいことを学びました。そして、滑らかに加速させるためには、イージングが重要だとわかりました。
もう一度作るとしたら、どこを改良しますか?
変えるとしたら、電子部品を収めた箱を、もっと調整がやりやすいデザインにします。今は、中身をいじるのがとても大変なんです。ネジを抜いてボードから外し、ひっくり返さないと配線や電池などに触れません。理想的には、蓋かドアを付けて、簡単に開けるようにしたいですね。
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