Electronics

2007.08.28

ハッカースペース立ち上げのためのデザインパターン

Text by kanai

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ボクは今、C4(Chaos Computer Club Cologne)のプレゼンテーションルームに座って、JensとLarsのハッカースペース立ち上げのためのデザインパターンに関するすばらしいプレゼンテーションを見てる。創造的なコミュニティを作りたいと考えているなら、これをダウンロードして見てほしい。 – PDF Link
C4は、今の場所に1999年からあり、現在はバージョン3.5なのだそうだ。あれこれ苦労を重ねてきただけあって、彼らのデザインパターンは非常にシンプルながら、ハッカースペースを成功に導くための深いノウハウが込められている。ここに紹介するのは、ボクがとったノートの内容だ。彼らは、自分たちの成功体験と矛盾点をわかりやすいガイドラインにまとめてくれた。これは決して黄金律ではない。あくまでもデザインパターンだ。
プロジェクトの前にインフラ。まず場所を確保してインフラをすべて整える。そうすれば、人々がものすごいプロジェクトを持って集まってきてくれる。プロジェクトとコミュニティを支持するために必要な場所、電源、サーバー、回線といった設備を整える。メーリングリスト、wiki、IRCチャンネル(またはJabberサーバー)も必要。
2+2人の人間が必要。計画を考える人間が2人。実務を遂行する人間が2人。この4人が揃うまで行動を起こしてはならない。行動を開始したなら、仲間を10人まで増やす。この初期メンバーは、経験豊かで本当に強力な人間性を備えた者が望ましい。「権威の“ある”(そして尊敬できる)人間を探せ。権威を“振りかざす”(そして失笑を買う)人間ではない」
中心となるグループが結成できたなら、究極のハッカーの巣を作るときだ。その場所に人を住まわせてはいけない。プライバシーの問題が発生するからだ。よき隣人も大切だ。夜中に騒いでも怒らない人たちがいい。大家もあまり干渉しない人がいい。
いろいろなことができるよう、小さい部屋がたくさんあるといい。喫煙は、ヨーロッパのハッカースペースではいつも問題になる。C4では、喫煙室を作って対応している。
食事は大切だ。ピザ以上の食事ができることが望ましい。そのためには、冷蔵庫、食洗機、調理用具が必要になる。ナードにはヘルシーフードが欠かせない。ソフトドリンクを販売すれば、家賃の足しになる。シャワーがあれば体臭を軽減でき、長期のプロジェクトを可能にする。臭いタオルが洗えるように洗濯機を置くのもよい考えだ。
カウチ、ソファー、ステレオ、ビデオゲームがあれば、みんなが心地よく、イイ感じで過ごすことができる。
3カ月分の家賃を前払いする。大きなプロジェクトには資金が必要だ。全体主義的出納係を選挙で選ぶ。出納係は会費を払わない人間がいる場合に、名指しをせず、会費を払わない人間が3人いると告げ、彼らを特定し、払わせる能力があること。
会社や大学で顔を合わせないこと。独立が肝心!
毎週、ミーティングを開く。議題を設け、みんながそれに関わるようにする。これはメンバー限定のミーティングとする。月に1回は、公開のトークやレクチャーを行う。頭がよくて面白い人が来たら、毎週のミーティングに誘う。変なヤツを毎週のミーティングに誘ってはいけない。
人間関係で問題が起きたら、いくつかのパターンを試す。合意、民主主義、命令(自分も関わっているときに限る)を試す。メンバーは気が緩むこともある。そのときは、自分たちの仕事へのプライドを思い起こさせる。ディスカッションを行う際は、実社会的スキルのある人間に仕切らせるとよい。彼らに学び、人の話の腰を折らないことを学ぶ。トラブルメイカーに対しては、個人的に会って話すのも効果的。
このプレゼンテーションは、ヨーロッパを巡ったボクのハッカースペースのツアーのハイライトの一部。ボクも、ソーシャルネットワークや創造的なコミュニティについていろいろ考えてきているが、このプレゼンは本当にすばらしかった!
C4の写真 – Link
訳者から: ハッカースペースとは楽しそうだ。みんなが集まれる場所を借りるのは、日本ではすごく難しいだろうけど、そんな場所が持てたら、日本の若者たちの創造性や社会性がうんと上がるだろうにね。
[原文]