2013.08.16
Makerキッズへの推薦図書
カナダの自宅庭で、2人のMaker兄弟が「おうち休暇」中、素晴らしい小説で時間と空間の旅を楽しんでいる。
この前、The Swiss Family Robinson(無料)のことを思い出した。この本は読んだことがないのだが、ディズニーランドにあるそのツリーハウスは、仕掛けやら橋やら奇妙な部屋があって大好きだった。そこで、夏休みの読書について考えてみた。若きMakerたちに推薦できる本はなんだろう。彼らが工作の手を休めて、木の下で、あるいはティピーの中で丸くなって読みたいと思う、自分と同じようなキャラクターが活躍する物語だ。
読書スペースを作ろう。テント派読者のJet L.は、ひとりで本に没頭できる時間を確保するために庭にティピーを建てた。
今の自分を Maker に育ててくれた本は?
8歳のとき、古本屋の埃をかぶったいちばん下の書棚からメアリー・ノートンのThe Borrowers(邦題『床下の小人たち』岩波少年文庫)を見つけ出したのは大正解だった。私は途端に、表紙絵に魅了された。小さくて賢い、再利用名人の家族を取り巻くあれやこれやの小物。床の下、間仕切り材の間で、クロック一家は、「大きな人」の家で紛失したり忘れ去られたあらゆる種類の物をさっと回収しては、便利な道具に作り変えてしまう。この物語は数年前に美しい映画になっている。アニメーションの巨匠、宮崎駿が企画・脚本を担当したThe Secret World of Arrietty(『借りぐらしのアリエッティ』)だ。
スコット・オデル著、The Island of the Blue Dolphins(邦題『青いイルカの島』理論社)は、私を、子供のころに住んでいたオレンジカウンティのコンクリートで区画された街から、遠い時代の、距離は少し先のカリフォルニア沿岸のチャンネルアイランドへと飛ばしてくれた。そこには、カラーナという少女が何年間も一人で暮らしていた。彼女はそこで、槍を作ったりカヌーを彫ったりという家族の伝統を引き継ぎながら、一人だけの生活を再構築していく。夜に植物の繊維から大変な苦労をしてスカートを編む場面を鮮明に覚えている。灯りは、クジラの骨で壁を補強して住まいにしていた洞窟の、天井にぶら下げて乾燥させた小魚を燃やした炎だ。
ガートルード・チャンドラー・ウォーナー著、The Boxcar Children(邦題『ボックスカーの家』朔北社)によって、私はゴミを素材として愛するようになった。マサチューセッツ州フィッチバーグで2年生だったとき、この話を読み聞かせてくれた担任のBea Okerman先生に感謝している。その後、私は10回は読み直したと思う。彼らの貨車の家の近くにあったゴミ埋め立て場へ宝探しに行く場面は忘れられない(今なら、コンテナを住まいにしたアート共同体を連想させる)。この子供たちは素晴らしい発明もしている。冷たい小川の石の間に冷蔵庫を作ったり、焦がした棒で文字を書いたり、棒の先にコップを付けてひしゃくをつくったり、とにかくいつも身の回りのものから何かを作り出すのだ。
Adventures in Cartooningは、私の子どもたちの本棚で見つけた新しいお気に入りだ。絵本から、もう少し長い物語に移行しようという小さい子供たちにぴったりの、騎士とドラゴンのドタバタ物語り。これには、初心者向けのマンガ表現方法の解説も含まれている。グラフィックノベル作家を目指す人にもいい。
もうひとつ、長い物語に移行したい子供のための本としてお勧めなのが、A Wrinkle in Timeだ。Madeline L’Engleの古典的SF小説にHope Larsonが美しいイラストを付けている。
ドナルド・ソボルのEncyclopedia Brown(邦題『少年たんていブラウン』偕成社)は、Makerではないけれど、夏になると彼の冒険に何度も引きずり込まれた。パズル好きのMakerの卵たちに最適な、簡単な謎解きの物語だ。
