Fabrication

2015.03.25

この新技術で3Dプリントは25倍高速化される?

Text by Matt Stultz
Translated by kanai

私たちがよく話題にする3Dプリントの技術(FDM、SLA、SLS)は、もうすでに年月も経ち、これらを根底から覆すような新技術はなかなか現れなくなっていた。ところが今週、この業界の新参企業、Carbon 3Dが、Continuous Liquid Interface Production(連続的液体結合製法:CLIP)という新技術を発表した。これはゲームの流れを変えるかもしれない。

Carbon3D_CLIP

Carbon3Dの工程は、DLP光造形プリンター(Projet 1200やB9 Creatorなど)によく似ている。光で硬化するレジンを透明な樹脂槽に入れ、下からプロジェクターで光を当てつつ、ビルドプレートを樹脂槽のレジンから少しずつ引き上げながら造形していくというものだ。従来のSLA方式では、効果させたレジンとビルド面との結着を剥がすために「ピール」という工程がレイヤーごとに必要だった。このピールに時間がかかり、失敗もピールの過程で起きることが多かった。一方、CLIP方式では、樹脂槽の底に酸素を送り込み、薄い酸素の層を作る。これが、レジンが効果しない「デッドゾーン」となる。これは酸素の量によって安定的に調整が可能だ。そのためにピールが必要なくなり、レイヤーは連続的に積層できるようになる。各レイヤーがスライドショーのように焼き付けられるのではなく、むしろ映画のように連続的に画像が焼き付けられるという感じだ。したがって、レイヤー同士の結着はより強力になり、驚くほど滑らかな仕上がりになる。

この方式でもっともショッキングなのはスピードだ。Carbon3Dでは、従来の方式に比べて25倍から100倍の速さになると主張している。Carbon3DTimes
Carbon3Dがサードパーティーの業者に依頼して、市販されている各方式の他社製プリンターと比較実験をした結果。

Carbon3Dはこの2年間、秘密裏にこの技術を開発してきた。それが今、世界に向けて公開されたのだ。もっと詳しく知りたい。これが3Dプリントの世界にどんな影響をもたらすのだろう。過去20年間も業務用としてだけ使われてきた従来方式とは違って、デスクトップ3Dプリンターとなって広く使われるようになることを期待したい。

原文