2009.01.19
Remake: ツールシェアリング
カリフォルニアのメンローパークにあるTechShop(会員制の貸工房、3Dプリンタ、レーザーカッター、その他の各種工作機械が自由に使える)に行ってきたという人から、そこで聞いて驚いたという話をしてくれた。当初、TechShopでは工具が持ち出されることを心配していたのだが、実際はその反対であることがわかったそうだ。このコミュニティベースのワークショップのメンバーは、自宅から工具を持ってきて、他の人も使えるようにと、置いていくのだ。そのため、TechShopにはオープン当時よりも多くの工具が揃っているという。TechShopの創設者のひとり、Jim Newtonは、こう話してくれた。
それは、まったくもって本当の話です。みなさんは、TechShopに対して本当のコミュニティ意識があるのです。家から工具を持ち寄るという行動が、それを証明しています。一般に、物作りが好きな人は、その他の人たちに比べて社会的な責任感が強いようです。それが、TechShopに貢献したいという意識を高めているのだと思います。
このTechShopの例を聞いて、私は、今年のはじめに地元の新聞で読んだコミュニティーのツールシェアリングに関する記事を思い出した。Dustin Zuckermanは、The Santa Rosa Tool Libraryを創設した。工具の貸出を行うライブラリーだ。これはすばらしいリメイクのアイデアだ。みんながみんな、必要な工具をすべて買いそろえることができるわけではない。特定のプロジェクトにだけ必要で、その後はほとんど使わないという工具も少なくない。工具のレンタルもあるが、けっこう高い。なにより、工具は場所を食う。大量の工具を保管するスペースの確保は、いつだって頭の痛い問題だ。
ツールシェアリングのコンセプトは以前からあった。前述の記事には、バークレイの公立図書館の後援で行われている工具の貸出サービスの例が載っていた。ここに、Mother Earth Newsのツールシェアリングを始める方法に関する記事がある。ツールシェアリングには、コミュニティ資源として組織されるもの、物作りの愛好家が協同で行うもの、または、個人的に、ご近所に工具の貸し出しを申し出るという形のものもある。いずれにせよ、ツールシェアリングの持つ意味は、今日、ますます大きくなっている。今に、小さなグループでツールシェアリングをできるようにするウェブアプリが開発されるだろう。誰か、作らない?
先日、友人たちとこの件について語り合ったとき、その中のひとりがこんな意見を言っていた。なかには、他人から工具を借りるのを嫌がる人もいる。貸すと言われても断ってしまう。だから、単に工具を貸し出す意志があると訴えるだけでは、ツールシェアリングは実現しない。少なくとも、彼女の体験上はそうだという。物を借りることに気兼ねしてしまう人がいる。そういう人は、気持ちよく物を借りられない。しかし、そうした意識も、独立心よりも互助精神が大切であり、それが、よりよいコミュニティを育てるのだとわかれば、転換は可能だろう。Makerはその手助けができると思うのだが。
規模の大小、プライベート、職場に関わらず、みなさんのツールシェアリングに関する体験を教えてください。
訳者から:大切な工具を人に貸すのも借りるのもイヤという気持ちはわかるね。どこかに共有スペースがあって、そこにみんなで工具を出し合って、みんなで手入れして管理する、という形がいちばんだな。でも特に日本では場所のコストで工具が山ほど買えちゃう感じだし。とりあえずは、隣近所や友達同士で、工具の貸し借りに関するルールを決めておくだけでも、立派なツールシェアリングになるだろうね。
– Dale Dougherty
[原文]