E. B. ホワイトのThe Trumpet of the Swan(邦題『白鳥のトランペット』福音館書店)は、声の出ない若い白鳥ルイスが、道具(トランペット)を使って周囲とコミュニケーションをとり、人間や美しい白鳥たちを魅了してミュージシャンとして成長していく物語だ。ホワイトの作品には、あと2つ、お勧めがある。Stuart Little(邦題『スチュアートの大ぼうけん』あすなろ書房)のカヌーとヨットの場面と、クモの巣によるアートが世界を変える、Charlotte’s Web(邦題『シャーロットのおくりもの』あすなろ書房)だ。
ロアルド・ダールからは、少なくとも2つの名作をリストに加えたい。Fantastic Mr. Fox(邦題『すばらしき父さん狐』評論社)とJames and the Giant Peach(邦題『おばけ桃が行く』評論社)だ。ダールの作品は、頭の冴えた創意工夫に満ちていると同時に、最高のコメディでもある。Makerには洗練されたユーモアのセンスが欠かせないからね。
Laura Cochraneと私は、Maker Mediaのオフィスで同僚たちに、子どもMakerへの推薦図書を聞いてまわった。その結果、さらに数冊が揚げられた。
- ジーン・クレイグヘッド・ジョージのMy Side of the Mountain(邦題『ぼくだけの山の家』偕成社)「この本からは、自然でのサバイバル術と機知について多くを学んだ。ただし気をつけてね。これを読むと、ハヤブサをペットにしてツリーハウスに住みたくなっちゃうから」— Michael Castor
- Ted HughesのThe Iron Giant
- Captain Frederick MarryatのMasterman ReadyとThe Children of the New Forest「とても教訓的なビクトリア時代の子供の話。自給自足のための素晴らしいハウツー本でもある」— Arwen O. Griffith
- ゲイリー・ポールセンのHatchet(邦題『ひとりぼっちの不時着』くもん出版)「飛行機事故のためにカナダの大自然の中をさまようことになった少年のとても面白い話。サバイバルを学ぶ少年の失敗と成功が綴られている。暴れ狂うヘラジカも登場する」— Michael Colombo
- アーサー・ランサムのSwallows and Amazons(邦題『ツバメ号とアマゾン号』岩波書店)「ツバメ号とアマゾン号のシリーズは、Captain Marryatの本の20世紀バージョンだ。イギリスの湖に浮かぶ島で、子供たちがキャンプをして、すべてを自分たちでやる」— Arwen O. Griffith
- J. R. R. トールキンのThe Hobbit(邦題『ホビットの冒険』岩波書店)「この巨編映画の第一弾が上映され、次は秋ということで、今が子供たちにこの古典的名作を読ませて興奮させるチャンスだ」— Ken Denmead
- マーク・トゥエインのHuckleberry Finn(邦題『ハックルベリー・フィンの冒険』岩波書店)
- Laura Ingalls WilderのFarmer Boy(邦題『農場の少年』福音館文庫)「間違いなくDIY本だ。自立することの楽しさと難しさについて書かれている」— Stett Holbrook
最後に、いちばん上の写真の左側に写っている私の友人から、次の本とシリーズを加えるよう助言をもらった。
- Pseudonymous BoschのThe Secret Series
- Cuthbert SoupのA Whole Nother Story、A Nother Whole Nother Story、No Other Story
- レモニー・スニケットのSeries of Unfortunate Events(邦題『世にも不幸なできごと』シリーズ、草思社)
- トレントン・T・スチュワートのThe Mysterious Benedict Society(邦題『秘密結社ベネディクト団』ヴィレッジブックス)
この他にお勧めの本があれば、コメントで教えてほしい。
— Michelle “Binka” Hlubinka
訳者から:日本語版が出版されているものに関しては、著者名をカタカナ表記しました。
[原文]