2008.12.12
音楽的工業技術 – ロボットをもっと音楽的に、創造的に、表現豊かに
写真:Jeff Lieberman
ロボットがもっと音楽的に、創造的に、表現力豊かになったらいいと思わない? ミュージシャンでロボット研究家のDan PaluskaとJeff Liebermanは、ウェブに接続する形の”ロボティック・メカニカル・オーケストラ”を作った。これは、ゴムボール砲から玉を打ち出してマリンバを演奏し、伝統的な打楽器を叩き、メカの指でワイングラスの縁をこする。このマシンは”Absolute Quartet”(アブソルートカルテット)と呼ばれ、ユーザーがウェブ上で作曲したメロディーに、人工知能で考えたリフを乗せていく。
「本質的には、このマシンはモーターと金属とソフトウェアだけのもの」とMIT出身者の彼らは語る。「ただし、それらのエレメントのデザインが、マシン全体の”個性”を作り出す。それこそが、マシンとオンラインのユーザーとの間のクリエイティブな対話を可能にするんだ」
もちろん、この対話は1回だけで済むものではない。何度も何度も繰り返されるべきものだ。彼らはテクノロジーの部分が”消滅”して、純粋にクリエイティブな体験だけが残るようにしたいと考えている。しかしそれには、3,000個もの特注パーツと10,000個の市販パーツを上手に調和させる必要がある。
さらに、50万個の特注ゴムボールを4メートル離れたマリンバの鍵盤に命中するように打ち出す必要もある。
「10,000回に1回以上ミスをすると、ぶち壊しになる」と彼らは語る。そこで2人は、基本原理が異なる4種類の打ち出し機構を試し、1つを選び出した。バネと回転するアームを使ったものだ。
そして彼らは、1人のエンジニアに相談を持ちかけ、スエードの指を共鳴させるためのポリエチレングリコールジメタクリレートのような、メンテナンス不要の魔法の素材を探した。さらに、35音分のワイングラスを揃えるために、プロのグラスハーピストのスキルも必要だった。
「音楽家でありロボット研究家でもある我々は、この2つのコンビネーションをいつも考えていました」とPaluskaとLiebermanは話す。完成した作品では、数百年前の打楽器やグラスアーモ二カが、現代の工業ロボットが合体している。音楽家にして発明家であり、最初にグラスアーモニカを作ったベンジャミン・フランクリンも、誇りに思うことだろう。
>> アブソルート・カルテット: absolut.com/absolutmachines(英語)
>> 組み立ての様子: bea.st/sight/absolut(英語)
Made on Earthより – Make英語版 Vol.14、18ページ – Peter Kirn
– Phillip Torrone
[原文]