Electronics

2013.06.28

10の注目新ボード

Text by kanai

この数カ月に、新しいマイクロコントローラーボードが次々と市場に現れた。多くはKickstarterから出てきたもので、Arduinoを少しいじっただけのクローンもある。Arduinoの最新ボード、Yúnのようにメッシュネットワーキングや無線機能を備えたものも多い。過激で面白いものもあれば、そうでないものもある。ここでは、次のプロジェクトで検討する価値のある新発売の、あるいはまもなく発売される最新ボードを10機種揃えてみた。

1. Arduino Yún

The Arduino Yún

Massimoによって、Maker Faire Bay Areaで発表された新機種だ。Arduino Yúnはシリーズで初めてLinuxボードが埋め込まれている。基本的にはArduino Leonardo(ATmega32U4)で、別にAR9331プロセッサーを搭載して、OpenWRT Linuxディストリビューションを元にしたMIPS Linux改良版を走らせる。Wi-Fiを使って遠隔で、または通常のUSBを使ってプログラムができる。面白いことに、Tembooと手を組んで、Twitter、Facebook、Foursquare、FedEx、PayPalなどのデータにワンストップでアクセスできるAPIを用意している。予定価格は69ドル。Linuxボードを内蔵しようと考えれば、悪い価格じゃない。Arduino、Wi-Fiドングル、シールドがすべてひとつのボードに収まっている。

2. BeagleBone Black

BeagleBone Black

BeagleBone Blackはテキサス・インスツルメンツの新製品。色が変わったがボードの形は同じだ。オリジナルのBeagleBoneと同じサイズでレイアウトも似ているが、オペレーティングシステムをmicro SDカードスロットからオンボードのフラッシュメモリーに移動できてmicro SDスロットを他の目的に開放できるなど、いくつかの面白い新機能がある。しかし決定的なのは価格だ。オリジナルのBeagleBoneは89ドルなのに対して、新しいほうは45ドルだ。35ドルで販売されているRaspberry Piに対抗する価格だと思われる。そのため性能が抑えられ、外部のハードウェアを接続する際の互換性が限られてしまっている。

3. UDOO

UDOOはKickstarterでの強力な支援で生まれた。Raspberry Piに似たARMベースのLinuxボードで、Arduino Due を模すためにもうひとつのARMプロセッサーを搭載している。これにはビックリするような仕様がある。メインのCPUはデュアルまたはクアッドコアのARM cortex-A9 CPUで、Arduino DueのARM SAM3Xも搭載している。内蔵グラフィックでOpenGLのアクセラレーションが行われ、54本のデジタルI/Oとアナログ入力(ピンアウトはArduino R3と互換)、Ethernet、オンボードWi-Fi、HDMI、USB、SATA、アナログオーディオを搭載する。Raspberry Piと同様、SDカードから起動する。

とは言え、たぶんそのすごい仕様のせいだと思うが、これをどう使っていいのか、少々悩む。クアドコアで129ドル以上という価格も、かなり高価だ。

4. Goldilocks

The Goldilocks

オーストラリアのクラウドファンドサイト。Pozibleで成功したGoldilocksは、ニッチなボードだ。Arduinoクローンなのだが、Unoで使われているATmega328pやMegaで使われているATmega2560は使用していない。フォームファクターはUnoと同一だが、SRAMが多く(8倍)、Megaの2倍ある。Arduino UnoのスケッチでSRAMの容量と格闘したことがある人には、このボードは向いているだろう。価格は45ドルで、Arduino に比べて安いとは言えない。

5. DigiX

ほとんどゴール達成目前ながら、Kickstarterであと1カ月ほど猶予がある。DigiXは、すべての人のためのすべての物になることを目指している。Arduino Due互換で、低パワーのWiFi(b/g/n)とnRF24L01ベースのメッシュネットワーキングを搭載している。I/Oピンは99本もあり、リアルタイムクロックと、UART X4、I2C X2、SPI、CAN Bus、DAC X2、JTAG、DMAを備えている。これで59ドルというのだから驚きだ。これには電圧調整シールドが付属している。こんなアイデアは初めて見た。

6. Uruk

UrukはKickstarterのゴールにはまだ遠く及ばないが、Arduino Yúnと似ているところに興味がある。だが、私が見たかぎりでは、Linuxサイドのコマンドラインでの操作はできないみたいだ。これはみんなの家にあるルーターとまったく同じように、ウェブブラウザから設定ができるWi-Fiルーターだ。ただ、Arduino互換のMCU(Atmega32u4)が積まれているという点が違っている。面白いアイデアだ。価格は39ドル。Arduinoのシールドタイプは29ドル。もし商品化が実現できれば、便利なボードとしてコレクションに加えることができるだろう。

7. SparkCore

SparkCoreは非常に小さなArduino互換のWi-Fi内蔵、クラウド対応開発プラットフォームだ。これはキャンペーンに失敗した電球のプロジェクトから生まれたもの。YúnのようにWi-Fiからプログラムできるが、クラウドサービスが使えるので、ローカルなネットワークの外からでも、いつでもプロジェクトにアクセスしたり、アップデートができる。非常にパワフルな考え方だ。39ドルという価格はそれほど悪くない。

8. ExtraCore

ExtraCoreは小さな(1×1インチ)Arduino互換ボード。プロジェクトに埋め込みっぱなしにしても惜しくない15ドルという価格だ。捨てても惜しくない、というほど安くないが、それに近い。I/Oピンは22本。重さはたったの1.7グラムだ。

9. DigiSpark

もうひとつ、とても小さなArduino互換のATTiny85ベースのボードだ。こちらはたったの12ドル。だが、I/Oピンは6本しかない。それでも、DigiSparkにはいくつもの面白いシールドキットがあり、簡単に機能を拡張できる。

10. pcDuino

The pcDuino

pcDuinoはLinuxが走る埋め込みボード。フォームファクターは異なるが、Arduinoとピン配置が互換なのが面白い。そのため、Arduinoのほとんどのシールドが使える。ボードには、Arduinoと同じように直接コードを書いてネイティブに走らせることができる。SparkFunでは、ボードのフォームファクターとピン配列を互換にするアダプターを作っているところだ。60ドルは魅力的な価格だ。セットアップも簡単そうに見える。

– Alasdair Allan

原文