Electronics

2014.07.16

Raspberry Pi モデルB+登場!

Text by kanai

The new Raspberry Pi B+
新型 Raspberry Pi B+

Raspberry Pi財団は新型ボードを発表した。突然の発表だったが、これは現在のモデルBに置き換わるものではなく、B+というタイプだ。モデルBが最初からこうだったらよかったのに、とも言うべきものだ。

オリジナルのRaspberry Piが登場してからの2年間、どうやってこのボードを組み込めばいいかわからないという苦情が多かったが、それがRaspberry Piの人気の足を引っ張ることはなかった。この新モデルの狙いは、その問題点にきっぱりとケリを付けることにある。


James AdamsとEben UptonによるRaspberry PiモデルB+に関するトーク

モデルB+も、モデルBと同じBroadcom BCM2835プロセッサーを使っている。1GBのパッケージオンパッケージにも対応するが、まだ市販されていないため、メモリーも512MBのままだ。もっとも大きな違いは、2つのUSBポートが新設されたことだろう。

USBポートが増えた

USBポートの増設のためには、見えないところでいろいろな変更が加えられている。ボードのルーティングは大幅に改良され、USBソケットのためにより多くの電源が供給できるようになった。もちろん十分に外部電源があればの話だ。そこで、外部からの供給電圧が4.7ボルトを下回ると、パワーLEDが消えて警告するようになった。これは使ってみるとすぐに気がつく点だ。

これらのUSBソケットは、その他の部分の「バックパワーリング」から切り離されている。これは、これまでよくあったセルフパワードUSBハブとの問題を解決するものであり、ホットプラグもずっとやりやすくなる。また、ポータブルHDDドライブのような多くの電源を必要とするUSBデバイスにも対応できるようになる。

この新型ボードに加えられた電源の最適化はこれだけではないが、オリジナルのモデルBに使われているリニアレギュレーターは、スイッチング式に換えられた。これで、消費電力は0.5ワットから1ワットの間に抑えられることになった。

GPIOピンの増設

もうひとつの大きな改良点は、2つのUSBポートよりも重要な、GPIOヘッダに関するものだ。この新型ボードにはGPIOピンが40本ある。最初の26ピンはモデルBとの下位互換を保つために同じになっている。たいていのGPIOボードは、少し調整すれば、新しいボードの上にぴったり重ねることができる。つまり、このボードのGPIOピンには、(やろうと思えば)IDEケーブルをそのまま接続できるということだ。これは面白い。

The B+ GPIO Bus
モデルB+のGPIOヘッダは40本

ボード全体のアレンジは整理されて、オリジナルのモデルBよりもプロっぽい感じになった。オリジナルではSDカードは差し込むだけだったが、Beaglebone Blackと同じように、押すとロックするマイクロSD方式になった。また、オーディオ回路には低ノイズの専用電源が設けられた。USBコネクターはボードの端に揃えられ、ビデオのコンポジット出力は3.5ミリジャックに変更された。ボードの四隅は丸くなり、マウント用の穴も付けられた。

要約

この新型ボードは、全体的にオリジナルのモデルBの大幅な改良型であるが、オリジナルボードとのハードとソフトの互換性を心配するコミュニティの不安にもきちんと対処したものになっている。先ごろ発売されたCompute Moduleと並んで、間違いなくこれは、急速に発達するシングルボードコンピューター市場の競合他社製品に対抗するRaspberry Pi財団の強力なラインナップとなる。


Element14のDavid FinchがRaspberry PiモデルB+について語る。

とは言え、モデルB+にはまだ問題がある。たとえば、モデルBと同じBroadcom SoCを使っているため、Ethernetのトラフィックは、オリジナルと同く、依然としてUSBバスを通じて行われることになる。一部のRaspberry Piユーザーにとって、これはずっと問題視されてきたことだ。だから私は、Pi 2.0では、Roku 3と同じBroadcom BCM11130が採用されて、EthernetとUSBがオンボードで備わるようになることを期待する。そうなれば、USBハブとEthernetコントローラーの両方の役割を果たしているLAN 9152 LAN9154を止めて、ARMv6アーキテクチャーからv7へ移行できるだろう。

それを必要とする人のために、または法人顧客のサポートのために、「需要がある限り」現行モデルの生産は続けると財団は話している。私が思うに、コミュニティのほとんどのユーザーはできるだけ早く新型ボードに移行するだろう。だから、現行モデルの需要は急速に落ちると思う。

財団はそう言ってるが、少なくともFarnellでは早々とオリジナルのモデルBをウェブサイトから削除して、もう入荷しないと話している。だから、モデルBが欲しい人は今のうちに入手しておいたほうがいい。

モデルB+はすぐに発売が開始される。価格はモデルBと同じだ。

更新:RSではすでにモデルBは在庫なしになっている。Farnellはもう入荷しないと言ってるので、モデル Bの生産は続けるという財団の約束はなんだか怪しい感じだ。それとも現在生産中ということなのだろうか。

更新:Raspberry Pi財団クリエイティブプロデューザーのRachel RaynsはモデルBの生産は続けるとツイートしている。下がその文面だ。

「今日の発表に間に合わせるために必死に B+ を作っていたので、(モデルBの)生産が止まっています」

そして、「they will be back.」ということだ。つまり、これからも生産は続けるけど、少なくとも1カ月はモデルBの生産は行わないので、短期的に品薄状態になっているらしい。

– Alasdair Allan

原文