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2015.08.04

MFT2015レポート ― DIY農業(1) IoTで手軽に楽しむガーデニング

Text by Noriko Matsushita

Maker Faire Tokyo 2015では、身近になってきているIoTやロボットの技術を、ふだんの生活に役立てようとする出展事例がますます増えていた。特に、温度センサーや土壌湿度センサーを使った自動水やり装置、ウェブカメラによる遠隔モニタリングシステムなど、園芸・農業分野の作品が数多く出展され、注目を集めた。

まずは、手軽に家庭で楽しめるIoT園芸アイテムから紹介しよう。

SHINGO INOUEさんの「電脳遠隔園芸」は、留守中のグリーンに水やりをする装置だ。鉢植えに挿した土壌湿度センサーのデータと、Webカメラによる植物の画像をRaspberry Piで転送し、スマホやPCのWebアプリから、映像と温度、土壌湿度をリモートで監視できる。

植物が萎れていたり、土壌水分が低ければ、アプリの「水をやる」ボタンを押すと、ペットボトルに入れたホースから給水される仕組みだ。ペットボトルが空になるまで水やりができるので、2~3日の小旅行ならまかなえそう。

電脳遠隔園芸
植物育成LEDは、まんべんなく光を与えられるようにコルクのコースターを丸く切り抜いてLEDを1本ずつ挿すなど、ていねいな作り

コネクト・ミーさんの「植物った―」は、植物とTwitterでコミュニケーションをとりながら水やりを楽しめるユニークなシステム。土壌湿度や温度センサー、光センサーで土の渇き、光センサーで日照を検知し、「喉が渇いた」「今日は雨が降りそう」などと、ツイート。水をやると「ありがとう」とお礼を言ってくれる。

garden_1
Raspberry Pi、Arduino、土壌湿度センサー、温度センサー、光センサーを使用

Team8さんの「サニーファインダー」は、日当たりのよい場所を求めて植木鉢が動く、というハッカソン生まれのアイデアを実現化した作品だ。

Team8_01
光の当たる方向へ向かって鉢ごと移動する

Team8_02
鉢の4角と4面、計8カ所に光センサーが埋め込まれている

植物やキノコ栽培をさらに自動化したのが、ナマケモノラボさん製作のアクアポニックスドーム。ひし型12面体のドームで、隣り合う面にさまざまな植物や水生生物なども組み合わせて栽培できる。

Namakemono01
ひし型12面体の各ボックスは磁石で簡単に着脱可能

Namakemono02
組み合わせをシミュレーションするプログラムも開発中だ

ちょっとしたアイデアと、Raspberry Pi、Arduino、センサーなどを使えば、植物のお世話を自動化するシステムが低コストに自作できる。すぐに植物を枯らしてしまう人は、挑戦してみてはいかが? (つづく)

─ 松下 典子