2011.05.25
新刊『子どもが体験するべき50の危険なこと』は5月25日発売
Make日本語版関連の新刊『子どもが体験するべき50の危険なこと』が出ます(この告知は発売日まで一番上に表示します)。
本書は、さまざまな分野から選んだ50の活動を通して「本当の危険を見きわめる力」と「それに対処する力」を身につけるための書籍です。「ナイフを使う」「目かくしで1時間すごす」「強風の中で手作り凧をあげる」「やりを投げる」「ミツバチの巣を探す」「車を運転する」「指を瞬間接着剤でくっつける」などの活動を親子で行うことで、道具を使う技術、とっさの際の身体の使い方、テクノロジーと社会の仕組みなどに関して、体験にもとづいた知識を得ることを可能にします。大人の読者にとっても、子供のころの感覚を取り戻したり、気づかないうちに設けていた制限に気づくためのきっかけになることでしょう。
タイトルや目次にインパクトがあるために、とても過激な本というイメージをもたれる方もいるかもしれません。そこでこの本について理解していただくために、この本の目的について書かれた部分を「はじめに」から引用します。
もちろん、子どもたちを危険から守ることは必要です。それは社会人としての私たちが、子どもたちに約束していることです。しかし、それが過保護になってしまっては、子どもたちの危険に対する判断力が養われず、社会の責任が果たせません。私たちがするべきなのは、未知のもの(またはよくわからないもの)と、本当に危険なものとの区別をつけられるよう、子どもたちに学ばせることです。
(中略)
森の中で育った子どもたちは、本で森のことを読んだだけの子どもよりも、実際の森の中で快適に過ごせるはずです。同じように、自分でたき火をおこしたり、木にのぼったりした経験のある子どものほうが、それをビデオで見ただけの子どもよりも、そこで目撃した物理現象を、ずっと深く、具体的に理解できます。
(中略)
では、どうしたら子どもに力量をつけさせることができるでしょう? 私たちは、本当に危険なものか、それとも単に危険な要素を含むだけのものかを自分で調べる機会を、慎重にしっかりと管理された公開の場で、子どもたちに与えることにしています。私たちはそこで、子どもたちに安全を探る技を教え、探求の道を自力で歩くための指導をしているのです。
つまり本書は、タイトルから受ける印象とは反対に、安全を考えるための本なのです。すべての活動には危険な要素が含まれています。どうかこの本を足がかりにして、子どもたちと危険について語り合ってください。私たちは、ここに提示した活動を安全に行えるよう、計画、段階的な実行、適切な予防措置という「足場」を組んで危険を和らげています。子どもたちに木登りの訓練をさせましょう。そうすれば安全に木に登る方法を子どもたちは学びます。木登りを禁止したところで、子どもたちは勝手にやるでしょう。しかしそのときは、非常に危険な登り方をする恐れがあります。あるいは、木登りがきらいな子どもになるかも……。そのほうが悲惨です。
これは、絶対に従わなければならない指示書ではありません。あくまでもガイドラインです。やってみると、かならず予定通りにいかない場面に遭遇するでしょう。現実世界では、問題の解決にちょうどいい長さのロープなどは存在しません。完璧な道具もありません。部品の足りない機械を工夫して動くようにしたり、ダメで元々のところをがんばる。それが、「ティンカリング(tinkering)」の本質なのです。
この本と著者のGever Tulley氏に関しては、TEDで行われた講演がよく知られていますが、このサイトでも2008年の1月にその講演を紹介しています(MAKE: Japan : 子供にやらせるべき5つの危険なこと)。講演のなかでTulley氏は本を執筆中であることを話しているのですが、それを見て訳者の金井さんと日本語版を出せるとよいですね、というメールのやりとりをしてから3年後、実際に本を出すことができました 🙂
O’Reilly Japan – 子どもが体験するべき50の危険なこと
[目次から] はじめに 01 9ボルト電池をなめてみよう 02 あられの中で遊ぼう 03 完ぺきなでんぐり返しを決めよう 04 フランス人のようにキスであいさつしよう 05 車の窓から手を出してみよう 06 釘を打とう 07 車を運転しよう 08 やりを投げよう 09 ポリ袋爆弾を作ろう 10 電気掃除機で遊ぼう 11 石を投げよう 12 ドライアイスで遊ぼう 13 紙コップでお湯をわかそう 14 電子レンジに変なものを入れてみよう 15 走っている車から物を投げよう 16 高いところから落ちてみよう 17 虫めがねで物を燃やそう 18 ひとりで歩いて帰ろう 19 屋根の上に立とう 20 ノコギリを使おう 21 目かくしで1時間すごそう 22 鉄を曲げよう 23 ガラスビンを割ろう 24 空飛ぶマシンを作ろう 25 太陽を見よう 26 かっこいい殺陣を学ぼう 27 パチンコを作ろう 28 木登りしよう 29 パフォーマンスに挑戦しよう 30 小川をせきとめよう 31 地下にもぐろう 32 タイヤを交換しよう 33 ゴミ箱に飛び込もう 34 家電品を分解しよう 35 ゴミの埋め立て地を見に行こう 36 友だちに毒を食べさせよう(5/19追記:36番の内容に関して懸念を持たれている方も多いようなので、内容に関して補足します。塩入りのクッキーを友だちに食べさせることで「友だち」「信頼」について考える機会を作るというものです) 37 強風の中で手作り凧をあげよう 38 つなわたりをマスターしよう 39 食洗機で料理をしよう 40 ミツバチの巣を見つけよう 41 公共の乗り物で街を横断しよう 42 レシピ本にさからおう 43 ナイフで削ろう 44 ロープスイングで遊ぼう 45 火遊びをしよう 46 指を瞬間接着剤でくっつけよう 47 ガラスを溶かそう 48 冷凍庫でビンを破裂させよう 49 野宿をしよう 50 なにかしよう