2016.06.08
“グローカル”で行こう:分散製造でビジネスを築く
Anne FilsonとGary Rohrbacherの夫婦には先見の明がある。彼らは建設会社を運営しているが、同時に2人ともケンタッキー大学の教授でもあり、シンプルでモダンな製品を、ネットワークされた、または独立したデジタル製造工房を使った、まったく新しい形でデザインするスタジオ、AtFABの共同創設者でもある。
“モノではなく情報を出荷する”
Gary Rohrbacher:私たちは、“デジタルクラフト”というものが実際にあると信じています。CNCルーターは、従来の工具と同じように、私たちと材料とを近づけてくれました。その精度には驚くばかりです。それが難題を解決する鍵です。
Anne Filson:家の中にある、実に多くのものが世界中を何度も旅してきています。原材料はどこかの大陸で採られ、別の場所で加工され、ネジや蝶番はまた別の土地で作られ、中国で組み立てられます。これでは大変な量の二酸化炭素を排出します。しかし、フライス盤と合板はどこにでもあります。もっと近い場所で製品を作ればよいのではないでしょうか?
GR:それを「グローカル」(glocal)と呼ぶと聞いたことがあります。それが、私たちが未来の流れだと考えている分散製造(distributed manufacturing)のキャッチフレーズなのです。
縮まる世界
AF:開発者と完成品との間の距離は意味を持たなくなっています。デジタル製造では、コンピューターで製品をモデリングすれば、他の人はそのデザインを、どこにでもある機械にかけて製造できます。
GR:高性能なCNCマシンが、今では比較的安価で買えます。ソフトウェアは直接製造(direct fabrication)に焦点をあてています。
合板の誠実さ
AF:数百年前から伝わる接合技術と旋盤の方向転換機能が、特徴的な外観の家具を作り出しました。私たちは、CNCルーターで切り出されたとわかる、できるだけ工程の少ないものを作ることに関心を抱いています。
GR:合板だけに注目しているわけではありませんが、それは世界中どこにでもあり、再生可能で、強度重量比が優れています。
GR:家具が市販の平らな板から作られていることを隠そうとは思いません。それはパズルのピースなんです。組み立て方がわかりやすく、明示的で、眼の前に示される。隠すものは何もありません。装飾もなければ、秘密もありません。ツールパスが飾りです。
AF:そこに組み込まれるのは、また別の話ですが、それは豊かで魅力的な物語です。そしてそこに私たちが参加できるのです。
自分で作る
GR:SketchUpのような製品は、人々に、かつては大きなデザイン会社だけが持っていた力を与えてくれます。
GR:ロンドンのOpendeskを試してみてください。彼らは消費者、デザイナー、そして地元の製造業者をつなぐAPIを作っています。Opendeskのウェブサイトへ行って、デザインを選ぶと、そこにあなたの家の近くで対応してくれる製造業者を示してくれます。
AF:そこに入るための敷居は非常に低く、小型で安いマシンで始められます。ビジネスが大きくなるにつれて、アップグレードしてゆけばよいのです。ShopBotのような安価なマシンで始めるならば、マシンのコストが15,000ドルほど。プラス、設備費に数千ドルです。
AF:社会のより多くの人が、自分の代理人をMakerだと認めるようになれば、メイカースペースは単なる入門の場所ではなく、もっと多くの機能を果たすようになります。そこは、製造拠点となり得るのです。
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