Science

2013.12.13

飛びすぎた話か? Amazon Prime Airのハードル

Text by kanai

アマゾンの創設者でCEOのJeff Bezosが、60 Minutes segmentにて、Amazon Prime Airという未来の配送システムの開発に着手していることを発表した。簡単に言えば、5ポンド(約2.3キロ)未満の商品は、ドローンによって30分以内に玄関先に届くというサービスだ。

かなりエキサイティングな話だが、今からJeffが想定している2015年のサービス開始時期までの間に、どれだけの問題を解決しないといけないのだろう。FAA(米連邦航空局)の認可を得るのは大変そうだ。しかし実際にとのときが来たら、どのように安全に配達が行われるのだろうか。本当に実現するのだろうか。それとも、eコマースの巨人による単なる話題作りなのだろうか。このアイデアは、アマゾンが最初ではない。Matternetは、道路事情が悪い地域で、ドローンを使って日用品を配送するシステムの開発に取りかかっている。CEOのAndreas Raptopoulosは、5月のHardware Innovation Workshopで彼の構想を話している

アマゾンが本気だとすると、障壁になる問題として次のようなものがある。私の考えも含めて列挙しよう。

バッテリーのパワー

おそらく、もっとも簡単な問題だろう。アマゾンは30分での配達を目指している。注文を受けてから着陸までではなく、離陸してから着陸するまでが30分だと考えられる。Jeffによれば、配達範囲はアマゾン・フルフィルメントセンターから10マイル(約16キロメートル)の範囲とのことで、時速32キロのオクトコプターなら可能だ。ここで問題になるのは、その行程を行って帰ってくるまでバッテリーが持つかということだ。重い荷物を積んで、これだけの速度で1時間飛行するには、ある程度強力なバッテリーが必要になる。

天候

オクトコプターは、ある程度の風には対処できるようになっているが、雨や雪の中を雨具を装備して飛行するのは割に合わないかもしれない。嵐の日でも商品を届けるというリスクをおかすか、それとも天候が良くなるまで自動的に配送を待機させるか。高性能な気象観測システムが自動的に発送をコントロールするということも、アマゾンは想定しているはずだ。

盗難

ドローンが盗まれて破壊されるのを防ぐには、少なくともカメラを1台搭載するべきだと考える。GPSと組み合わせれば、予定のコースを外れたり、電池が切れてしまったときに位置が特定できる。ビデオを撮影しておけば裁判でも役に立つ。また次なるチャレンジとなるナビゲーションでも役に立つだろう。

ナビゲーション

離陸して、特定の座標を目指して飛行するまでは簡単だ。しかし、住宅地や市街地に着陸するときは、通常のGPSでは力不足だ。周囲の安全を保つことも難しい。配達先の玄関前に安全に着陸させるためには、カメラとコンピューターの画像解析を使って、ドローンが人や木の上に降りないようにすることが重要だ。では、部屋が密集したアパートや高層マンションや学生寮に届けるときは、どこに着陸したらいいのだろう。Googleがストリートビューでやっているように、着陸地点をピンポイントで特定するためのチームを送り出すか。私は個人的に、屋根に登って荷物を受け取りたいと思う。1マイルあたりに近づいたときメッセージを送ってもらう。すると私は屋根に登って、手を振って荷物を迎え入れる。私にはそれが楽しくていいと思う。ドローンにとっても、屋根は楽な着陸場所だ。

安全

このパズルのなかでもっとも重要な部分だ。ドローンが人の近くに墜落したら、アマゾンは大変なことになる。そうした事故を防ぐにはどうしたらいいか。周囲の人全員にドローンが飛んでいることを知らせるか。回転翼の周囲に厳重なガードを付けるか。非常用バッテリーを積むか、パラシュートを搭載するか。

FAA(米連邦航空局)

アマゾンがコントロールできない部分がこれだ。Jeffは、FAAがドローンに関するルールと規制を定めるのが、いちばん早くて2015年だとしているが、それは楽観的だ。2020年までにこのサービスが実現できれば、いいほうだと思う。Amazon Prime Airの第一便が離陸するのは、いつだと思う?

みなさんは、アマゾンが未来の空飛ぶ宅配構想を推し進めるなかで、最大の障壁になるものは上の中のどれだと思う? 私はアマゾンの回し者ではないが、このサービスを数年以内に実現できそうな企業があるとして、もっとも有望なのはアマゾンだと思う。宅配ドローンがトラックよりも多くなる日が来ないと、誰が言えるだろうか。

– Eric Weinhoffer

原文