2014.03.14
完全可動AT-STコスチュームを作る
去年、私は高さ7フィート(2メートル10センチ)の完全可動型のチキンウォーカーのコスチュームを、断熱材とスプレーペイントとプリント用紙だけで作った。
デザイン
いくつか落書きをしたあと、基本の形をRhino 3Dで描き(Google SketchUpを使ったほうが簡単だったけど)、製作用のガイドにするためにCADで図面を起こした。そのとき私は、忠実にAT-STを再現するよりも、AT-STらしく見えるミニチュアを作ろうと考えた。そのためには、ある程度の細かい変更が必要だった。そんな形状の試行錯誤には、CADは本当に便利だった。そうしてできあがった結果を見た妻は、これを「かわいい赤ちゃん版」と呼んだ。私好みの表現ではないし、ぜんぜん違う。
製作
CADモデルを参考に、だいたいの寸法をそこから割り出し、2インチ(約5センチ)厚のスタイロフォームで基本のフレームを作った。ここからは、ほぼ目測の作業となった。CADデータを正確に引き写す必要はない。
足から作業を始めた。カッターを使って断熱材を菱形に切り出した。切り出した“足の裏”に、厚紙とダクトテープで覆いを作った。脚の可動部分のジョイントには、写真に見えるとおり、余っていた塩ビパイプと丸く切った厚紙と木の丸棒で、ワッシャーとボルトの代わりにした。足を固定するものとして、スノーボードのビンディングも使っている(近くのリサイクルショップで3ドルで買ってきた)。スノーボードのビンディングには底に穴が空いていて、足にドリルで穴を開ける際に重宝した。足の裏に2×4材を取り付けてあるのがおわかりだろうか。これで足を地面から持ち上げると動きが大きくなる。同時に足の裏の耐久性を高めることもできる。
上の写真でわかるとおり、全体的にスタイロフォームでできているが、力のかかる可動部分は木材で補強している。まず組み上げてから実際に歩き回ってみて、最初に壊れたところが力のかかる場所なので、そこから補強していった。壊れた部分を再び組み直し、割れたスタイロフォームを木材に置き換えるのだ。この繰り返しは、私の忍耐力を超えるほどだった。でも、効果的な方法ではあった。適切な場所をぴったり補強できたので、方々に旅をしても丈夫さを保ってくれた。
動きをそれらしく再現するためには、かなりのイテレーションを要した。だが、ここがいちばん楽しいところでもあった。何かを生きているかに見えるように作るという作業は、とても面白い。作っている途中で、私はこれをぜひとも仕事にすべきだと思うようになった。そして、Craigslistで超大型の着ぐるみを製作する仕事を探した。まだ見つかってないが、きっとあると前向きに考えている。
本物らしく歩ける形にするために、私は脚の部分を組み立てて、自分で歩いた姿をビデオに撮影した。それを見ながら、位置を動かしたり、ある部分をゆるめたりと調整を行った。ほとんどが、長さと角度とジョイントの調整だった。上の図を見れば、回転ジョイント、スライドジョイント、固定箇所がわかると思う。
腰と腿の部分は固定されていることを私は発見した。下腿は膝の部分で自由にスライドできるようになっている。くるぶしは回転ジョイントでつながっている。また重要なのは、“腰”は着る人のお腹のあたりに、余裕をもって装着できなければならないことだ。特徴的な動きを表現するには、腰の動きが重要だからだ。
頭部は次の方法で製作した。
- 1インチ厚のスタイロフォームを何枚か床に並べ、糊を使ってレターサイズのプリント用紙を貼り付けていった。こうすることで、スタイロフォームを溶かしてしまうことなくスプレーペンキで色が塗れる。
- 紙の上に切り取り線を引いた(正確にやりたければCADモデルからPoseter-Styleで切り取り線をプリントアウトするといいだろう)。
- カッターで頭部の4つの面を切り出し、目の部分を切り抜いた。
- 4枚のパネルをテープで貼り合わせ、瞼も裏からテープでとめた。
- 頭の下側、顎の下には補強材として木材を入れた。これは補強の意味もあるが、歩行中に腕を置いておくスペースにもなる。
- その補強材の上に、塩ビパイプでブラスターを取り付けた。
これで、歩行可能な、裸の状態だが、チキンウォーカーができた。
塗装と仕上げ
思い通りの動きが表現できるようになったところで、一度分解して、スタイロフォームがむき出しの部分に糊で紙を貼り付け、その上からメタリックなグレーで塗装した。そして、黒のペイントを使って、戦闘で汚れた感じを出した。紙は、塗装をしやすくして、スタイロフォームを保護する役割のほかに、紙の継ぎ目が継ぎ接ぎのパターンを作り出すので、本物の金属板を貼り合わせて作られたような雰囲気を出してくれる。艶ありと艶消しのペイントを慎重に組み合わせて、ちょうどいい仕上がり具合にした。
上の写真は、さらに機銃などの細かい部品を追加したところ。
弾痕の描き方
スタイロフォームは油性ペイントで溶けてしまうのだが、私は “撃たれた穴” を表現するために、それを利用した。一部分の紙を剥がし、そこに直接スプレーした。泡だって溶けたスタイロフォームの跡が、まさにレーザー砲で溶かされた跡のように見える。あまり溶けてくれないときは、スタイロフォームを少しほじくってからスプレーするとよい。
製作の費用と時間
この手のプロジェクトにしては、材料費は驚くほど安かった。使ったのは、ピンクの断熱用スタイロフォームと、普通のプリント用紙と、スプレー塗料だ。木材や厚紙や塩ビパイプは建築現場のゴミ箱から拾ってきた。そのほかに、まとまった金額の出費は、リサイクルショップで買った3ドルのスノボ用ビンディングだ。デザインから完成まで約1週間。出来映えには大変に満足している。
材料
- 断熱用スタイロフォーム
- プリント用紙
- 糊
- 塩ビパイプ
- 厚紙
- 木の丸棒
- ダクトテープ
- スプレー塗料
- 木片
道具
- カッター(厚いスタイロフォームが切れるよう、刃が出せるタイプがよい)
- 定規(寸法を測るのと、真っ直ぐ切るために使う)
- CAD
– Joseph Bowers
ソルトレイクシティーに住む工業デザイナー。お気に入りは、順番にラムス、ブラッドベリ、マーレー、キューブリック、サベージ。joebowersdoesdesign.com
[原文]