Electronics

2013.09.13

GoogleのプロジェクトLoonは天井知らず

Text by kanai

プロジェクトLoon の「すべての人にインターネットを」というキャッチフレーズは、いまだに500万人の人がインターネットに接続されていないという厳しい現実を物語っている。プロジェクトLoonは、高価なインフラの問題を解決し、災害の被災地にインターネット接続を提供する先進的な手段になることを目指している。

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Googleは、高高度気球で通信機器を打ち上げ、遠隔地と高速インターネットでつなぐグローバル・メッシュ・ネットワークを構築しようと考えている。通信速度は3G相当で、ライセンスのいらないISMバンドの2.4GHzと5.8GHzを使う。気球は高度20キロメートルの成層圏に打ち上げられる。ここなら気象や航空機の影響を受けない。民間航空機は9〜12キロメートルの高さを飛行するからだ。成層圏は、時速8キロから32キロ程度の一定の速度でゆっくりと流れる風の層で構成されている。気温はマイナス50度℃前後。気球は高度を変えることでさまざまな風の流れをつかまえて移動する。

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最初の気象観測気球は、1800年代末にフランス人気象学者によって打ち上げられた。それ以来、さまざまな科学研究に使われてきた。本格的に使われ始めたのは第二次世界大戦後の50年代、ポリエチレンが発明されてからだ。アメリカ空軍などは、50年代から60年代初頭にかけて超高高度気球の打ち上げを行っている。最初はダミーを乗せての飛行だったが、その後、実際に人を乗せて3万メートル上空まで飛ばすことに成功している。

最近では、DIY愛好家や宇宙マニアのためのさまざまなキットが販売されるようになっている。数年前、MAKEでも新しい宇宙探査の形として紹介した(英語版Vol.24)。高高度科学は、キットを購入して始められる分野であると同時に、その気になればキット開発をビジネスにつなげる実例を示すものにもなっている。

13歳のLauren Rojasは、3人の男性が気球を打ち上げるというVISAカードのコマーシャルに興味を持った。そして彼女は、学校の理科の課題として「宇宙のハローキティ」というプロジェクトを実行し、成層圏気球を使った宇宙船の組み立てから、キティちゃんを成層圏まで運び、また地上に戻すという壮大な実験の一部始終をまとめて発表した。そのときのビデオは、キャッチーなポップソングに合わせて編集されて、YouTubeで公開されている。言うまでもなくそのビデオは瞬く間に広がり、100万ビューを突破して、メジャーなメディアにも取り上げられた。(Make: Japan | 13歳の女の子がキティちゃんを宇宙に打ち上げた

高高度気球は、今やいろいろな用途に使われているが、レッドブルのスペースジャンプなどは、その技術を使って宇宙近くまで人を運ぼうというプロジェクトだ。結果として高度は38,400メートルを超え、人間がダイブした高度の最高記録を樹立した。これは、大きな企業の予算と宣伝企画という後ろ盾があって実現したものだ。

先日は、Maker Campに参加した子供たちは、Googleの気球の打ち上げを生で見学した。Googleのプロジェクト、Loonが、将来のDIYやMakerのコミュニティにおける高高度気球の新しい可能性を切り開き、さらにその応用の幅を広げてくれることを期待せずにはいられない。宇宙が、これまでになく格段に近くなったと考えると興奮する。高高度気球で宇宙に行ける日も来るかもしれない。

– Erik Katz

原文