Crafts

2014.04.30

プロスノーボーダー、Mike BasichのシエラのDIYエネルギー自給自足ハウス

Text by kanai

area 241 aerial

プロスノーボーダーのMike Basichは、20年間、雪の上で自分の限界を押し広げてきた。そして、スノーボーダーコミュニティではDIYの師と呼ばれるようにまでなった。GoProが発売されて、山を滑るスノーボーダーがみなそれを身につけるようになるずっと前から、Basichは既存の撮影機材をハックして、ビデオカメラマンを使わずに自分で自分の滑る姿を撮影していた(今彼は、GoProとスポンサー契約をしたもっとも多くの作品を製作したアスリートになっている)。

彼の最新の大型DIYは、シエラネバダの山奥に建てたエネルギー自給自足のキャビンだ。彼はそれをエリア241(Facebookページ)と命名した。カリフォルニア州トラッキーからおよそ16キロ離れた場所に、Basich は40エーカーの山を持っている。キャビンは約21平米と小さいが、五角形をした、敷地内で採れた花崗岩と松材とベイマツを使った作りになっている。電気はソーラーパネルから、水は雪からとる。180メートルの垂直に上るチェアリフトと薪で焚くホットタブもあるってことは、話したかな? なんとも優雅なシンプルライフだ。

Basichは5月18日、日曜日のMaker Faire Bay Areaで、家の建て方について講演を行う予定だ。私たちは彼に詳しい話を聞いた。

Basich, back in the day, pre-GoPro, with his hacked filming setup.
GoProが登場する前、ハックして作った撮影機材を装着したBasich。(古いビデオのスクリーンショットより)

1. エリア241のような、挑戦的な家を建てようと思ったのはなぜ?

エリア241で確かめたいことがあったんだ。ひとつは、電気や、蛇口をひねれば出てくる水など、あって当たり前だと思っていたものを自分で作る方法を教えてくれた場所に自分の身を置いてみたかった。簡単に聞こえるかも知れないが、一から始めるのはまさに冒険の旅だった。それは私の行動様式を変えてしまった。

それは、地球の動きに自分を近づけることでもあった。夜明けとともに起きて、日没とともに寝るという生活でエネルギー消費量がどれほど変わるか、それは驚きだよ。そうしたシンプルなつながりが、私にとっては大きなものだった。もうひとつは、私の人生における情熱と、スノーボーダーという職業を結びつけたかった。スキー場でそれを追いかけるのではなく、その中に住んでみたかった。山にいると生きていることを強く実感できる。だから、どうしても山に住みたかった。

area 241 summer shot

2. エネルギー自給自足の家とチェアリフトを作る技術は、どこで学んだのですか?

ほとんどすべて、自分でやって覚えたんだよ。それは人生をエキサイティングで、難しくしてくれる。しかし、困難に挑戦すれば、かならず学ぶことがある。私は、自分が作りたい形に素材から合わせてくれるのが好きなんだ。何を作る場合でも、一歩下がって、どうしたらいいかを考える。リフトは簡単なものだ。本当に必要最低限の一人乗りで、最小限の力で人を運び上げる。

One of Basich's lift towers, with boulders used as counterweights.
Basichのチェアリフトの支柱。カウンターウエイトには岩が使われている。

3. エリア241の土地について教えてください。簡単に行けますか?

冬は雪かきした道路から3マイル(約4.8キロ)奥に入る。だから、ソリや雪上車を使ったり、歩くこともある。吹雪のときは本当に大変だ。夏はデコボコ道だ。最後の1000フィート(約300メートル)がきつい。だから荷物は雪上車で運ぶことにしている。雪が積もってるときのほうが道が平らだからね。

Basich taking the first ride on his chair lift.
チェアリフトに初めて試乗するBasich。

4. チェアリフトを作る際に、もっとも難しかったのはどの部分?

私の土地の80%は花崗岩なので、それぞれの支柱の間の道を作るのが大変だった。すべてを小さなトラクター1台でやったんだ。支柱を運び上げるのがワイルドだったよ。ロープをたくさん木にかけて、岩の上でトラクターを走らせて引っ張り上げた。ほとんどの作業は夏場に行ったので、高いところでセメントを捏ねるのが大変だった。水を運び上げなければならないからだ。必要と思われるものはすべて、荒れた道を使って運び上げなければならない。ぎりぎりの狭い道をね。

Basich's cabin in the summertime, sitting on a slab of granite.
平らな花崗岩の上に建つ夏のBasichのキャビン。

5. 以前からMakerだったのですか? 最初に自分の手で何かを作ろうと思ったきかっけは?

私の両親は、常に何かを作ったり直したりしていた。いつも違うアプローチで物事を行っていた。だから私も自分でやることを覚えたのだと思う。

The cabin is heated by wood stove only. There's a makeshift oven at top, as well as copper coils that are used to heat water.
キャビンの暖房は薪ストーブのみ。上に間に合わせに作ったオーブンがある。銅のコイルはボイラーだ。

6. 買わずに作るようになったきっかけは?

日常使うものとは、深いつながりを持ちたいと思ってる。時間をかけて汲んできた水で歯を磨くと、達成感があるんだよ。
The cabin's sleeping loft and tiny kitchen.
キャビンの寝室にしているロフトと小さなキッチン。

7. エリア241を建設することで学んだ、もっとも大切なことは?

自分がどれだけ雪が好きか、シンプルな生活がどれほど楽しいかだよ。

Basich and his rad dog Summit, happy as can be.
Basichと彼の愛犬サミット。最高に幸せそうだ。

8. 次のプロジェクトは?

今年、ガールフレンドとトレーラーに小さな家を作った。それも、小さくてシンプルな住まいが好きだという私の好みを示すプロジェクトだったよ。

mike and mobile house
Inside and outside of Basich's newest project: the DIY home on wheels.
Basichの最新のプロジェクト。DIYトレーラーハウスの中と外。

9. エリア241に触発されて、自分でも家を建てたいと思った人のためにアドバイスをください。

時期を待たないこと。いつやっても大変なことは同じだ。その大変なところが、いろいろな意味で最高の部分でもあるのだけど。計画を実現するために、諦めなければならないことをしっかり考えておく。たとえば、トイレを外にするか、慣れたものにするか、といったことだ。その唯一無二の体験は、報酬として自分の身になる。そしてそれが一生の宝になる。

Basich riding his property with his pup Summit.
愛犬サミットと自分の山を滑るBasich。

ためになる話をありがとう、Mike! Maker Faire で会えるのを楽しみにしています。

おまけ

エリア241の別の写真(どうしても切れなかった)。

BBC Networkが製作したMikeとエリア241のビデオ。

BasichはFlowのチームライダーだ。チェアリフトを作る様子を『Chairlift Chronicles』という面白いビデオに収めている。

BasichとChristoph Thoresenが楽しく滑るビデオ。クアッドコプターから撮影している。

– Goli Mohammadi

原文